胸を凍らせる

先日病院からバイオプシーの日程について連絡があり、仏語だったので雪だるまがその概要を翻訳して説明してくれた。で、その説明では「まず胸を凍らせて針で組織を採取し、それからもう一度マンモグラフィをする」ということだったので、私は液体窒素か何かで当該部位を凍らせるのか? まるでイボかホクロの除去みたいだな、と薄ぼんやり思ったのだが、翌日になって雪だるまが思いついたように「そういえば、昨日の説明は間違っていたかもしれない・・・」と言いだした。

彼が言うには病院の担当者が「胸をgelerする」と言ったので、つい自動的に“freeze”と訳してしまったが、この“geler”は凍らせるではなくて麻痺させる、つまり麻酔をするということだったかも、というのである。

辞書を引くと“geler”には、凍らせるとか凍えさせるとかの意味しかないので、この語を麻痺、麻酔の意味で使うのはケベックだけなのかもしれないが、そう言われてみると以前ジェリーか誰かが、この語を麻酔の意味で使っているのを聞いたような記憶があり、バイオプシーの場合、「当該部位を凍らせる」という訳より、「当該部位を麻酔する」の意味の方が妥当であるように思う。少なくとも当事者である私としては、マイナス196℃にもなる液体窒素を押し当てられて急激に低温やけど状態を作られるより(←これは結構痛いという話だし)、麻酔されて何にも感じない状態で針を刺される方がよほどよい。

それにしても雪だるまの仏語・・・。英語訛りはあるし、時々適切な単語が浮かばなかったりするし、今回のように意味を取り違えたりするし、なんともはや楽しいレベルで、とても純粋ケベッコワの両親の子どもとは思えん。まあ、とりあえず日常生活の用は足りているから、別にいいのだが。
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歯医者

昨日は年に1度の歯医者の日で、雪だるまと二人、朝9時に出頭した。歯科医師が3人いるデンタル・クリニックで、雪だるまはドクター・D、私はドクター・Lが担当なので、同じ時間に予約が可能なのである。

で昨年同様、英仏ちゃんぽんで何とか意思の疎通を図り(去年とは違う歯科衛生士さんだったが、英語ではあまり用が足りない点は同じなり)、カチャカチャと歯のクリーニングをしてもらい、研磨剤(?)でお茶による色素沈着をある程度落としてもらい、最後にラズベリー味のペイストで歯を磨いてもらって終了。

ついで(これもまた昨年同様)ドクターが「やあ、やあ!」と快活に現れて歯の検査をし、虫歯1本を発見して「これはこの次治療しましょう!」と嬉しそうに宣言して、こちらもまた終了。クリーニング40分くらい。検査5分くらい。途中の待ち時間を入れて約1時間。まあ、こんなものか。

磨かれてきゅるきゅるしている歯を嬉しく舌で確かめながら待合室に戻り、ほぼ同時刻に終わった雪だるまが2人分の会計をしてクリニックを後にしたのだが、帰りの車の中で請求書兼領収書を見て、びっくり! なんとクリーニング&検査で95ドル! 予想の2倍!

思えば、昨年はX線写真も撮ったので100ドルを超えたのは仕方がないと思っていたが、なんとX線なしでも100ドル近かったのか! 香港の約300元(≒37ドル。まあ2年前の話だが)に比べ、倍以上。気分的には3倍。余りのことに、しばらく呆然と領収書を見つめてしまった。

雪だるまは「家賃だって上がってるし、衛生士さんたちの給料だって上げなくちゃならないし、そういう上昇分は全部患者に跳ね返ってくるんだから仕方ないでしょう?」とまるで歯医者殿の味方のようなことを言って、ぶーぶー文句を言っている私をなだめたが、そうは言っても、この料金では子供が3人くらいいる家庭は年に1回のクリーニング&検査だけでも相当な負担である。その上子どもが順番に虫歯になったり、あるいは先日の雪だるまのように硬いものを齧ろうとして(雪だるまは自分で作ったフローズンバナナを齧ろうとした)歯が欠けたりしたら、その治療費は一体いくらかかるのか? 考えるだに恐ろしい。

幸いケベックは歯科以外の医療費は基本的に無料だから、身体の病気の場合は心配は要らず、その点米国よりはましなのだが、そうは言っても、歯は風邪や腹痛と違って安静にしていれば治るというものではないし、売薬で治るものでもない。悪くなったら専門家(歯科医師)に頼るしかないのである。そうならないためには、毎食後きちんと丁寧に歯を磨き、フロッシングし、歯間ブラシでシュッシュッとやって、口内の衛生保持にこれ努めるしかないのか。


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↑ 歯医者さんでお土産にもらった歯ブラシとフロス。
  フロスは嬉しいが、この歯ブラシは私には大きすぎ。
  北米スタンダード的に整った歯並びの人ならこれでいいのだろうが
  両親から「美しい歯並び」というジーンを受け継がず、
  かつ歯列矯正が普及する以前の日本に育ったわたくしのガタガタの歯並びは、
  “超コンパクト”タイプの歯ブラシでないと磨けませぬ。

1に練習、2に練習

つまらないことでも工夫しながら毎日練習しているとだんだん上手になるもので、習作十数本目にしてやっと、少し目の揃ったフレンドシップ・ブレスレットを作れるようになってきた。制作のデモヴィデオなどを見ると、習熟した方は左手でしっかり軸糸を持ち、右手の指を小気味よく、シュッ、シュッと動かして結び目(ノット)を作っているので、私もこの動きを真似して縦方向にのみ結び目を引き締めていたのだが、これだと私の場合、結び目が揃わない。しかも縦方向に力が加わるので、結び目が小さくなり、すかすかして前の目からの渡り糸が見えるなど、全然美しくない。当然、模様もきれいに出ない。

これではいかん、と習熟者の手つきを真似るのは止め、いったん縦方向に糸を引いて結び目を作った後、横方向にも糸を引いて、結び目を四角く整える一手間を加えるようにした。また縦方向に糸を引くときも、むやみに強く引くのではなく、渡り糸が見えたりしないよう目の具合を見ながら、ほどよく引くよう心掛けた。この二手間でやっと目が揃い、作っていて気分がよくなってきた。(それまでは作れば作るほど、「うーん、なんでこうなるのか?」と気分が悪かったのである)

このカニ、ヒトデ、ロブスターの「今年も海にいかなかったね」パターンが、手順改訂第1作。秋の葉っぱ色のバスケットウィーブが、改訂第2作である。目が揃うようになってきたと言ってもこの程度だが、本人としては割合うれしいのである。ちなみにパターンはFRIENDSHIP‐ BRACELETS.NETから拝借。#73649と#532なり。


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↑「今年も海にいかなかったね」パターン。2日ほど手首に着けていたあと写真を撮ったので
カニもヒトデもロブスターも、ややよろけている



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↑ところどころに穴が見えるのが悲しい秋色パターン



手仕事が1に練習、2に練習なのと同様、言葉もまた1に練習、2に練習である。私の場合、去年から始めたフランス語はもちろん、英語もいまだ激しく「要練習」の身で、日々、発音を直されたり、文法の間違いを指摘されたりしている。この間は「perverse」(つむじ曲がりとか、天邪鬼とか、屈折したとかの意)の発音を直された。最初に私がこの言葉を発音したとき、雪だるまには「Berber(ベルベル人)」と聞こえ、いったい私は何の話をしているのかと、狐につままれたような顔をしたのである。VがBになってしまったのは日本人としてまあ仕方がないとしても、Pの破裂音すらまともにできなかったとは、まことに「とほほ・・・」で、以来毎朝2、3回、「perverse、perverse、perverse・・・」と呪文のように発音練習を繰り返している。

その前にはフランス語の「il pleut(雨が降っている)」と「il a plu(雨が降った)」の練習をしていた。pleutの母音は[œ]、pluの母音は[y]なのだが、私は最初どちらの音もきれいに出せず、ことに[œ]の音は難関で、雪だるまに何度も「はい、もう一度~!」と言われ続けたのである。しかし結局その日のうちにはできるようにならず、翌日になってやっと「うん、まあまあ」。その後も折に触れて練習してみてはいるが、たぶん一生、クリアな音にはならないと思う。まあケベックでは「mouiller(濡らす、湿らす)」も「雨が降る」の意味で使えるので(日本語の“おしめり”と同じような感覚か)、いよいよ困ったら「il pleut」ではなく、「il mouille」と言ってしまえば、mouille (むいゆ)には難しい音はないので、ま何とかなるのだが。

ロビン

  • 2013/08/23 10:13
  • Category: 動物
今日は久しぶりに朝から雨で、そのため視界がきかなかったのか、昼前、ゴンっ!という何かが窓ガラスに激しくぶつかった音がしたと思ったら、鳥が1羽デッキに倒れていた。人間が近付く気配に、逃げようともがきはしたが、よろよろするばかりで飛ぶことはできない。救助にかけつけた私にあっさり捕まって、手の中でおとなしくなった。

タオルにほわりとくるんで顔を見ると、ぱっちり目を開けている。嘴もひくひくと動かしている。これならだいじょうぶかもしれないと、冬場、鳥のレスキューに活躍した果物籠を階段下の物入れから出してきて、その中にそっと入れた。まだ斑点が残っている羽の模様や身体の大きさから見て、今年生まれたばかりの若いロビンらしい。


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籠に入ったロビンはしばらくじいっとおとなしくしていたが、そのうち羽をばたばたと動かし、外に出たそうな様子を見せたので、部屋から出ようとしてまた窓ガラスにぶつかっては大変と、雪だるまと二人、慌ててフランス窓を開け、デッキに出した。外に出たロビンは飛びたそうに何度か羽をばたばた動かしたが飛び立つことはできず、そのままデッキにうずくまり、ピー、ピーと2、3度声高く啼くと、そのままかくりと首を垂れてしまった。さっきまで動いていた子が死んだとは俄かには信じられず、羽をなでたりしてみたが、ロビンは動かない。そのうちだんだんに瞼も閉じてしまった。デッキから拾い上げてから、半時間にもならない短い間だった。

庭のどこに埋めてあげようか、花の下がいいか、木陰になる楓の下がいいか、しばらく庭をうろうろして考えたが、最終的に今年植えた今一番のお気に入りの木、ハクロニシキの下に埋めることにした。この木は春になると、淡いピンクがかった白い葉が柔らかに芽吹く、美しい木である。R.I.P. Robin.

トマト

5月末に苗を植えて二月半。そろそろトマトが本格的な収穫期に入り、3本しか植えてないのに、ほぼ毎日食卓に供せるようになってきた。

このトマト、お義父さんにしつこく、しつこく仄めかされたから「はい、はい」と言って植えただけで、自分自身は全然興味がなかったのだが、出来始めの頃にちょっと味見をして驚いた。店売りのトマトと、全く味が違う!

店売りのトマトは、どんなに赤く色艶のよいものでも何となく風味に乏しくて、特に美味いと思ったことはなく、したがって雪だるまのサラダ用に買いはしても、自分で食べることはほとんどなかった。しかし庭の畑で採れたトマトは、こうした外観はトマトだが味は何だかよくわからないものとは、全然違う。第一、ちょっと葉に触っただけでも、強いトマト特有のにおいが立つのだ。そして実はと言えば、ピンポン玉ほどもないような小さいプチトマトでも、口に入れるとはっきりとしたトマトの味があり、滋味が広がり、単純に美味い。なんでこんなに違うのかわからないが、本当に全然違うのだ。たとえて言えば、レギュラーコーヒーとインスタントコーヒー、箱入りのケーキミックスで作ったケーキと粉・バター・砂糖・卵で一から作ったケーキくらい違う。しかもウチのトマトは最初植える時に堆肥を入れはしたが、あとは支柱を立てたくらいでほとんど放りっぱなし。特段の世話はしていないのだ。全然手がかからない!

どおりで人々がトマトやキュウリを作るはずである。このあたり、5月に入るとスーパーや種苗店にトマトやピーマン、キュウリの苗がわんさと並び、それが次々と売れていく。私はそれを見ながら「野菜なんて店で簡単に買えるのに、なんでわざわざ自分で作るのかな? 同じ育てるのなら、花の方がずっと楽しいのに」と思っていたのだが、なるほどここまで味が違えば(農薬のことは別にしても)自分で作ろうと思うのも道理である。私ですら「来年はトマト苗の数を増やそう」と考えているくらいだ。

ちなみに先週、叔母さんのところでもらったキュウリも美味かった。こちらもトマト同様、ジューシーだが水っぽさはなくてしっかりとした味があり、しかも歯ざわりはパリパリ。あまり美味かったので、普段は捨てているヘタの部分まで食べた。

庭のある方、あるいはベランダ等にコンテナを置くスペースがある方、トマトはお薦めです。簡単で美味いです。

血圧測定

木曜は医者の命で1日、自動血圧計をつけていて、うっとうしくてかなわなかった。自動血圧計というのは、上腕に例の血圧を測るためのカフを巻きつけ、そこから伸びたコードが首の後ろを回って腹の方に下り、そこで腰に巻いたベルトのポケットに入れた装置(タバコの箱くらいの大きさ)に接続して、昼間は30分ごと、夜10時から朝6時までは1時間ごとに、自動的に血圧を測定、記録するというものである。

別に痛いわけでも苦しいわけでもないが、上腕に巻かれたカフが結構きつく、それがまた30分毎にさらにきつく腕を締め付けて血圧を測定するので、しばし腕がしびれたようになる。しかも測っている間は動きを止めてじっとしていなくてはならないので、瞬間金縛り状態。我ながら結構おかしい。

この自動血圧計、病院に行き、装着したのが木曜の朝8時。そして翌日は朝7時半に装置を外しに来なさい、と言われた。当地の病院は朝が早いのである。出勤前に寄れるよう、勤め人に便利にできているのか、はたまた当地は一般的に朝が早いのか。そういえば、だいたいの店舗も朝9時には開く。スーパーなどは8時から開いていて、引っ越した当初は「へえ」と感心した。

しかしそうなるとご苦労様なのは、そうした医療機関や店舗で働く人たちである。患者が朝7時半に病院に行けるということは、医療者はもっと早くから来ているわけで、たとえば零下20度の冬の朝、夜明け前の真っ暗な道を走って仕事に向かうのは、並大抵のことではないと思う。

さて、そもそも医者が1日中の血圧測定を命じたのは、私の血圧が測るたびに常に高めなためなのだが、私の“やや高血圧”は別に今に始まったことではなく、20代の頃からすでに高めだったのである。したがって加齢とか肥満とか、塩分の取り過ぎとかが原因というより、遺伝的なものであろうと思う。それで今まで特に問題なく過ごしてきたのだが、まあ高血圧だと脳卒中とか脳梗塞とかのリスクが高いのは事実だし、それで死ねるのならよいが、死にきれずに半身麻痺とかはかなり望ましくないので、1日測ってみて本当に高血圧なら治療するに越したことはないということである。

ちなみにこの1日中の血圧測定、運動や服薬などをした場合は、用紙にその旨記入して提出する。突然の血圧上昇が運動のためなのか、それとも身体の異常によるものなのかわからなくては診断に困るからである。たとえば私の場合、病院の行き返りおよび昼間叔母さんちに野生のブルーベリーを届けに行った時のサイクリングは「○○:○○ Vélo」と記入した。ブルーベリー摘みは近所の空き地に生えているブルーベリーの木から、ちょこちょこっと採って来ただけで、大した運動量ではないので省いた。腰のポケットに入った装置にはモニターが付いていないので、数値の変動は見えないのだが、大勢に影響はなかった、と思う。

最近のお遊び

最近、何をしているかというと、紐で遊んでいる。庭仕事が一段落して暇になったが毛糸いじりにはまだ早いので、紐で遊び始めたのである。きっかけは久しぶりに取り出した“セルティック・ノット”の本。「そういえばこんなのもあったねえ」とぱらぱらめくり、ついでに“チャイニーズ・ノット”の本も取り出して、試しに「四つ編み」をしてみたり、ビーズとセルティック・スクエア・ノットでペンダントを作ってみたり、三角結びをしてみたりした。

ついで何か新しいアイディアはないかと「Knot」で検索してみたら、フレンドシップ・ブレスレット(日本ではミサンガとも呼ばれているアレ)の画像に行き当たり、試しに簡単なのをいくつか編んでみたら案外面白くて2、3日はまり、FRIENDSHIP-BRACELETS.NETから色々なパターンを拝借して試し編み。模様の出方を知りたいだけでブレスレットそのものが欲しいわけではないので、ある程度結んでみて模様の感じがわかると解いてしまうことが多いが、基本的に4種しかない単純な結び(knot)と色の組み合わせで、さまざまな模様が作れるのが面白い。そしてその単純な結びにすら技術の高低があって、上手な人が結ぶと目が揃い、色鮮やかに模様が浮き出るが、下手な人が結んだ目はでこぼこで、結び目が反転して軸糸の色が出てしまったりして、模様がきれいに出ない。編み物でのメリヤス編み同様、単純なものほど技術の高低が現れやすいようで、美しいものを作るにはある程度の没頭と作業に対する細心の注意、そしてそれらに裏打ちされた時間の積み重ねが必要なようである。


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↑ このハートは初心者向きのごく簡単な模様だが、くっきり浮き出た模様の美しさよ!
  私が作るとこうはいかない。



そしてフレンドシップ・ブレスレットから他のブレスレット→ジュエリー・メイキングに行きつくのは理の当然。このごろはPinterestとかいうお気に入りの画像を個人的にピンナップできる写真共有サイトがあるようで、適当なキーワードで検索すると、人様が集めてくださったさまざまな画像を一覧で眺めることができ、ついでに興味があるものについてはそこから元のサイトに行くこともできる。横着者にはうってつけのサイトである。このPinterestのおかげで、「365 Craft×CHARITY(365 手工藝×首公益)」とか「HONESTLY WTF」とかの眺めて楽しく、作って面白いクラフトサイトをしることができた。

触発されて、こんな ↓ ブレスレットを作ってみたが、

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ウチの近所では必要な金具が手に入らないので、ブレスレットに仕立てられないでいる。他にも作りたいものがあるので、いずれどこかのネットショップに注文しなければならないが、ネットショップもまた大手量販店風なところから、ちょっとスノビッシュなブティック風のところまで本当にたくさんあり、目移りして困ってしまう。扱っている品物だけを見れば、ブティック風なところの方が美しいものが多いのだが、それなりに値段も張るので、懐の寂しい私は迷うのである。幸いこういうジュエリー・メイキングの材料は、モノが小さく軽いので、送料が嵩まないのだけは有難いが。

  • 2013/08/13 11:19
  • Category: 雑記
ジェリーが車を買った。2004年のシボレー・マリブーで、すでに14万4000km走っているが、とりあえずまだまだ走れそうだし、トランクを開けるリモコンが壊れていてキーを使わないと開かないという以外、大きな不具合はないし、キズ、へこみもなくてきれいな外観だし、これで3000ドルならまあお買い得か。少なくとも、あちこち塗装が剥げてサビが出、ついでにオイルが漏れたり、機嫌が悪いとワイパーが動かなかったりしたこの間までの車に比べれば、格段に運転していて安心、かつ見場のよい車である。ジェリーは見場の良し悪しなど余り気にするタイプではないが、それでもそこそこ体裁のいい車の方が、乗っていて気分がよいだろうと想像する。

その昔米国では「乗っている車で、その男の程度が知れる」と言われた。高級車に乗っている男が常に資質高級とは限らないが、いい年をしてしょぼい車に乗っている男は、ほぼ確実にしょぼいというのである。例外は学生と女。

この判断基準は今でも有効なのか、同じ北米とはいえ文化も経済規模も異なるカナダでも該当するのかどうか定かではないが、自己を表すもののひとつとして、自身の車のグレードと外観を気にしている人たちがいることは確かである。たとえば従弟の一人は中古で買ったBMWを掌中の珠のように大事にし、せっせと磨き上げて娘には絶対乗らせないし、叔父さんの一人は赤い小型コンヴァ―ティブルから、もう少し自身の体格と年齢に合った銀色の大型コンヴァ―ティブルに変え、いかにも満足そうだ。お義父さんですら、最近濃紺のジェネシス(ヒュンダイ:イメージとしてはトヨタクラウン)から、漆黒のフォルテ(キア:イメージとしては日産セントラ?)に変え、一気に若返った。

その一方で、何しろ現在私が住んでいるところは車がないと日常の買い物にすら不自由するところなので、自己表現やステータスシンボルとしてというより、車は単なる空間移動のための道具と割り切って乗っている風な人も多い。通勤や買い物などで1日平均100kmくらいは走るとなったら、外観より何より燃費や耐久性の方が大事だし、へこんだってサビたって、走る限りは乗る、というタイプの人たちである。そういう人たちの場合、多少の見場の悪さは気にしない。手入れをしないわけではないが、無駄な見栄は張らないのである。実際昨日はウォルマートで、ぶつけて凹んだところをガムテープで修理した車に乗っている人を見かけた。これにはさすがに「へえ」と驚いて、そばに寄ってガムテープの貼り具合を確かめたりしたが、私自身、“車は単なる道具”派に近いので、こういう人は嫌いではない。少なくとも、これ見よがしの金ぴかな高級車に乗っている人よりは好感が持てる。質実剛健、質素倹約、物を長く大事に使うのはいいことではないか。ただ私は猫並みに濡れるのが嫌いなので、ガムテープを貼ったところから雨が漏らなければ、という条件付きではあるけれども。

収穫

花の様子を見ようと庭に出てみたのだが、風が冷たくていたたまれず早々に戻ってきた。気温16度だから半袖でいける、と思ったのだが甘かった。まだ8月で、空の青さ、雲のむくむくした感じは夏なのに、ちっとも暑くない。これでもう秋になだれ込んでしまうのか、ちと早すぎないか、ケベックよ。


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      やっと咲いたヒマワリ"Velvet Queen"も、なんだか寒そう


トロントから戻ってきたあたりからラディッシュがちょうど食べ頃になり、2、3日おきに大量に取ってきては実は酢漬けに、葉っぱは炒め物にして食べている。店で売っているラディッシュとは異なり、ウチのラディッシュは相当辛いので、生では大量消費が難しいのである。米酢がないので去年巻き寿司を作った時の残りのすし酢と砂糖少々、しょうゆ少々の漬け汁の中に、塩でしんなりさせたラディッシュの薄切りを漬け込み、1日ほど待つ。すると何とか食べられる程度の辛さになる。皮の赤い色が身に移り、全体がほんのりピンク色になるあたりもきれいである。

葉っぱの方は大根の葉っぱ同様やや苦味があり、「ものすごく美味い」というわけではないのだが、捨てるのが惜しいのでせっせと食べている。芽が出たばかりの頃、間引きした小さい小さい葉っぱは洗ってサラダに入れたが、実ができる頃の葉っぱは硬くてトゲトゲしていて、とても生では食べられない。ウチではもっぱら炒め物である。去年同じことをしたところ、成仏した青虫を発見してぎょっとしたことがあるので、葉を洗う時は裏も表もよーく見て、念入りに洗う。雪だるまはベジであるから、動物の遺骸が皿に載っていてはまずいのである。

そのほか昨日は、間引きした人参の葉っぱをサラダにした。まだ根っこに人参が発生していない、葉っぱだけの人参である。それでも香りは人参で、こういうものを食せるのも自家栽培の面白みか。自家製堆肥は使っているが農薬は使っていないので、まあオーガニック。

自家製堆肥といえば、この夏、秋の植え付けに備えて新開墾した花壇に自家製堆肥を入れたら、しばらくして花壇の真ん中に緑の芽が出現した。最初は雑草かと思ったのだが、どうも葉っぱの様子が違う。団扇のような形で、あまり普通の雑草っぽくないのである。なのでしばらく抜かずに放っておいたら、みるみる茎が蔓状に伸びだし、葉っぱも波打った団扇状になってきた。これはどう見ても胡瓜か南瓜か、ともかく「瓜」系の植物である。去年食べたキュウリかカボチャかのタネが、ウチのコンポストの中での腐敗→堆肥化の過程をくぐり抜けて逞しく生き延び、新花壇で芽を出したらしい。そばにはタマゴの殻のカケラもあって「堆肥から出てきました!」という様子がありあり。今では黄色の花をいくつもつけて、こちらに秋の実りを期待させている。さて出来るのはキュウリかカボチャか。雪だるまは取らぬ狸で「夏に食べたカンタロープメロンかも♪」という夢を見ているが、タネの大きさ、丈夫さを考えると、残念ながら冬に食べたカボチャである可能性の方が圧倒的に高く、ウチの花壇にカンタロープが2つ、3つ、ころり、という光景はまず出現しないと思う。ま、実ができるまで夢を見たまえよ、雪だるま。


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 これがその“ウリ系”植物。元気に育っているが、君はいったい誰?

小日向さん

  • 2013/08/07 20:59
  • Category: 映画
一昨日だったか、夢に小日向文世(こひなた・ふみよ)さんが出てきた。新しく知り合った友達を訪ねたら、お父さんが小日向さんだったのである。生真面目で厳しく、禁欲的なキリスト教徒で、くだらないことを喋って遊んでいる私たちを怖い目で見て「今日は日曜ですから、聖書を読まなければいけません」と、娘を別室に引っ立てて行くようなお父さんだった。夢の中の私は「へえ」と感心していた。怖いお父さんだったけど、嫌な感じではなかった。

小日向さんは、最近の私のお気に入りの俳優さんである。90年代の終わりくらいから、いろいろな映画に出演されていたようだが、端役だったし、“数多居並ぶ俳優陣の中で一際目立つ”といったお顔立ちでもないので、注意散漫な私は気が付かなかった。注目したのは『ステキな金縛り』(2011年)からである。日本からの帰りの飛行機で暇つぶしに見たこの映画が案外楽しく、ことに“あちらの世界の管理局公安”役だった小日向さんの、ちょっと嫌味で気障で、ちょっとペダンチックなキャラが、主役の常にむさくるしい落ち武者・西田敏行さんや、キリリとハンサムな検事・中野貴一さん、お茶目な弁護士・阿部寛さんらを抜いて格段にステキで、私に「この俳優さん、おもしろい」と思わせたのである。

ウィキによれば、小日向さんは『Always三丁目の夕日』(続も)や『それでもボクはやっていない』などにも出ていらしたようで、判事役だった『それでも・・・』はともかく、作家志望の茶川が面倒を見る古行淳之介君のお父さん、慇懃だがやや嫌味な川渕康成氏は、「そう言われてみれば、あれは小日向さんだったか」と思い出した。『ステキな金縛り』以降に見た『必死剣 鳥刺し』では、さすがにすぐに気づいて「あ、こんにちは!」とTVに向かって挨拶したが、ここでも準主役級の岸部一徳さんや村上淳さんに比べると目立たない役で、出番もあまりなく残念。主役を演ったという『犬飼さんちの犬』あたりを見てみたいが、さてDVDは手に入るのだろうか。


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     ↑ この方が小日向さん。お顔に見覚えある?

黒龍江省豆

今年はペチュニアとかゼラニウムとかパンジーとか花を育てるのに手いっぱいで、野菜はトマトとラディッシュと人参しか作らなかったのだが、来年はもう少し手広く野菜を育ててみようかと思う。例のトロントで泊めてもらったジョゼ&ブライアンが裏庭いっぱいに各種の野菜を作っていて(なにしろ敷石と敷石との隙間にまで、葉物野菜を植えているのである。その空間利用の徹底具合には脱帽)、元気いっぱいにすくすくと、あるいは逆境にめげそうになりながらも何とか精一杯伸びようと奮闘しているトマトとか豆とか葉物とかを見せてもらったうえ、珍しい種の話とか、種の交換会(Seedy Saturdayと言うそうだ。Seedyはみすぼらしいとか怪しげなとかの意味だが、もちろんSeed/タネと引っかけているのである)の話とか面白い話をいろいろ聞かせてくれて、ついでに「そういえば5月から野菜は全然買ってないわ」と我がケチ根性倹約精神を刺激するような発言まで聞かされたので、俄然「来年はもう少し頑張ってみるか」と触発されたのである。

「庭で野菜♪」と考えた時、実は一番作りたいのは日本のサツマイモ(ああ、愛しの紅あずま!)なのだが、これはまともに作ろうとすると結構な面積が必要だし、「そもそも種イモをどこで手に入れるのさ?」という問題があるので来年はまあ置いといて、とりあえず豌豆から入ることにした。私は全部丸ごと食べられるサヤエンドウが好きなのだが、当地では結構高価でセールの時しか買えないので、まずはこのあたりから。サヤエンドウはポピュラーで、ホームセンターや種苗店でシュガーピー系、スナップピー系等、数種のタネが手に入るので、その点でも手軽である。裏庭で数種のエンドウを作っているジョゼによれば、「エンドウは簡単。蒔けば芽が出て伸びる」とのことで、普通のタネはどこででも手に入るからと、知り合いから分けてもらって育てたという“Heilongjiang Pea(黒龍江豆)”のタネを、私にも分けてくれた。

何かのDMの返信用封筒に入れてくれた(財を成した華僑の娘らしく、ジョゼは倹約家である)タネはまだ莢つきで、黄色くカサカサに乾いた莢や中の豆は、ふつうのサヤエンドウよりやや大きめ。黒龍江省の省都であるハルビンや、その西のチチハルには仕事で何度か行ったが、冬季マイナス30度くらいになる彼の地は、ご当地ケベックと気候がよく似ている。彼の地で育つ豆ならば、当地でもよく育つだろう。来年までにせっせとコンポストを作って、春の種まきに備えよう。雪が融けるのは、来年もまた4月末かな?

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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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