加圧式ボールペン

  • 2008/06/23 13:29
  • Category: 雑記
日本出張に合わせ、アマ○ンに何点か注文した。本だけでなく、歯ブラシや歯間ブラシ、ボールペンまで注文した。以前の日本出張では、土曜の午前中は自由時間で、だから私は諸店が開店する10時くらいから12時までの2時間をお買い物にあてていたのだが、最近はこの時間までお客様とべったりくっつき行動する日程に変わり、したがって自由時間はなくなった。かなしい。
ホテルに帰ってくるのは毎日夜10時近くだし、そんな時間ではホテルの近所で開いているのはコンビニくらいだ。まあコンビニは大変楽しいところだが、品揃えには限りがある。だから仕方なく、アマ○ン。事前に注文しておけば、チェックイン時には届いているのが、ありがたい。

ボールペンは、リフィル内の圧縮空気の圧力によって、上向きでも書けるという三菱ユニパワータンク。工場参観の時などノートを手に持ってメモを取るときも多いのだが、普通のボールペンだと油性でもゲルでも、かすれて書けないことがたまにある。前回も参観途中、突然書けなくなって大いに焦った。五流通訳にとってメモは必須なので、書けないと死ぬのだ。
もしかするとHKでも売っているのかもしれないが、近所の文房具屋ではまだ見かけないので、とりあえず注文してみた。
スポンサーサイト

二転三転

純粋ローカル企業であるこの会社で働いて5年、その前の日系企業時代も合わせれば、かれこれ10年以上、HK人、中国人とつきあっていることになるのだが、いまだに“どういう風に行動/反応するか”は推測できても、“どうしてそういう風に行動/反応するのか”は、理解できないことが多い。
卑近な例で言えば、変更の多さだ。予定でも資料でも、くるくるくるくる変更する。先日のQ市、Y市を巡るツアーでも、行き先が二転三転するので、バスの中、いちいち日本語で案内する私の方がばかみたいだった。「えー、これからご夕食のレストランに向かいます。・・・・あ、やはり先にホテルに行くそうです。・・・あ、やはり時間的に間に合わないので、レストランに行くそうです」てな具合。聞いている客の方も呆れたろう。

昨日まで翻訳していた資料もそうだ。最初は25ページの資料だったのだが、追加やら修正やらで25ページ→36ページ→39ページ→42ページ→39ページと動いた。ページ数が動いたということは、当然内容も動いたということで、しかも単なる新規追加だけでなくすでに翻訳済みの部分も遠慮なく変えてくださるので、延べでは最終決定稿のページ数よりはるかに多いページ数を翻訳しているはずである。ツアーと合わせ込み込みで請け負っている仕事なので、延べ何ページになろうとお客様のご意向のままだが、それにしても最初から決定稿を渡してくれれば、はるかに早く仕事が済むものを、と思わずにはいられない。

確かに企業紹介だろうと研究報告だろうと、あるいは報道記事だろうと小説だろうと、これで完璧!と思えることはまずないだろうし、最後の最後のぎりぎりまで手を入れたい気持ちになるのはわからないではないが、どうも私の見るところHK・中国企業/人の場合は、より完璧を目指して修正を繰り返すと言うより、まだ叩き台の段階のものをこちらに持ち込んできているような気がしてならない。ツアー中の予定変更にしたところで、不測の事態が起こったからやむを得ず当初の予定を変更するというわけではなく、諸条件がはっきりしないうちに適当に予定を立て、徐々に事態が進んで「あれ?だめだこりゃ・・・」となった時点で、ぽっと予定変更。しかしよく考えた上での変更ではないので、進行する事態に合わせまたすぐ変更。これの繰り返し。10年一緒にいても、なんでこうなるのか、てんでわからん。

その国の国民性、あるいは民族(これは非常に定義のはっきりしない言葉ではあるが)性なんてものは、10年いようが、20年いようが“わかる”ようには、ならないのではあるまいか。ある異国に2―3年住んだだけで、その国のことを理解したと豪語する人もいるが、そんなことはあるまいと思う。でなければ、“理解”という語の定義が違うのだ。

造花

昨日の中国語クラスでは、先生がどこかのサイトから見つけてきた「健康トピック 室内に置いてはいけない花10種」というプリントを見せてくれた。それによると、たとえば蘭は香りが不眠を引き起こす可能性があるとか、ハナズオウは花粉が喘息を誘発したり、咳の症状を重くする可能性があるとか、オジギソウには“オジギソウアルカリ”という成分が含まれており、これが毛髪を脱落させるとか、普段その辺で見かける花でも、まあいろいろとヒトに不都合な作用をおよぼす可能性がある花は結構あるんだそうである。

で先生は「わたしが部屋に造花を飾っているのは、そういう理由もあるのよ」とおっしゃっていた。確かに先生の家には、白と桃色の巨大な牡丹の造花が大きな花瓶に飾られており、そのあでやかで華やかな樣はいかにも中国的、国画的なのだが、理由のひとつはそうか、造花ならヒトに有害な影響がないからか。わたしはまた、暑い気候のせいかHKでは花の持ちが著しく悪いので、装飾として常に一定の彩りを添えるために造花を選んでいらっしゃるのかと思っていた。

そういえば私が住むアパートの共有地でも、一部で造花が活躍している。ふつうに陽の当たる場所は、本物の花々や木々がとりどりに植えられ、手入れも行き届いているため、朝は小鳥が囀りあったりしていて、なかなか結構なのだが、たとえば平台の下側、半地下になった通路には、花壇に造花が植えられているのである。しかもいかにも作り物的な、鮮やかな色合いの花が。最初見たときには思わずぎょっとして「いくらなんでもプラスチックの造花を花壇に植えなくてもいいだろう?」と思ったが、その後目が慣れるにしたがって「薄暗い通路に、たとえニセモノでも明るい色合いの花があるのはいいことかもしれない。どうせ陽が当たらなくて普通の花は育たないのだから、裸の土のまま放置されるよりはましかも」と思い始めた。それにふと気がつけばウチのアパートだけでなく、近くの通りの街路樹ならぬ街路花もプラスチックだった。枯れないし、水遣りの必要もなく、お手軽なのだろう。

資産額260億米ドル超、2008年フォーブスの長者番付世界第11位、長江グループという不動産からエネルギー、リテール、通信、メディアまで、あらゆる分野を網羅する巨大企業集団を一代で作り上げた李嘉城氏が、プラスチックのホンコンフラワーの製造販売から身を起こしたことは有名な話で、したがってHKの人にとっては、プラスチックの造花は安っぽい模造品、生花の代用品ではなく、ある意味成功の象徴なのかもしれない。だから外国人から見たら「おい、おい」と言いたくなるようなところにまで、屈託なく配することができるもしれない。なんて思うのはうがち過ぎか・・・

ブータン 議会制民主主義

  • 2008/06/18 17:36
  • Category: 雑記
一昨日NHKのドキュメンタリー「議会制民主主義がやってきた〜ブータン王国の模索〜」を見た。見ようと意図したわけではなく、ニュースか何かの後に続いて始まり、面白そうだったので見始めたのだが、いやはや何とも画面に登場するブータンの人々のあまりの無垢さに泣きたくなってしまった。

王制のもと(比較的)平和に幸せに暮らしていたブータンが、国王主導で議会制民主主義に移行するというのも牧歌的なら、「今のままで十分幸せだし、うまくいっているのだから、議会制民主主義なんかに移行しないでくれ」と国王に嘆願に行く人々がいるというのも、無知とか時代錯誤というより無垢という方が当たっている感じだし、街でインタビューに応じた人々の言葉も、議会制民主主義というものに対する疑いを知らない信頼を表すものが多く、つくづくと考えさせられてしまった。

いったい今現在実際に議会制民主主義を実施している国の国民のうち何割が、議会制民主主義に変わらぬ信頼を寄せ、政治家の誠実さを信じているだろう? 我が母のような無学な田舎者でさえ、ある人物が選挙に立候補するのは、利権のため(=自己の利益のため)だと思っており、決して町を憂い、県を憂い、国を憂いて、町民、県民、国民のために立候補したとは思っていない。実際、国会を見ていても、政策としての妥当性よりは党利党略(=自己の利益)の方が優先される昨今(てか、過去ずっとそうか)であるから、我が母のこうした認識を誤りとは言えない。みな「政治なんて、政治家なんてそんなもん」と思っているのだ。

政治とは妥協であり、絶対値としての最良ではなく、選択の範囲内で最も“まし”な道を選んでいく過程だと思っているから、私はこうした認識を悪いとは言わない。ラスキだったか誰だったか忘れてしまったが「民主主義のよいところは、国民が“我が国の政治家の半分は悪党だ”と思っているところにある」というような意味のことを言っているし。これはつまり一党独裁の全体主義国家で、高潔にして無謬の指導者が国を統治していると国民の大多数が信じ込んでいるような国では、そうした“政治家の半分は悪党”というような認識は持ち得ないからで、政治家たちを“ったく、あいつらはろくなもんじゃない”と国民の多くが思っているような国は、ある意味健全だということなのだ。

とは言うものの、汚職と“まし”とはいえない法案が通ってしまう現状を見ると、「ほんとにこれは健全な状態なのか。単に事実が事実として認識されているだけではないか」と思わないでもない。それに反しブータンでは、あるおばあさんが立候補者に対し「あなたも、もう一人の候補者(ブータンは小選挙区制を採っており、各選挙区とも候補者は二人だけ)も私たちのために尽くそうとしてくれている。だからどちらが良い、どちらが悪いということではないんだよ。二人とも国のためにがんばろうとしていることは分かっているんだから」と言い、ある仲のよい夫婦は「どちらかにだけ投票するのは悪いから、夫婦でそれぞれの候補者に投票することにした」と言う。NHKはブータンは仏教国で争いを好まないからと解説していたが、それにしてもここまで純粋に候補者の善意を信じられるとは、なんと幸福なことか。

それでなくてもテレビを見ながら泣きそうになっていたのに、それに追い討ちをかけるが如く「投票は一瞬で終わるがその結果は将来を作る。選挙は二党から勝者を選ぶのではなく、勝者はブータン国民一人ひとりなのです」という国王のメッセージまで流され、もう半べそである。
最近、政府の第一の役割は“自国民の生命と財産を守ること”だという当たり前の事実を改めて指摘され、「あ、そうだったっけ。忘れてたよ」と思いを新たにしたばかりだったので、議会制民主主義に対するブータン国民のこのナイーブさは、相当にせつなかった。日本も自由民権運動の頃は、そんなふうだったのだろうか。

**************************************

ところで

今ウチの私の冷蔵庫には、箱から出され個装になったかたちで

大人のTOPPO キャラメルムースのラフランス仕立て(ロッテ)
TOPPO カナディアンメープル(ロッテ)
デザートポッキー オレンジ香るダブルショコラ(グリコ)
デザートポッキー 濃厚苺ショコラのショートケーキ風(グリコ)
フランオーレ バナナ&ミルク味

がプラスチックバックに入れられて眠っている。
先週金曜、お友達との待ちあわせの前に、ふと「OKASHI LAND」に寄り込んで、大人のトッポを買ってしまったのが運の尽き。ポッキー病が発生し、我が体内において猖獗を極めている。買ったからと言って全部即時に食べるわけではないのだが(だからこそプラスチックバッグの中で眠っているのだし)、新しいフレーバーを見ると欲しくなる。メーカーは問わない。
今は昼休みにセブンイレブンで見たデザートポッキー「濃厚マロンとホワイトショコラ」が、目の前にちらついている。ああ、困った。また買ってしまいそうだ。6種類目だよ、ああ。

日曜、雪だるまがお義父さんから聞いたところによると、どうやらお義父さん(および親戚一同)の住む町の主要工場のひとつがまもなく閉鎖になるらしく、たくさんの家が売りに出されているそうだ。お義父さんの家の近くの、庭付き、ガレージ2つ付の大きな家も売りに出ているそうで、しかも売値が14万カナダドル(約1500万円)。日本やHKでは考えられない安さである。思わず色めきたってしまった。人の不幸に付け入るのは気が引けるが、資金に余裕のない中年二人組ともなれば、きれい事は言っていられない。予定より早いが、この機に乗じて家だけでも買ってしまうか。
買った後、住むまでの保守管理をどうする?といった面倒はあるが、3年後まで待っていたら、その間に町の景気が上向き、不動産価格が上昇して私たちに手の届く物件はなくなっていたなんてことになるやも知れぬ。買える物件があるうちに、買っておいた方がいいかなあ?と心が騒ぐ。
とは言うものの、本やDVDと違い家は見もせずにネットで買うわけにはいかないので、とりあえず雪だるまに「この夏帰省した折、複数の物件を見て写真を撮って送るように」と申し付けた。

いやあ、ついこの間まではカナダドルの対HKドルレート上昇のせいで働いても働いても一向に資金が貯まらず、このままでは一生リタイアできないのではないかと暗澹たる気分に陥ることしばしばだったのだが、14万カナダドルで車2台の車庫付の家が買えるとなれば、もっと小さい家でも十分な私たちにとっては、それ以下の予算で住む家が手にはいるということで、誠に喜ばしい。ほんとにほっとした。雪だるまは身の程知らずに「大きい地下室とぉ、お父さんが泊まる部屋とぉ、ジェリー(弟)が居候できる別棟がついた家が欲しいな」と言っているが、わたしは庭は大きくてもいいが、家自体はこじんまりした家の方がいい。だって部屋がいくつもある大きな家は、掃除が大変ではないか。お掃除ロボットを使うにしたところで床拭きやガラス拭き、家具磨きは人手でせねばならぬ。寝室なんか居住者人数+1(来客用)あれば十分だ。それに大きい家は光熱費もかかる。冬場、暖房なしでは死んでしまうカナダだ、原油価格高騰の折、大きい家は金食い虫。それとも薪が燃やせる暖炉付の家を買って“お婆さんは森に柴刈りに”行くんだろうか?



たとえばこういう暖炉?

『Lars』

  • 2008/06/16 13:39
  • Category: 映画
■ 金曜夜、お友達と二人でアフリカ料理のレストランに行った。行く前から「アフリカ料理とはまた、ずいぶんと大雑把な括り方ですな」という話はしていたのだが、行って実際に食べてもいったいアフリカのどこの料理かは判然としなかった。しかし客はわたしたち二人を除きすべてアフリカ人またはアフリカ人に見える人たちだったので、出している料理はアフリカ人に受け入れられる程度にアフリカ的なのだと想像する。お友達はオクラと羊肉を辛くないカレー風に煮込んだもの+セモリナ、わたしはピーナツ味のスープ、魚の唐揚げ+白米のセットを頼んだ。二人とも主食の量が山盛りだったので極限まで頑張っても食べきれず、しかも翌朝まで胃が苦しかった。客の大半があの量をぺろりと平らげているのだとすると、こちらとは胃の容積が根本的に違うか、あるいは食いだめに利用しているか。いずれにせよどこにでもある地味な素材を、手管を弄さず地味に料理したメニューで、そのあたりを“アフリカ的”と見るなら、面白いことは面白いが、格別に美味と言うにはあたらない。近年、アフリカでも輸出する資源(原油、鉱物等)のある国は経済成長著しいが、経済成長により得られた富は支配層に独占的に還元されているようで、一般大衆は相も変わらず“貧困”あるいは“飢餓”状態にある。まったくヒト(もちろん私を含め)は賢くはならないのか。ホモ・サピエンスが聞いて呆れる。

■ 週末見た映画。
『Black Sheep』 遺伝子改造された羊が凶暴化して人間を襲い始め、凶暴羊に噛みつかれた人間は、同じくに凶暴羊に変身して人間を襲い始めてしまうというB級スプラッタ・ホラーコメディ。人間より羊の数の方が多いニュージーランドで作られた映画だけに、おかしさもひとしお。この映画といい、『Bad Taste』といい、ニュージーランドの人は時々ヘンな映画を作る。おかしみの感覚が英米とは違うのだろうか。
『Illusionist』 エドワード・ノートンが出るから見た哀しい恋の物語。
『Lars and his real girl』 ラースというまじめで優しくてハンサムだが人付き合いが苦手な青年が、「人と付き合え、女の子と付き合え」という周囲からの圧力に少々失調を来たし、シリコン製の女の子の人形(昔ダッチワイフといったような)をネットで注文。この女の子(ビアンカ)を本当の女の子だと思い込んで、一緒に生活し始める。母屋に住んでいる兄夫妻や周囲の人は、最初は大いに困惑するが、内科医兼精神科医の助言や、牧師、近所の老婦人が「ラースはいつもいい青年だったよ」とまどいながらも受け入れたことが幸いして、周囲もラースを受け入れ、ビアンカを本物の女の子として扱う。そして最後はまあハッピーエンドになるのだが、一人でいること、一人でいるのが好きなことを“異常”とまではいかなくても、“問題行動”とみなしがちなアメリカ、彼氏/彼女がいないことを、大きなマイナスとみなすアメリカ(近年、日本も同様だが)では、内気で人付き合いが苦手な人が生きていくことは、なかなかしんどい。前日話題にしていたこともあって、先日の秋葉原での事件を思い出す。
『Sicho』 言わずと知れたアメリカの医療制度の問題点を告発したマイケル・ムーアの映画。先月読んだ「ルポ貧困大国アメリカ」と重複している部分もあり、内容的には目新しさはないし、引き合いに出されたカナダ、フランス、英国の医療制度にしたところで、実際はこの映画が見せたほどばら色のはずはないが、金のある人しかまともな医療を受けられず、中流にいたはずの人でさえ一度大きな病気になっただけで破産しかねないアメリカの現行制度は、余りにおかしい。私自身、次の転居先(予定)のカナダの医療制度が心配で、ことあるごとに「そのうち破綻するんじゃないか?」と雪だるまに問い質し、かつ今入っている医療保険をいかに変更するか、あるいはいっそ雪だるま同様、(どうせ保険会社は肝心な時には、何のかんの理屈をつけて保障してくれないのだから)保険に入るのは止めてその分貯金しておくべきか、大いに迷っている。どしたらよかべ。
『Dirty Mary Crazy Larry』 ピーター・フォンダ、スーザン・ジョージ主演の74年のアメリカ映画。70年代のアメリカは、こんな脳天気な映画を作れるほど呑気だったということか。

お涙頂戴のニュースは嫌いだ

  • 2008/06/13 15:32
  • Category: 雑記
NHKでも地元の翡翠台でも、「四川地震から1ヶ月、被災者は今」というような取材をニュースで流している。大方が「いまだこのような困難な状況にある」という報道で、被災者の方々の現状の悲惨さを、やや感情過多に訴えるような編集になっており、人々の同情を誘って義捐金を集めるにはちょうどいいだろうが、ニュースとして見ている方は(被災者の方々には申し訳ないが)いささか食傷。

そもそも私は人々の感情に訴えるような報道が嫌いである。ニュース番組は無味乾燥であればあるほどいいと思っている。誰かが映像を撮り、誰かが原稿を書き、誰かによる編集を経て報道されるのだから、特定の視点のない報道などありえないことはわかっているが、私としてはできるだけ中立的な事実だけを知りたい。そのニュースに対するキャスター/アンカーパーソンの感想など要らない。なんならコンピュータ合成の声が読み上げてくれてもいいのだ。あるニュースに関する人々の感想や解釈の報道は、トークショーやワイドショー、ネットの掲示板に任せればいいではないか。

とりわけ不快なのは、ある犯罪の被害者または被害者の遺族を後追い取材し、涙に暮れる被害者/被害者遺族の姿を映し出すことだ。そうすることによってその犯罪の記憶を新たにし、同種の犯罪の発生を防止しようとの意図なのかもしれないが、どれほどの効果があるのか甚だ疑問。単に人々の下世話な興味を煽り、安っぽいお涙頂戴を狙っているだけなのではないか? 一時期話題になった飲酒運転にせよ、通り魔にせよ、そうした報道によって発生件数が減ったとは思えないが。(それとも実は減ったのだろうか? 発生しなかったから、わからないだけで?)

もっともこう書いてくると、自分がいかに意固地で性格の悪い爺さんかわかって、いささか鼻白む。中国語の先生も「もう地震のニュースは見たくない」と言っていたが、理由は私とはまったく違い、「見るたびに胸が苦しくなり、泣いてしまうから」なんだそうである。心優しく、気持ちの暖かい人は違う。

Agar Agar



↑ いえ、これはわたしが作ったゼリーではありません。


最近ややゼリーにはまっている。Jell-Oもどきのインスタントゼリーだけではあきたらず、三連休中には、Agar Agarというものも買ってみた。寒天と同じく海草が原料だが、クックパッドの healthyさんによると、寒天よりやわらかい出来上がりになるそうだ。ただし、私が最初に近所のスーパーで見つけたのは、パウダー状に加工されたものではなく、中国製で春雨状になった何やら原始的なもの。むかし私が子供のころは棒状の寒天を売っており、これをちぎって煮溶かして砂糖を加え寒天などを作ったが、あの雰囲気である。

袋に印刷された使用方法をざっと読んだところ、これも同様に水に煮溶かせばいいらしい。ただし問題は、水の量。12椀(6磅)の水を加えて煮溶かせとあるのだが、1パウンド=453gとすると、6パウンドは2.7kg。たった1袋(50g)のAgar Agarを、3リットル近い水で煮溶かす? 大いに怪しく思い、それにウチには3リットルもの水を入れられる鍋はないので、大胆かつ適当にその半分以下の1リットル程度の水で、むりやり煮溶かしたら、ああら不思議。Agar Agarはどろんどろんの糊のような物質になりました。おまけにぷるぷるの透明感などどこの話か、色もねっとりと白濁。それでもめげず、1リットルを3つのタッパーに分け、ひとつはコーヒー味、ひとつはスキムミルク味(いじましきダイエット根性)、もうひとつはその日の朝煮た緑豆に加えて冷蔵庫で固めてみた。

常温でも固まるAgar Agarなので、冷蔵庫に入れたらあっという間に固まったが、その硬さたるや、とてもゼリーとは思えない。なんたって練羊羹より硬く、まな板の上に乗せ、包丁で切れるほどである。ぷるぷるの舌触りとのどごしを楽しむどころか、何かよくわからない食物繊維の塊りを呑み込んでいる雰囲気。ぜえんぜえん美味しくないのだが、作ってしまったものは仕方がない。日課のように毎晩、一塊ずつ食べている。
春雨状Agar Agarはもう一袋あるので、今週末はちゃんと規定量の水で煮溶かしてみよう。わたしはぷるぷるのゼリーが食べたい。

日常生活

  • 2008/06/10 14:03
  • Category: 雑記
三連休の初日に家事をががーっと片付けたおかげで、2日目、3日目は暇。雪だるまが仕事でいないせいもあって、全部自分の時間だし。昨日は昼頃、2駅離れたスーパーに食料品の買出しに行き、ついでに帽子(軽くて、たためそうなくらいやわらかい麦わら帽子)を買ったほかは、読書三昧。おかげで“Grime and Punishment”読了。推理小説としてより、アメリカの郊外主婦の日常生活というか生態を知る本として面白い。同じくアメリカの郊外都市が舞台の“Desperate Housewives”ではどちらかというと色恋が前面に出ていてせいで、子供のいる郊外主婦の日常はあまり見えてこないが、“Grime〜”では、日常生活のディテイルがたーくさん。持ち回りで子供たちを車で学校に送り迎えする取り決めとか、ポットラックパーティでの料理の持ち寄りの仕方とか、互いの便宜のために互いの家の鍵を持っていることとか。恐ろしく密な付き合いで、めまいがしそう。選択の余地のある“お友達”と違い、ご近所さんは選べない。それなのにこんなに密に付き合わねばならないとしたら、私なら窒息してしまう。こわいよう。

それにそもそも、日常生活自体、ある程度怖いものなのだ。平穏にして健全な日常生活というのは、嘉すべきものでもあるが、同時に禍々しく不気味なものでもあるのだ。“事も無げなる家々のなりわいのさま”をつぶさに見るのは恐ろしい。

朝から暴雨

  • 2008/06/07 09:31
  • Category: 雑記
三連休の初日だというのに朝から雷、黒色暴雨。電気をつけないと、本も読めない。
この暴雨の中、雪だるまは仕事に出かけていった。昨日の夕方急ぎの仕事が入り、上司兼同僚ともども三連休ずっと仕事の見込み。まったくlawyer連中は休むということを知らないのか。
そのlawyerたちに付き合わされる下請けの翻訳部は悲惨である。

雪だるまがいないと暇なので、朝からお弁当用のフォッカッチャもどき作りと、保存用の豆(今日は扁豆)煮。フォッカッチャはクミンシード入り。邪道かもしれないが、イタリアンハーブ入りよりも、わたし好みの味になる。

合間に”Grime and Punishment”をぼちぼち。手持ちの日本語の本を読み終えてしまったので、やむなくしばらく前に買ったこれを引っ張り出した。邦題「ゴミと罰」。原題のひっかけがうまく日本語になっている。アメリカの郊外都市で3人の子育て中の典型的サッカーマム(ただし離婚してシングル)が探偵役のお気楽ミステリー。暴雨の休みに読むにはちょうどよい。

お勉強

  • 2008/06/06 11:39
  • Category: 雑記
今月末、また出張に行くことになった。要翻訳のファイルがまだ届かない(電子の海で迷子か、溺れ死んだか)ので、現在やることなし。思いついて歴史のお勉強。

先日Q 市に行った時、海岸沿いに「五四広場」というモニュメント付の広場があり、「これは五四運動を記念した広場です」と通訳したものの、「はて五四運動って、いつだっけ?」
前々世紀末、ドイツがQ市一帯を租借地とした件についても、何が原因だったか、茫として思い出せず。高校の世界史で通り一遍習っただけの歴史を、30年以上覚えていられるわけもなく、観光ガイドも仕事のうちなら、世界史の復習もやむを得ない。というわけで…

五四運動: 1919年に中国で起きた学生を中心とする反日愛国運動。第一次世界大戦後のパリ講和会議において、山東の旧ドイツ利権が中国に返還されず、日本に付与されようとしたため、憤慨した数千人の学生が1919年5月4日に北京の天安門に集まり、条約の調印拒否を求めると同時に、日本製品の不買運動などを呼びかけた。その結果、6月28日政府は講和条約を調印拒否する声明を発表した。中国で起きた初の大規模民衆運動として、五四運動は現代中国の一つの原点というイメージを持っている。現在、五四運動を記念するため、中国の祝日・青年の日となっている。(以上、イザ語サービスよりコピペ。感謝)

北京に行けば行ったで、話のついでに「八国聯軍の時には、このあたりにも軍隊が…」という説明が飛んできたり、「天安門事件の時は私は大学にいて…」と軽く100年行ったり来たりする。“金儲け第一”でない文人と行動を共にし、いろいろな話を聞くのは楽しいが、通訳するのはまた別。お勉強しないと、訳のつじつまが合わなくなる。
アメリカくらい歴史が短ければ覚えるべきことも少ないが、中国は何しろ夏(BC2070年)から数えて4000年超。事件多すぎである。

そういえば昔、撞着語(oxymoron)ジョークを集めたサイトで、“American History”というのを見、思わずにやにやしてしまったが、編者(ヨーロッパ人)から見れば、たかだか建国200年に過ぎないアメリカ合衆国に歴史があると考えること自体、笑止なことだったのだろう。ま、わからないではない。

歯医者

昨日は先生の都合で中国語クラスが休みになったので、代わりに歯医者探しに出かけた。まずウチの会社があるビルに入っている総合クリニック。実はこの医療グループはウチの会社の子会社なのだが、別に親会社社員割引はないもよう。受付で料金を聞くと、クリーニングがHK$600(約8000円)〜、レントゲン撮影がHK$100〜、虫歯が見つかった場合の治療費用はHK$700(約9000円)〜と、結構なお値段。値段を聞いて思わず「はははは〜」と笑い出したら、こちらの懐具合を察したのか、受付の優しいおばさまに「とりあえず検査だけして、虫歯が見つかった場合の治療計画は、その後ゆっくり相談されては?」と助言されたが、どう見ても相場より高そうなので、電話番号や診療時間を記したカードだけもらって出てきた。

そして「やはり中心地のクリニックは高いな。会社の近所は止めて、庶民的(=貧乏人が多い)なウチの近所で探そう」と、いつも降りる駅のひとつ手前の駅で降りて、幹線道路沿いで探し始めた。別に“医療センター”と銘打っているわけではないのだが、HKには各種の医者ばかりが集まったビルがあり、ところによっては1階から20何階まで、あらかた全部クリニックというビルもある。大きな看板がかかっているわけではないので、知らなければ通り過ぎておしまいだが、気をつけて見れば結構な数があるのだ。

で佐敦から歩き始めて3つめに当たるそうしたビルのひとつ、店舗と店舗の間に挟まれた狭い入り口にかかった案内板を見ると、歯科クリニックが3つばかり入っている。ものは試しと階段を上がり、最初のクリニックの受付で料金を聞くと、クリーニングはHK$350とのこと。古いビルの割には中のクリニックは清潔だし、受付の女の子の感じもいいので、早速予約。しかし予約の途中で「お時間がおありなら、今でもできますけど?」と言われ、あっさりクリーニング開始。医師は背高のっぽで鉛筆のように痩せた若い男の子だった。そしてお約束の若くてかわいい助手の女の子。派手に飛沫を飛ばしながらも(途中で医師が私にアイマスクをかけてくれたほど、飛沫飛びまくりだった。なぜ?)クリーニングは15分ほどで終わり、先生の所見によれば虫歯はないとのこと。「でも最近冷たいものを飲んだり、歯をみがいたりすると、歯にしみる感じがあるのだが」と言うと、それは虫歯ではなくて、歯茎が後退気味な部分があるから、そこが刺激に敏感になっているのだろう。虫歯ではない、と重ねて表明。たとえ若者でも医師の言うことなので、その言葉を有難く信用することにした。そしていざ料金を払う段になったら、なぜか値下がりして検査&クリーニングでHK$260。「はて私が聞き間違えたのか、はたまた受付の女の子が言い間違えたのか?」と思ったが、安い分には文句はないので、そのままにっこり微笑ってさようなら。虫歯はないし、歯はきれいになったし、安く上がったし、で大いに満足。

それにしても同じクリーニングで、どうしてこんなにも料金に差があるのか。ひとつは場所による家賃の差が診療料金に反映されているのだと思うが、HK$600とHK$260では、倍以上の開きがある。治療だったら技術、設備の差ということもありえるが、クリーニングはクリーニング。そんなに結果に差が出るとは思えない。まして保険がない身であれば、安いに越したことはないのだ。

さて本日からまたせっせと歯磨きにいそしまねば。各種歯ブラシ、デンタルフロスに加え、新たにLCさんお勧めの歯間ブラシもさっき買ってきた。アメリカほどではないにせよ、HKだって民間病院・クリニックの医療費はばかにならないのだ。せっせと予防に努めねば。

200ドル−41ドル=159ドル

  • 2008/06/04 15:12
  • Category: 雑記
■ 前々回の出張のとき、台風で飛行機がバンコクに避難してしまった顛末を書いたが、これに関し後日談が2件。ひとつはキャセイからお詫びと称して200USドル分のクーポンが送られてきたこと。額面20USドルのクーポンが10枚で、機内での免税品購入に使用できる。機内免税品では、酒か化粧品以外欲しいものはないので、早速、前回のフライトの際、前から気になっていたシャネルのパレット購入に有難く使わせていただいた。グロスのゴールドパールの効き具合がなかなかよろしく気に入ったが、リップブラシにキャップがなく、拭いてから布製ケースに戻しても汚れがつくのが難点。掃除が面倒なので、今では別のキャップ付のブラシを使っている。だいたいシャネルはいつもブラシが今ひとつだ。チークブラシなど、どこの粗悪品かと思うほど毛足が硬い。高めの価格設定をしているのだから、もう少し上等なブラシをつければいいのにと思う。

■もう1件は、バンコクのホテルからクレジットカードで雪だるまあてかけた安否報告の電話に対し、41USドルという馬鹿馬鹿しいほどの高額が請求されたこと。「バンコクにいる。今日の午後には戻れる見込み」という連絡だけで、計2分もしゃべっていなかったと思うのに、なぜ41USドルなのだ? そもそもキャセイ手配のホテルは、部屋からは国際電話がかけられない設定になっており、そのためやむなくホテルのロビーからクレジットカードで電話をかけたのである。まあ上記200USドル分のクーポンをもらっているから、差し引きはいまだにプラスだが、それにしてもみなさん、ホテルのクレジットカード電話には気をつけましょう。まったく1回の電話で41USドルだなんて、私の年間の国際電話代よりずうっと高いぞ。だいたい私の年間の国際電話代なんて1000円でおつりが来るのだから。

落花生入り干しナツメ

■土日と仕事だったので昨日は代休として1日休んでいたのだが、朝6時から活動を開始しても、お弁当用パン(フォッカッチャもどき)作り、洗濯3回(出張で着ていた服:白物1回、色物1回、雪だるまのシーツ&ピローケース)、アイロンかけ、手抜き掃除、街市へ野菜・果物の買出し、昼食、読書、ブログの更新、夕食の用意、ジムでの運動、と一通り済ませたら1日終わってしまった。うーむ、やはり休みは2日は欲しい。でないと休んだ気がしない。今週末の三連休(土日+端午の節句)が楽しみだ。

■本日より通常業務。しばらく出張の予定はない。この機会に歯医者に行きたいが、さてどこの歯医者にしようか。洗牙(歯のクリーニング)だけならどこでもいいが、このところの歯磨き時の歯のうずきから察して、治療が必要な虫歯があることは確実。ウチの会社の医療保険は歯医者をカバーしていないので、どこか余り高くなくて腕のいい歯医者に行きたいが、そんなところあるかいな。

■ 出張の帰りトランジットで寄った済南空港で、落花生入り干しナツメを買う。これは今を去ること16年前、広州での留学時代にルームメイトがお裾分けしてくれて以来、“大変おいしい中国の小吃(おやつ)”として鮮やかに記憶に残っていた幻の食べ物である。どういうわけか広州、香港など南では、干しナツメは腐るほど売っていても、種を抜いて代わりに落花生を詰めた干しナツメは売っていないのだ。
16年ぶりに食べた落花生入り干しナツメは、製法が変わったのか、私の舌が変わったのか、記憶にあるほどの美味ではなかったが、それでも一度食べ始めるとなかなか止められず、あっという間に大袋の半分ほどを食べてしまった。干しナツメと落花生のコリコリした食感が、なんとも後を引くのである。HKで売っていないのが誠に残念だ。

夜中にホテルの部屋に現れる女人について

  • 2008/06/02 16:39
  • Category: 仕事
今回の出張は山東省のQ市とY市だった。で、ご手配いただいた当地でもまあ一流といわれるホテルに一同宿泊したのだが、どこに行っても夜な夜なホテルの部屋に女人が現れるのには閉口した。しかも常に寝入りばなを襲われる。

出張ではまあ色々と心がけるべきことがあるが、私の場合そのひとつはできるだけ睡眠不足にならないことである。人前でプレゼンしたり通訳したりするのに、睡眠不足で頭痛がしたり、頭が朦朧としているようでは仕事にならない。だから夜は遊びに出ることもなく、接待飯が終わればさっさと部屋に帰って、十分な睡眠を確保するようにしているのだが、今回Q市とY市では、3夜のうち2夜、夜中に部屋に現れた女人のためにそれが阻まれ、わたしは大変に大変に腹立たしく思った。まったくどうせ現れるなら、時間を考えて現れてくれ!である。

まずQ市で現れたのは、見ず知らずの中国人の女の子である。当日は早朝出発便だったため、一仕事を終えてホテルに戻ったときには、もういい加減くたびれており、だから11時前にはベッドに入って、あっという間に寝入った。なにしろ枕の調整に腕を動かすのもいやなくらい疲れていたのである。
それが夜中、ビビー、ビビーと鳴る音で目が覚めた。最初何の音かわからず、しばらくぼんやりしていたのだが、そのうち部屋のチャイムだと気づき「もしかして客にトラブルか?」と慌てて起き出し、ドアの覗き窓から覗くと、見知らぬ女の子。同行しているお客様のひとりではない。と言ってホテルの従業員にも見えない。「ははあ、これはあれか」と思いはしたが、一応ドアを薄く開け、思い切り不機嫌な英語で「何か御用?」と聞く。女の子はドアを開けたのが外国人の女だったことにびっくりし、かつ気を呑まれた様子で、中国語で何やら呟きながら後ずさりしていなくなってしまった。わたしは「宿泊客が男か女かくらい確かめてから来いよ」と不機嫌なままベッドに戻り、また眠ろうと努力した。
女の子はどうやら隣の部屋のベルも鳴らしているようすで、ドア口で何やら英語でやりとりしているのが壁越しに伝わってきたが、隣でも断られた模様。しばらくして誰かに向かい中国語で「・・・是個外国人阿―。他説他不要我〜(外国人でぇ、あたしのこと要らないって言ってる〜)」と訴えているのが聞こえた。夜の1時近くにご苦労なことだが、いくら商売とはいえ人の睡眠を妨げるのは止めて欲しいものである。どうせならもう一時間早く現れてくれ。
(因みにこの件、同行者の中の男の人(中国人)に話したところ、Q市だけでなく次のY市のホテルでも女の子が現れ、しかも強引に部屋に入ってきて出ていってくれず、往生したそうである。彼は「仕方ないからいくらか包んで出て行ってもらった」そうである。また彼の観察によるとホテルのロビーでは、ポン引きと思われる男が一晩中ソファに陣取っていたそうで、本当にごくろーさんである)

その次、Y市で現れたのは別口である。今回の出張は研修も兼ねていたので、同業者も参加していたのだが、そのうちの1人がわたしの寝入りばなに泣きながら部屋に電話してきて、同じく研修出張に参加していたご主人が、彼女を殴ったと泣きついて来たのである。

この夫婦、最近夫側の浮気が原因でトラブっているのは知っていたので、妻も参加すると聞いたときには「やれやれ浮気防止の監視かね」と半ばげんなりしていたのだが、どうやら本当に監視目的だったらしく、当夜夫の携帯メールをチェックして、いまだ浮気相手に情感たっぷりのメールを送っていると知った奥方が、夫君を詰問し、なじり、カッとなった夫君が奥方に手を上げた、という風に電話では聞こえたのだが、その後わたしの部屋に現れた奥方が、赤く腫れた腕を見せ、涙ながらに訴えるそこに到る事情をよーく聞いたところ、なんと先に手を上げたのは奥方の方で、しかも当夜酔っぱらってベッドの上に伸びていた夫君の胸ぐらをつかみ、「なんでこんなメールをあの女に送るのよ!!」と、ほおを3、4発パンパーン!!と張ったのだそうである。で目を覚ました夫君が「なんで殴るんだよ?」と応戦したというのが実情らしい。とてもではないが、電話での第一声「横暴な浮気夫が、理不尽にも非力な妻を殴った」という状況説明には合致せず、全くもって、どっちもどっち。犬も食わない夫婦喧嘩の典型である。

しかもよくよく思い出してみれば、失礼ながらこのご夫婦、背こそ夫君の方がやや高いものの、体格の方は奥方の威風あたりを払う堂々たる体躯に対し、夫君の方は腕など私ほどもないような痩せっぽちキリギリス。一般的DVのように、体力体格で圧倒的優位を誇る夫が、圧倒的劣位にある妻に暴力を振るったとはとても言えず、また奥方が語るこの度の浮気の経過や浮気相手の女の子と当の奥方とのやりとりなども、聞けば聞くほどどっちもどっち。夫婦双方で自己中心的な意地の張り合いの悪循環に陥っているとしか思えず、涙ながらに訴えられればられるほど、聞く方は白けてしまった。

愛情と意地と嫉妬と金が絡んだ場合、そうした悪循環に陥るような態度しか取りようがないというのが真実なのだろうが、それにしてもくだらない。
当の夫婦同様自分勝手な私は、2時間の終わり頃には「もう夜中だよ。早く寝たいよ」ということしか考えていなかった。同情心に薄くて申し訳ないが、結婚カウンセラーでもない赤の他人の私が言えることは何もない。

おかげさまで翌日は睡眠不足。HKに帰るだけだったから大きな支障はなかったが、1日中眠くて困った。夜中にホテルの部屋に現れる女人は、本当に厄介である。

Pagination

Utility

プロフィール

らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

カテゴリー+月別アーカイブ

 

FC2カウンター