とりあえず確保

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これはなにかというと、Heaven and Earth Designs(略称HAED)という会社が出している、Xステッチのチャートである。25カウントの布に刺すことになっている。
25カウントというのは1インチに25目という意味で、つまり1目1ミリ。乱視老眼の目にはちときつい作業で、はたして指定どおりに刺せるのかどうか不明。でも、この猫の姿がどうしても頭を離れず、とりあえずチャートだけはゲット。始めるのは・・・まあ夏以降だな。冬場の6ヶ月、雪に降り込められてなーんにもできなくなったら、やる気になるかも。25カウントがだめなら、20とか18とかで刺す手もあるし。


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『ライジング・サン』

  • 2011/04/28 14:13
  • Category: 映画
イースター休暇中、『ライジング・サン』を見る。今は亡き、飛ぶ鳥を落とす勢いだった頃の日本企業のオハナシ。金に飽かしてゴッホのひまわりなんか買ってた頃ですな。3.11の後にこんな映画を見ると感慨しきり。

93年の作だから、すでにバブルははじけていたはずだが、それでもまだ当時はこの後20年以上も底なしの低迷が続き、挙句地震と津波と原発事故で、低迷どころか満身創痍、死に体の惨状になるとは予想もしていなかったはず。

「驕れるものは…」なんて言葉はcliché過ぎて口にするのも恥ずかしいし、日本経済の栄華はたかだか20年余で惜しむほどの長さでもなかったが、その余りのあっけなさ、花火みたいにぽん!と上がってすぐ散ってしまったあたり、なんともはや潔すぎてため息ものである。日本人、しぶとくないからねえ。

映画自体は凡庸で感想というほどの感想はなし。当時は驚きの最新テクノロジーも、今からみると「え、当時はこんなことにも驚いていたんだっけ?」と、むしろ驚いていたことに驚く感じだし、欧米人の目に映る日本/日本人は、相も変わらず最新テクノロジーと珍奇な風俗が共存する“極東の不思議な人たち”だし。(娯楽映画だからわかりやすい紋切り型で見せるのは致し方のないところなのだろうけれど)。家事をしながら見るくらいが調度いい映画だった。

ただひとつ文句なしに驚愕したのは、ショーン・コネリーの日本語せりふ。聞いたとたんに背中が粟立ち、思わず「きゃあ」とソファを立ってしまった。そばに立ちながら、真顔で演技を続けられた共演の日本人俳優たちの強靭なプロ精神に脱帽。

コネリーさん、007時代にも確か日本語のせりふを喋る機会はあったはずで(例の浜美枝さんがボンドガールだったあれ)、だから初めてではないはずだが、そのわりにはちっとも進歩してませんな。ま、流暢と評判のスティーブン・セガールの日本語も同じくらい気持ち悪いから、取り立てていうほどのことではないのかもしれないが。

サンプラー

イースターの4連休が終わり、今日からまた仕事。 

連休中はせっせ、せっせと×印を生産。アルファベットのサンプラーをひとつ仕上げ、次のサンプラーに入る。

このサンプラーというもの、模様の中に“Welcome”とか“Bon jour”とか、言葉が入ったものがよくあるのだが、最近これがけっこう気になる。たとえば刺した後、額装して飾るとして、日本なら“Welcome”にしろ“Bon jour”にしろ外国語で、ことばとして目に飛び込んでくるというより、周りと同化して模様の一部に見えるからよいのだが、これケベックではもろに現地語である。さしずめ日本だったら「ようこそ」とか「こんにちは」とかの言葉が模様に囲まれて壁に掛かっているようなもので、想像するとなんか面映いというか、背中がこそばゆいというか、違和感あり。たとえは悪いが、温泉地で売ってる○×音頭の歌詞入り暖簾とか、誰かさんのありがたいお言葉が書かれた色紙が掛かっているみたい。意味が直接的過ぎて、見るに耐えない。

で考えた。日本における英語やフランス語同様、模様と化す言語を代わりに刺してはどうだろうと。たとえば「熱烈歓迎」なんて、フランス語人にとっては意味不明。エキゾチックな文様にしか見えまい。私も中国語なら日本語ほど直接的でないので、にやにや笑ってみていられる。

というような話を雪だるまにしたら、「いっそのことアラビア語やヘブライ語にしてはどうか」という。この2つの言語を話す客人がウチに遊びに来ることはまずあるまいから、完璧に模様化するというのだ。言われてみれば中国語を話す人は私の友達の中にも、雪だるまの友達の中にも多数いる。彼らにとっては「熱烈歓迎」は、まんま文字、言葉である。模様ではない。うむ。

で、ネットでヘブライ語とか調べてみたのだが、ヘブライ語ってなんだか刺しかけのクロスステッチみたい。画数足りず、まのびー。一方アラビア語の方は曲線が多すぎて、×印の連続で正確に刺す自信なし。巷で見かけるヘンなひらがなみたいになってはいやだし、さてどうしたもんかの。やっぱり「熱烈歓迎」かな。繁体字で刺すと、画数多すぎて黒い塊にしか見えないかもしれんけど。

月猫?

  • 2011/04/22 16:17
  • Category: 道楽

結局、うさぎさんがいる方のラバースタンプセットを買った。雪だるまには笑われたが、まあいいのだ。しかしスタンプ買ったはいいが、インクパッドはまだない。スタンプセットの隣に申し訳程度に置いてあったインクパッドは「株式会社ツキネコ」さんのステイズオンが3色と、クラシックが3色のみ。私が欲しいバーサクラフト(布用インク)はないのだ。

 

「ないならネット」と日本のショップを当たってみたが、どこも海外発送はしてくれない。一瞬、配達先を妹のところにして、妹にこちらあて転送して貰おうかとも思ったが、忙しい彼女にそんな私用を頼むのは気が引け、止めた。

 

でいつものごとく困った時のベイさん。最初「Versacraft」で検索した時にはあまりヒットせず、「欲しい色ない…」と悲しかったが、ものは試しと「tsukineko」で検索したら、大量にヒット。やっほー!である。

 

米国のセラーが多いのは、かの地ではスクラップブッキング用の需要が多いためかと思うが、なんにしても日本の製品がその品質のよさで世界のみなさまに愛用されているのを見るのは、うれしいものだ。デュードロップとか、パッケージデザインもかわいいもんねえ。しかも機能的だし。

 

それにしても「ツキネコ」さんとは、社名もなかなか。ロゴもそのまんま月と猫だし、1952年の創業当時の「有限会社 永久パッド製造所」さんよりは、ずううっといいと思う。

16カ月

この夏移住する予定のカナダの田舎町から一番近い外国は米国である。南東方向に70キロほど走ると、米国ヴァーモント州に着くらしい。ヴァーモントといわれてもニューイングランド地方の一部かというくらいで特にイメージもなかったが、某書によるとリベラルな年寄りが多く住む、のんびりした土地柄らしい。そういえばヴァーモントには確か故ターシャ・チューダーさんも住んでいたなと思った。南のバイブル・ベルトみたいな土地柄でないのは有り難いことだ。

なんでそんなことを調べてみたかと言うと、3週間ほど前、カナダ移民局のウェブサイトを読んでいた雪だるまが、香港から申請した場合、カナダ・ファミリービザの審査には平均16カ月!かかることを発見したからである。しかも居住地がケベック州の場合は、これにさらに37日加算される。つまり平均17カ月だが、あくまで“平均”なので、当然これより長くかかる可能性もある。ってことは、私がビザをゲットできるのは、早くても来年夏!?

発見した当日は、二人して「がああああん!」と落ち込んでいたが、2、3日したら「気にしても仕方ないや」と思えるようになった。日本国籍の場合、カナダも米国も90日間はビザなしで滞在できる。90日が満了しそうになったら、とりあえず南に車を走らせ、ヴァーモントに行って帰ってくれば、また90日いられる。(香港でもワーキングビザが下りるまでの間、同じことをした。いや、南に走ってヴァーモントに行ったのではなく、北に走って深センに行ったのだが)これを何回繰り返せるかは不明だが、移民局に咎められるようならビザ申請中である旨説明し、善後策を相談してもいい。なんならたまにしばらく日本にいてもいい。

一番困るのはビザがないとカナダの公的医療保険の恩恵に浴せないことだが、これはまあ大きなケガや病気をしないよう気をつけるしかあるまい。ついでにビザなしだと働くこともできないが、フランス語も喋れない人間を雇う人がいるとは思えないので、実際問題としてはビザがあっても働くのは(少なくともしばらくは)無理だろう。

このビザ審査に必要な期間、私は以前東京在住と思われる方の例を読み、その方が3カ月ほどで取得していらしたので、書類に問題がなければその程度で取得できるのだろうと勝手に思い込んでいたが、なんのなんの、日本からだと5カ月、香港は16カ月、最長はケニヤの29カ月と、申請国によって全然違うのであった。

「日本からなら3分の1の時間だったのにぃ」と思ったが、いくら日本国籍でも住んでもおらず、連絡先もない日本から申請するわけにはいかなかったのだから仕方ない。まあ、あっち行ったり、こっち行ったり、うろうろしながら過ごすしかあるまい。

スタンプ

  • 2011/04/20 12:11
  • Category: 道楽
会社が引っ越してから、近くに文房具屋がなくなった。昼休みに文具を買おうとすると、時代広場のシティスーパーに行くしかない。ここは文具専門ではないので品揃えは少ないくせに、日本製のやたらオサレな文具やらこまごましたものは充実していて困る。一昨日ボールペンのリフィルを買いに行った時も、隣のコーナーにアンティーク風な絵柄のラバー・スタンプがいろいろ置いてあって、びんびんに後ろ髪を引かれた。 





 こんなのとか





 こんなのとか



手紙もカードもEメールになって久しく、こんな繊細で可愛らしい絵柄のスタンプを買ったところで「いったいどこに押すんだよ?」なのだが、なんだか欲しくてたまらない。製造元は「有限会社こどものかお」さんという中野にある比較的小規模な会社のようだが、製品ラインナップが女子の琴線に触れること、心憎いばかり。日本のメーカーはどうしてこう可愛らしさとシックの微妙なバランスが得意なのだろう、やんなっちゃうぜ、である。しかも作りがていねい。その分値段は高いが、使い心地は(地元製品に比べ)格段にいい。

今回の震災で東北地方にあるたくさんの工場が被害を受け、中には再建不能あるいは再建までに長い長い時間がかかるところもあるようだ。よいものを作れる技術力がなくなってしまうのはなんとも惜しいことで、胸が痛む。「こどものかお」さんの工場は東北地方にあるわけではないようだが、どうせ日本経済はつながっている。ベイで米国製のスタンプなど物色せず、ここはひとつ大枚188元をはたいて日本企業の製品を買い、復興への一助とすべきかの。

“危険分子”追い出し

今年8月深センで、第26回ユニバーシアード大会が開催されるが、中国当局は“安全かつスムースな開催”に向け、過去100日間に8万人の“危険分子”を深センから追い出したそうである。

この“危険分子”、原文では「治安高危人員」と表記されているが、どんな人たちかというと;
1. 刑事犯罪の前科があリ、深センに長期滞在しており、かつ正当な職業や合法的収入源がない人
2. 正当な職業がなく、昼間寝ていて夜出歩くなど生活が異常で、収入源が疑わしく、市民からの通報があリ、現実的脅威がある人
3. 薬物使用、不定期的な薬物販売、盗品故売の疑いがある人
4. ニセの身分証を使用し旅館に居住あるは住居を賃貸している人
5. 深センに長期滞在し、児童を操って物乞い、スリ、売春させるなど違法な収入により生活している人
6. 騒ぎを起こす精神病患者、他人に危害を与える人
7. 社会への報復を意図する極端な言動があり、他人や公共の安全に危害を及ぼす可能性のある人
ということである。

中国の統計によれば、深センの実質管轄人口は約1300万人、常住人口は約901万人(うち戸籍人口は約259万人)だそうで、つまり常住人口の1%弱が“危険分子”として追い出されたことになる。

しかしこの“危険分子”、実際に違法行為をしていると言える5はともかく、ほかは単なる“アヤシイ人”。2の前半なんて、ただのプー。電気が来てなくて日が暮れると真っ暗になるような超田舎ならともかく、都市では「昼間寝ていて夜出歩く」人なんか珍しくもない。第一、薬物使用の“疑い”や、騒ぎを起こす“可能性”くらいで、生活している場所から追い出されたのではたまらんと思う。

事実、中国のネットでも「人権侵害だ」との批判が出ており、「権力乱用だ」とする法律家もいるが、深セン市公安局の副局長氏は「この程度のこともせんでは、なんのための公安、治安維持か」とかなり強気。

それにしてもこの追い出された8万人の人、どこに行ったのだろう。どこかにまとめて収容できる施設があるとは思えんし、単に深セン市の境界の外に追いやっただけなのかしらん。

退職願

  • 2011/04/14 16:17
  • Category: 仕事
4月1日に退職願を出した。1カ月前通告だから4月末でもよかったのだが、ウチの部のNo.2のリックが「早めに出してね」というから、出した。以前にも書いたように、上司殿がクビになった時点で私も長くはないだろうと踏んでいたのだが、案に相違してもともとの予定通り5月末まで雇用してもらえた。

「なんでだろ?」と次席に尋ねるともなく尋ねたら、「解雇は不好聽(人聞きが悪い)だ」とリックが言ったとのこと。「誰にとって不好聽なんだ?」と思ったが、たぶん会社にとってだろう。(一応、表面的には)まじめに勤務している社員を、ぱさりと首切りするのは差し障りがあるかもしれない、と? 労工局と問題を起こすくらいなら、本人が自発的に辞めるまで雇っておいた方がまし? まあ理由はなんでもよろし。私としては上司殿がいなくなったあとの格段に楽になったお仕事環境で、同じ給料いただけるなら文句を言う筋合いはなし。

さて本日は4時半からHR(人事部)の担当者と面談。退職願を出すと、「なんで辞めたいの?」一応HRから事情確認があるのだ。確か前回(2004年)に出した時も、当時の担当と面談した。あの時は次の仕事が見つからなかった上、給料2割ほどあげてもらったので辞表を撤回して居残ったが、今回撤回はありえない。カナダがヴィザをくれようとくれまいと、ここを去ることに変わりはない。

卒業写真

以前、「卒業式が取りやめになった」と書いた知り合いのお嬢さん、着物&袴姿で出席という夢が叶わなかったので、この週末マンションを引き払うため親子3人で日本にでかけた際、代わりに貸衣装サービス付の写真館(←古い言い方ですみません。最近の用語ではなんというのでしょうか?)で写真を撮ったそうである。

「そう、よかったね。袴なんて穿けるの卒業式くらいだもんねえ」と言ったら、確かにいろいろ着られて嬉しかったけど、袴はいくら、着物はいくら、草履は、髪飾りはと料金が加算されていくし、写真自体も高いのでけっこうお金がかかった。全部で18万円!くらいだったというので、「ひぇー!」とびっくり。

「な、なんでそんなにかかったの?」と聞いたら、「お父さんとお母さんも、貸衣装着て写真撮ったから…」とのこと。

うおお、親子3人で着物着てポーズとって、写真撮りまくったのか??
いや、いいんですよ。いいんですけどさ。自粛、自粛で、いまどき日本人でそんなにパアッと遣ってくれる人いないだろうし、ここはオカネモチの中国人によっしゃあ!と大盤振る舞いしていただいて、日本経済に活を入れていただくのが一番の良策であろうと思いますから。

しかしそれにしても、卒業写真に18万円か。うーむ。あるところには、あるもんだな。

無駄口2

  • 2011/04/08 16:49
  • Category: 雑記
次席から「日本はいろいろな面で進んでいる国なのに、どうして一部の避難所には地震から3週間経ってもろくに物資が届かなくて、1日2食だったりするの?」「民間の運送会社が南相馬市に行きたがらないのはわかるけど、それだったらなぜ自衛隊が届けないの?」「漂流している犬を助けるより、人間助ける方が先じゃない?」「福島で作業に当たってる人たちも1日2食ってほんと?」「道路が寸断されている? 四川地震の時、すごい山奥の被災地もあったけど、人民解放軍の兵士が救援物資背負って、どんな山奥の村にも行ったよ。日本の自衛隊はやらないの?」

次席、私だってわかりませんがな。私自身毎日情けない思いをしているんでありますから、もう聞かないでおくんなさいまし。

本日売り注文を出した某お客様。「いくら儲かったかのぅ?」とお尋ねになるので、買った時の値段を聞くと、売値と0.04元の差しかない。たとえ0.04元の差でも10万株持ってたのなら4000元の儲けになるが、持ってたのは1000株。つまり儲けは40元というか、取引1回ごとにミニマム100元の手数料がかかるから、実質的にはマイナスだ。

手数料がかかることは以前に説明してあるので、ご存じなかったはずはない。また「(売値−買値)×株数=儲け」(正確には手数料&法定諸費用を計算に入れる必要があるが)という単純極まりない計算式を理解していらっしゃらないはずはないと思うが、どうも電話での受け答えを聞くと“香港ドル⇔日本円の換算”というファクターに幻惑されて、やや混乱されているような気配がある。

「うーん、今後このおいちゃんは手取り足取りした方がいいかも」と思ったが、営業員でもない私が、そこまで口出ししていいものだろうか。でもなあ、みすみす損するってわかってる注文を(いくらお客さん自身の指示とはいえ)、まんま執行するのはなあ。なんか寝覚めが悪いよなあ。

今日はさらりと無駄口のみ

  • 2011/04/07 15:42
  • Category: 雑記
最近、ヒマがあると、と言うか家事・雑事をうっちゃってヒマをひねり出しては針仕事。せっせ、せっせと大量の×印を生産。×印の繰り返しで模様ができて行くのが面白いのよ。ただの×なのにねえ。

しばらく前にオトモダチに教えてもらった『しぶしぶたたかうかんごふさん』のサイトがたいへん面白く、仕事の合間にふらーり、ふらーりと読みに行く。昨日のも秀逸。敬礼。文字列にリンクを貼るアイコンが出てこないので、原始的にそのまま貼っておく。不都合あったら、ごめんなさい。 http://eboli.exblog.jp/

頭痛、眼痛はましになってきている。(hananoiroさん、蒸しタオル療法ありがとね)これもやはり更年期の症状のひとつなのか。よう、わからん。昨日根詰めて長く書きすぎたので、今日はさらりと無駄口のみ。

重要なのは事実ではなく

  • 2011/04/06 15:35
  • Category: 日本
ジャッキー・チェン主催の日本支援イベントで2.6億円の義捐金が集まったり、中国国内、台湾からも多くの義捐金が寄せられたりするからには、歴史的には数多の問題が存在するにせよ、容易ならぬ状況にある日本の被災者に同情の気持ちを持つ人は少なくないのだと思うが、その一方で地元紙に「今回の地震・津波の原因は日本が深海核実験を実施したためとの説あリ」との記事が載ったり、「11日に米が冷却材の提供を申し出たのに日本が拒絶したのは、実は核兵器に転用可能なプルトニウムを大量保有している事実を知られたくなかったから」とするメールが回っていたりするのは、なかなか心萎えるものがある。

記事の方は3月24日の香港経済日報に掲載された。「ネット上にそういう説が載っていた。信じる信じないはあなた次第」という前置き付ではあるが、A4版程度のスペースに、今回の地震・津波の原因は日本が深海核実験を実施したためだ。その根拠は、1.3月12日、被災地に向かっていた米空母ロナルド・レーガンは福島第一から北東約185kmの洋上で、原子炉から放出された放射性の煙雲を通り抜けた。このため全船員が通常の1カ月分に相当する放射線被爆を受けた。また同じく救援活動に参加していた米軍ヘリコプターも、原発の北方約97Kmの地点で、微粒状の放射性物質に覆われたため、除洗せざるを得なかった。しかしこの時点では福島第一3号機の水素爆発はまだ発生しておらず、1号機の水素爆発のみで、日本政府の発表では放出された放射性物質の強度と拡散範囲は、さほど高くなく、避難区域も原発から半径10kmの範囲に過ぎなかった。ならばなぜ、約200kmの洋上にいた空母や、100kmの空中にいたヘリコプターが被爆したのか? この“放射性の煙雲”とは何か? というもので、このあとに2として日本が発表した震源地と、中国および米国の調査による震源地との差異、日本政府は地震発生1分前に地震警報を発しているが、通常こんなに早く警報は出せない、3として仮に日本が核実験を実施するとしたら、深海以外に実施できる場所はない 4として日本には核武装の願望があることを検証するため、1990年代以降の日本の政治家の核武装容認発言が引用されている。

メールの方は次席が「時間があったら読んで」と転送してきたもので、次席に届くまでにすでに4、5人を経てきている。内容は日本は原子力発電を名目にプルトニウムを製造・貯蔵し、核武装準備を進めていると訴えるもので、私はその非常に感情的な文章および筆者が根拠とするデータが正確でないことに、「どうしてこういうものが出てくるのか」と一読して意気阻喪。大変暗い気持ちになった。

もっとも「どうして」とは書いたものの、出てきた背景は言うまでもなく日中間に横たわる過去の歴史認識の違いである。日本政府/日本人がどのような発言をしようと、中国政府/中国人にとってはあの戦争は侵略戦争であり、中国は侵略された側なのだ。

私自身は意識が低く、またふだん付き合っている人に偏りがあるせいもあって知らなかったが、普段中国人との付き合いが(私よりは格段に)多いオトモダチは「プルサーマル始め、日本がプルトニウムにこだわるのは、核兵器転用が可だからというのは、中華圏に限らず諸外国においてはたぶんたいへん一般的な見方」との意見。

ここで重要なのは、事実日本が核武装準備のためプルトニウムを溜め込んでいるかどうかではなくて、そう考えている人が少なからずおり、その前提のもとに打ち出される推論があり、意見があるということである。(英米はイラクが大量破壊兵器を保有しているという前提のもとにイラクに侵攻した。その後「実は持ってなかったみたい」となったが、すでに遅し) 

今、日本人の大部分は仮定としてすら“日本が中国に侵攻”することなど考えられず、むしろ「は?逆でしょ? 中国が日本に攻めてくる方が、よっぽどありそう」と、むしろ国力・軍事力からみて中国の方が脅威との見方の方が一般的のように思えるが、どうやらこの見方は中国人にとってはコンセンサスではないようだ。日中間の温度差は過去の歴史認識だけでなく、現状認識についても存在するということか。

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プロフィール

らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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