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いまだに、ぼおおお

  • 2018/09/24 20:40
  • Category: 雑記
先週の金曜に帰ってきたのだから、すでに丸4日経つのだが
いまだに地に足がつかないというか、ぼうっとした感じで
旅行前の日常に戻れないでいる。

取りあえずは食料の買い出しをしたり(冷蔵庫がきれいに空っぽで、牛乳すらなかったので)
持っていった荷物の整理をしたり、洗濯をしたり、
いない間に無残な有様になっていた畑と花壇の世話をしたりしたが、
それでもまだ、ふわーと空中を漂っているようなヘンな感じである。

17日間に撮った1000枚以上の写真の整理もした。
プロの写真家ならともかく、素人の撮った旅行写真など面白いものではない。
そんなものを1000枚以上も人に見せるのは酷というものなので
面白そうなものだけを選び、キャプションや説明をつけて
スライドショー形式にしてみたが、それでも500枚くらいにはなってしまった。
見せられたお義父さんたちが、退屈しないといいのだが。

ちなみにケベックに戻ってきたら、ちょうどその日から気温が低下したとかで
真夜中、隣町のバスターミナルまで迎えに来てくれたお義父さんの車に乗った時の
気温は8度くらいだったし、日中になっても12度くらいと
アイスランドとほとんど変わらない気温で
「ああ、夏の最後を逃してしまった・・・」と、ちょっとがっかり。

木々も色づき始めたし、ケベックはこれから急速に秋から冬へ向かうのだ。
ああ、半年間の冬!

最後、飛行機から見たグリーンランドの山々。
雲海ばかりだった景色に突然陸地らしきものが見えたので
「え、もうアメリカ大陸?」と怪訝な声を発した私に
隣から雪だるまが「それはグリーンランドでしょう」と冷静な声。
そうか、飛行機はグリーンランド上空を通るのか、
行きは夜で何にも見えなかったので、知らなかったよ。

人の影すら見えないグリーンランドの山々と氷河は
陽の光にきらめいて、息をのむくらい美しかった。

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塩タラ

  • 2018/09/20 05:56
  • Category: 雑記
昨日は Grindvik というアイスランドの南西の端あたり
ケプラヴィーク空港にも近い、人口3000人ちょっとの小さい港町にいた。

港町であるからして、ここは昔から漁業が盛んで
今でも住民の8割くらいは、漁とか魚の加工とか、
何らかの形で漁業と関係のある職業に従事しているそうだ。

で、この町には『Salt-fish Museum(塩漬け魚博物館)』というのがあった。
町の観光案内所の一角にある小さい博物館で、
とは言っても塩漬け魚だけでは間が持たないのか
前半はいかにアイスランドという島ができたかとか、
アイスランドにおける火山活動とか、地学のお勉強みたいな展示で
後半が肝心の塩漬け魚、アイスランドを代表する輸出品であった塩タラ産業の展示だった。

塩タラ産業は、19世紀後半すでにアイスランドの一大産業になっていて
夏場、沿岸部の村々ではたくさんの人が、塩タラの加工に従事していた。
それは20世紀になっても変わらず、保存がきき、値段が手ごろな塩タラは
スペイン、ポルトガル、イタリアなど、南欧諸国に大量に輸出されていたのだそうである。

そういえば、梨の木さんのポルトガル料理のお話の中に、
“バカリャウ”という言葉が出てきたなあ、
そうか、あのバカリャウは、遠いアイスランドから運ばれて行ったのかもしれないなあ
などと思った。


塩タラ  これは本物ではなくて展示用の模型ですが
うーん、塩タラは大きい


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輸出用梱包?

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夕食の後、泊まっているゲストハウスの近くを散歩していたら
賑やかな子どもの声が聞こえたので、行ってみたら学校だった。
子どもたちが、校庭の遊具で遊んでいたのだ。

こっちに手を振ってきたので、近づいて話しかけてみた。
手前の子は聞き洩らしたが、後ろの子3人は、みな10歳だそうだ。
名前も聞いたのだが、ぜーんぜん聞き取れなかった。
女の子は英語だったらAnna系の名前、男の子の1人はJohan系の名前に聞こえたが
まるっきり違っているかもしれない。
初秋のことゆえまだ明るいとはいえ時刻はすでに午後7時過ぎ
いったい何時に家に帰るの?と聞いたら、元気いっぱい「9時!」と返ってきたが
ほんとかね? いくら高緯度でも9時ではもう暗いぞ。
そんなに遊んでいていいのか、君たち。

ちなみにこの子たちはみな、片言ながらちゃんと英語を話した。
アイスランドでは小学校から、外国語として英語とデンマーク語を
習い始めるのだそうである。
アイスランドの人口は約35万。ビジネスにせよ、何にせよ、アイスランド語だけでは
話にならないからだそうで。


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間歇泉

  • 2018/09/17 06:01
  • Category: 雑記
本日は間歇泉を見学。
アイスランドと言えば、火山と間歇泉とブルーラグーンというだけあって
他の観光地に比べ、格段に観光客の数が多いのに驚くというか、感心するというか・・・

が、有名なだけあって、やはり地中から湯が噴水のように吹き出すというのは
一見の価値のあるものでした。


完全に撮り損ねた1回目

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頭が切れた2回目

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3回目 何とか全貌の撮影に成功

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ちなみにこの間歇泉は、7~8分に1回くらい噴き出していました。

氷河

  • 2018/09/13 06:25
  • Category: 雑記
アイスランドと聞くと何だかいかにも寒そうですが
実のところメキシコ湾流の影響で冬でも気温は平均零下5度程度と
零下30度くらいまで下がるケベックのわが町と比べれば、だいぶ暖かいのでした。

ただその代り、夏でも気温はあまり上がらないので(9月半ばの今現在10度前後)
1年中凍ったままの氷があります。

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私の下手くそな写真では、なんだかよくわからないかも知れませんが
水色や白黒のマーブルアイスみたいに見える塊は、氷河です。

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そしてそのさむーい水の中を、アザラシが泳いでいました。

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アイスランド

  • 2018/09/10 06:18
  • Category: 雑記
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アイスランドに来ています。

空港かどこかにあった看板
「アイスランドでは、人間の数より羊の数の方が多い」のとおり
どこに行っても羊がいます。
フィヨルドの急斜面にも、強風吹きすさぶ海際の草地にも
人家の影すらないような荒野の真っただ中にも
羊はむくむくした姿で三々五々かたまり、
黙々と草を食んでいます。

そしてたまにこちらを見て、「なんだあ?」というような顔をします。

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これはブラックベリーではなく、新鮮な羊の糞です。

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ガラパゴスの老人

  • 2018/08/29 08:32
  • Category: 雑記
とうとうケータイを買った。
こちらに引っ越して以来、電話は家の固定電話1本で、雪だるまも私もケータイというものを持たずに過ごしてきたのだが、ほんの時々だが車で遠出をするようになり、万一人里離れた田舎道で不測の事態に見舞われた場合、連絡手段が全くないのでは不便だろうと、ケータイを買うことにしたのである。

もっとも、買おうと決心したのは去年の夏の話で、実際に買ったのは本日であるから、決心を実行に移すまでに1年以上、かかったわけである。カメどころか、あんまり動かないので身体に苔が生えるというナマケモノ並みののろさだが、私達の欲しかった機種は、いつ行っても店頭に在庫がなかったのだから仕方がない。

いや別に、超人気で品薄の最新モデルのスマホを買おうとしていたのではない。その逆で、通話以外何の機能もついていない、昔懐かしい2つ折り型の“携帯電話”を買おうとしていたのである。しかもプリペイドの。冒頭から“スマホ”と書かず、“ケータイ”と表記していたのはそれゆえで、そしてそういう時代遅れの、人気のない型だから、いつ行っても注文用のカードがあるだけで、在庫がなかったのである。たぶん、今時こんな機種を買う人は、この老人ばかりの田舎町でもほとんどいないのだろう。あたりを見回してみれば、お散歩や編み物仲間のマダムたち(60~70代)だってスマホだし、失業中で金欠の義弟ジェリーや、この手のものにはとことんうといと見受けられるフランスですら、使っているのはスマホである。況や彼らより若い世代においてをや。

が、それでも私たちはスマホは欲しくなかった。雪だるまはジムと週1の買い出し以外、外に出ることはほとんどないし、私はまあお散歩会に行ったり、編み物会に行ったり、雪だるまよりは外に出るが、携帯電話がなくて不便と思ったことは、過去7年間、たぶん1度もない。そもそも家の固定電話すら、私達はほとんど使わないのである。今回買った携帯も、たぶん大部分の時間、電源を切られたまま、居間の棚に置かれることになるだろう。

であるから、私たちには高額でしかも月々固定料金のかかるスマホなど必要ないのである。第一、雪だるまなど携帯電話をもったのは、今回が初めて。買ってはみたものの「これ、どうやって使うの?」という感じで、旧式携帯の使い方すら知らないのだから、スマホなど使いこなせるはずがない。私も、仕事時代はやむを得ず携帯を持っていたが、仕事を辞めたとたんポイ。以来、一度も触っていないので、最近の多機能携帯電話のことなど、何も知らない。よってスマホなど、私達には猫に小判、豚に真珠。投資するだけ、無駄。

私も雪だるまもSNS系の繋がり方が嫌いで、だからFBのアカウントを持つ気など全くないし、ツイートもしない。今回、携帯は買ったが、たぶん使うことはほとんどないだろうし、ははは、こうして私たちは時流に乗り遅れていくのである。まあ、いいさ。

うろうろ歩ければ、それでいい

  • 2018/08/24 23:24
  • Category: 雑記
6月、突然、雪だるまが「アイスランドへ行こう」と言い出した。「なぜ、アイスランド?」とは思ったが、面白そうなので賛成し、飛行機を予約し、レンタカーを予約した。行くのは来月、9月である。

が、何しろ人が言い出したことなので、どうも今一つ準備に身が入らないというか、緊張感に欠けるというか、あの行きたくて、見たくて仕方がないところへ行く時の、期待に高鳴る胸のうずうずがない。

アイスランドは間欠泉、熱水泉、数々の滝、氷河など、他では見られない自然が見られるところで、しかも人口が少なく、観光客も(ごく有名な少数の場所を除いて)ものすごく多いとは言えないから、その特異で美しい自然を心静かに堪能できる。
だからこそ雪だるまが行きたがるのだろうが、私はここ1、2年、自然よりは人工物、街というものに惹かれていて、特に建物も道も塀も広場も何もかも石を積み上げて作られたような、街全体が無限に続く大小の石の連続、どこまで行っても、見えるのは人の手で積み重ねられた石の構造物ばかりというような石造りの街に、曰く言い難い魅力を感じている。その摩滅した石の中に染み込んだ長い、長い年月が、私を惹き付けるのかもしれない。

が、観光写真で見る限り、アイスランドにはそういう街はありそうもなく、海岸線沿いに集まった小さな町々に並ぶのは、白や赤の四角い箱の上に三角屋根をのせた、積み木の家のようにこざっぱりした家ばかり。簡素な清潔感はあるが、じっとりこちらを包み込むような情緒はない。

でもまあ、それもいいかもしれない。特に予定はない旅だから、足の向くまま、気の向くまま。ゆっくり車を走らせて、気に入ったところがあれば停まり、うろうろと歩き、疲れたらどこかに泊まる。一応調べはしたが、本当のところ観光名所などは、どうでもいい。

知らない場所、異国でやりたいのは、何でもない小さい町、集落をあてもなく歩き、店屋があったら、そこでパンでも買い、それを食べながらまた歩くことだけだ。他にやりたいことはない。

びくびく

  • 2018/08/21 10:43
  • Category: 言葉
昨日は私が属する極小カルチャーセンターの portes ouvertes(自由見学会)で、私も秋の日本語講座の案内を用意して、アシスタントをお願いしているGちゃんと共に、会場に出かけた。

そして朝10時から夕方4時まで会場に詰めていたわけだが、隣のテーブルの「英語/ドイツ語講座」や上の階の「スペイン語講座」の盛況ぶりに比べると、我が日本語講座の人気は今ひとつどころか今よっつくらいで、みな日本語講座と聞くと、目の前で手をプルプルと振りながら「いやいや、とてもとても」と逃げていってしまうのであった。みなさん余程「日本語は難しい」と思い込んでいらっしゃるらしい。

それにもちろん、この北米の田舎町では日本語の使い道など万に一つもあるはずはなく、同じ勉強するなら仕事や遊びにすぐに役立つ英語、あるいは語彙、文法が似ていてとっつきやすいスペイン語の方がよいと思うその気持ちはよくわかるし、予想もしていたので、別に特にがっかりしたりはしなかった。

それでも、前回の日本語講座に参加してくれた生徒さんは大部分顔を出してくれ、その他新しい参加希望者もちらほらいたので、少なくとも初級2の方は開講することになりそうである。教科書はGちゃんたちの意見も聞いて「みんなの日本語」にしたが、週1回2時間の授業でどこまでやれるか甚だ心許なく、いったいどうやって教えたらいいものかと、考えるとどっと気持ちが暗くなるのだが、「勉強したい」と言っている人たちがいる以上、なんとか出来るだけのことはしなければならない。

まあ、語学は最終的には本人の努力次第で、いくらいい教材があっても、優れた教師がいても、本人が勉強しなければモノにはならないし、逆に教科書、CDだけの独学でも、本人が日々こつこつと勉強を続ければ、日常会話くらいは難なくこなせるようになる。以前、うちに日本語会話の練習に来ていたV君など、友達からもらった「みん日」と、あとはネットを使っての独学で、日本語学校に行ったわけでも、先生について勉強したわけでもなかったが、感心するほど上手な日本語を話した。

だから本当のところ、私のようなへっぽこ教師は「百害あって一利なし」で、いない方がいいのかもしれないが、週1回、みんなで集まって日本語をつつくことで、日本語を勉強する意欲が持続するという面もなくはないと思うので(仕事から疲れて帰った後で、ひとり家で勉強を続けるには相当の意志の力が必要だ)、我が性格とは真反対の授業、“明るく、楽しい”授業を心がけ、生徒が心楽しく勉強を続けられるよう、ほんの少しでも手助けができればいいなあと思うのだが、その思い通りに事が運ぶとは限らないので、私は常にびくびく。授業のことを考えると、不安の黒雲が脳裏に広がり、胃がずうんと重くなる。

堂々と自信たっぷりの英/独語講座のマダムNや、余裕の貫禄のスペイン語講座のマダムAが、心底羨ましい。

チベットスナギツネの砂岡さん

  • 2018/08/17 10:46
  • Category:
一昨日の夜、突然ピンタレスト画面に現れ、私の心を奪った
チベットスナギツネの砂岡さん

寡黙で、眉間に皺を寄せたにこりともしない表情が一見恐そうだけど
実は限りなく心優しく、部下を気遣い、隣人を気遣い、上司のセクハラに対抗し、
そして、そして、一人娘の砂奈子ちゃんを、何物にも代え難い宝物のように大切にしている。

キューライスさんの4コマ漫画。
砂岡さんの優しさと、砂奈子ちゃんのやんちゃな可愛さを、ご堪能ください。

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キューライスさんのサイト 

眼鏡を新調してはみたが

ここしばらく目の見えがよかったので内心ほくほくしていたら、今日はまたちょっと元に戻ってしまって字がぶれている。ちぇ、残念。

まあこの歳になって今さら視力が上がるはずもないから、結局のところ見える、見えないはその日の調子、前日、あるいはその日一日何をしたか、どのくらい目を使ったかによるのだろう。日がな一日、庭仕事などして目を酷使しなければ、夜になっても視界はぶれない。本が読める。が、ちょっと根を詰めて編み物などしてしまったり、パソコン画面を見過ぎたりすると、てきめん字が読めなくなる。目を使う作業は、ほどほどにせよ、ということらしい。

もっとも私の場合、字が読めなくなるとは言っても、すべての字が読めなくなるわけではない。日本語は文庫、新書などの小さめの活字でも、まだ読める。漢字など細部がはっきり見えなくても、字面と文の前後関係でだいたい間違いなく読み取れるのだ。母語として50年以上読み続けているのだから、当たり前といえば当たり前だが。

困るのは英語とフランス語だ。アルファベットがびっしり並ぶので、はっきり見えないと簡単に読み間違える。小文字のlとcがくっついてkになってしまったり、lとiが並んでいると互い重なり合ってlが2つ、あるいはiが2つあるように見えたり、はたまた綴りの似ている別の単語と読み間違えたりなど、しょっちゅうだ。しかも母語でない悲しさで、読み間違えてもなかなか気が付かない。

実は、あまりに字がぶれるので、この春、読書用メガネを新調したのだが、ちゃんとoptometrist(検眼士)に検査してもらい、その処方で作ったにも関わらず、やはり見え方は今一つで、「眼鏡を作り直せば、字がはっきり見えるようになるかも」と期待していた私は、かなりがっかりしたのだった。

もっとも、私の視力を検査したあと、私が持ち込んだ古い方の眼鏡も検査した検眼士殿が、「この眼鏡でもまだ十分見えるはずですが」と言った時点で、そうなりそうな予感はしていた。もしかしたら作り直しても無駄かも、と。それでもあえて作り直したのは、たとえほんの少しでもぶれが改善されれば、読書の際のストレスが減ると思ったからだ。結果は期待通りとはいかなかったが、仕方がない。

左目がおかしくなって以来、私はずっと思っているのだが、あの視力検査というやつは、「見え」の実情を反映していない。日本でも香港でも当地でも、視力検査というとあの大きさの違うアルファベットまたは数字を順番に読んでいくというのが主流だが、実生活では文字はあんな風にスポットライトを浴びて、単独で登場したりはしない。大は店屋の看板から、小は薬の説明書きまで、文字は常に他の文字といっしょに列になって、あるいは前後左右を他の文字にびっしり囲まれてこちらの前に現れる。そして互いに干渉しあう。単独でなら識別できても、他の文字と一緒に並ぶと、右から左から、まるでインクが滲むように文字同士が重なり合って、識別不能になる。私のように像がぶれる目を持った者はなおさらだ。

が、専門医でない医者はスポットライトを浴びた単独の字の「見え」で問題ないと言い、検眼士はスポットライトを浴びた単独の字の「見え」を基に、眼鏡を処方する。像のぶれない人ならともかく、像のぶれる人が、そうして作った眼鏡で、本などの“一塊になった文字”を、はっきり見られるようになるわけがない。

若い頃に戻りたいとは思わないが、身体の回復力と視力だけは、10代の頃に戻れたらなあ、と思う。あの何時間でも何時間でも読み続けられた体力と視力!

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プロフィール

らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、米朝、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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