速度を上げるのだ

  • 2015/03/29 21:48
  • Category: 言葉
金曜日、修理工場(その名も“Collision Expert”!)に行ったら
エラちゃんは入院せずとも、外来で直ると言われた。
つまり代車なし。ラッキー。
新しいバンパーが届いたら工場で同じ色に塗装する。
塗装が終わったら電話するのでまた来てね、だそうである。
取り付けそのものは1時間ほどで終わるらしい。

というわけでエラちゃんはバンパーの一部が欠けたまま
走り回っている。
なんだか歯が1本欠けた人がにっこり笑った時のようで
エラちゃんが妙齢の美女であるだけに、
見るたびに些か滑稽かつちぐはぐな感じがして
こちらの顔にも微苦笑が浮かんでしまう。
歯が1本ないのは変だよな、やっぱり。

ところでこの間から雪だるまに読んで上げている「L'odeur du café」
当初はなにしろ発音を直される回数が半端でないので
1日1ページのスピードだったのだが
昨日ふと総ページ数をチェックしたら200ページ以上あり
1日1ページでは1年近くかかる(用事や体調で読めない日もあるから)
ことが判明したので、昨日から速度を2倍に上げ
1日2ページ読むことにした。調子がよければ、もっと読む。

読み進むにつれ、辞書を引く回数もだんだん減って来たし
発音を直される回数も(少しは)減って来たので
この調子で頑張れば、夏くらいまでには読み終われるのではないかと思うが
さてどうなるか。

それに、少しはましになって来たとは言っても
相変わらず苦手な音は多々ある。
昨日は「pleurais(泣いた)」で難儀した。
私の場合、LとRが一緒に来ると、舌がれろれろしてしまって
口がもとらなくなるのだ。
ついでに「sur」とか「vu」とか、「U」(発音記号は「y」)の音も苦手だ。
日本語の「う」とは違う音なのだが、私の舌と口はナマケモノなので
ついつい日本語の「う」で代用してしまい
雪だるまに「違うよー」と言われる。
で一生懸命正しい音を出そうとするのだが
なかなか成功しない。
そんな調子なので、ほんとに、2、3ページ読むだけでも
100メートル走をした後くらい、はあはあする。

救いは著者 Dany Laferrière さんの文章が散文詩のようで
ゆったりと伸びやかに流れていること。
しかも舞台は60年代のハイチ。
“Da”と呼ばれるお祖母さんや、たくさんの叔母さんたち、
色とりどりの服、大きな麦わら帽子をかぶった男たち、
赤い自転車やびっこの犬、敷石の割れ目を行ったり来たりするアリ、
腹這いになってそれを観察する10歳の著者。

政治的には、パパ・ドクの独裁が始まって数年
平和でも豊かでもなかった時代だろうけれど
祖母たちと暮らす著者の日常は穏やかで
南の強い太陽や湿った風が、読んでいるこちらにも吹いてくるようだ。
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「フィッテッドシーツのたたみ方」

  • 2015/03/26 21:00
  • Category: 雑記
火曜日、保険会社に行って「事故りました」と報告し、修理の手配をしてもらった。明日、我らがエラントラ嬢は修理工場行きである。しばらくバイバイ。きれいになって帰っておいで、エラちゃん。

ちなみに今回のような事故は、保険会社の用語では“collision avec le sol”と言うらしい。直訳すれば、“地面との衝突”である。この言葉を聞いた時、「いくら私でも、地面とは衝突していないんですが・・・」とは思ったが、電信柱とか塀とか或いは雪/氷の塊りとか、とにかく車や人以外とぶつかった場合は、すべて“collision avec le sol”に該当するらしく、私のケースもその項目で処理された。なんだかすごく間抜けに聞こえて、「ふははは・・・」と力なく笑うしかない感じである。ふははは・・・

それはともかく、今日のお題は「フィッテッドシーツのたたみ方」である。家事にはさほど熱心とは言えない私がなぜこんなお題で書くかというと、ヴィデオで見たたたみ方をやってみたら、ほんとに今までよりは格段にきれいにたためたからである。そのヴィデオというのはこれ。(




お使いの方はよくご承知と思うが、フィッテッドシーツというやつはマットレスの厚み+αのマチがある上、ゴムまで入っているので、たたもうとしてもなかなかきれいにたためない。いくら四角くしようとしても一向に四角くならないし、平らにもならない。なのでだいたいは途中で嫌になって、最近では乾いたシーツはそのままてきとーにくるくる丸め、見える面だけいかにも畳んだように見せかけてタンスに押し込み、知らん顔をしていたのだが、このヴィデオを見てやってみたらできたので、「おお!」と開眼。面白くなって、タンスに押し込めていた4枚すべてたたみ直し、おかげでタンスは格段にすっきり。イライラが少し減った。

これをお読みの方でシーツの始末にお困りの方がいらっしゃいましたら、ぜひお試しくださいませ。一見、こんがらがりそうで、私も1回目は視聴者の方同様失敗いたしましたが、2回目はできました。面のつながりを頭に描きながらやりますと、うまくいきますです。

車がこれほどやわだとは・・・

  • 2015/03/24 21:42
  • Category: 雑記
車を壊してしまった。

昨日ウチに帰ってきて、「車を入れる前に」と
明日の回収に備えてガレージからリサイクル品ごみ箱をガラガラと引き出して
道路際に並べ、さて、と車に戻ったところで、右前部のバンパーに
大きな穴が開いていることを発見。
「はあ?」と、しばらく我が目が信じられなかった。

確かにその日学校に行く時、向こうからやって来たスルールバスに道を譲るべく
急遽右端によけて、その際、大きな雪の塊りを撥ねてしまったが
まさかあの雪の塊りが、この大穴をこしらえたのか?
だって雪だろう、あれ。なんで車が負けるのだ?

しかし信じられなくても何でも、とにかく現実に我らがエラントラのバンパー右端は
大きく欠損して、覗くと中の配線やらウィンドウウォッシャー液のタンクやらが
見える始末。
愕然としたままガレージのドアからウチに入り、雪だるまに
「大変大変申し訳ないが、私は車を壊した」と、フランス語で(←えらい!)報告。
「なんだってぇ?」という顔の雪だるまと共に、ちょうどウチにビールを飲みに来ていた
ジェリーもガレージにやって来て、車を検分。
「派手にやらかしたねえ」と、私に向かっておどけた顔をしてみせたが
私はそれでもまだ半信半疑で、「だって雪の塊りを撥ねただけなのに」と
事の次第を説明(これは仏語ではできませんでした。しゅん・・・)
どうして雪を撥ねて車が壊れるわけ?と言い募ったが
雪だるまとジェリーによれば、私が撥ねたのはたぶん雪の塊りではなく氷の塊りで、
特に除雪車によって押し固められた雪の塊りが、気温の上昇と低下で
一度融けかけまた固まった場合は、岩のように硬くなる。
最近の車はバンパーとか車自体は簡単に壊れ、壊れることによって衝撃を吸収して
中の人間を護るようにできているから、そういう氷の塊りを撥ねた場合は
車に勝ち目はないのだそうだ。

そういえば学校の駐車場では、よくバンパーや側面をガムテープで補修した車を見かけるが
そうか、あれは別に派手に事故ったわけではなく、単に氷の塊りを撥ねたり
避け損ねたりしただけだったのかもしれないなあ、と思い至った。
そして、そんな風にして壊れた場合、金のない学生はいちいちガレージに持ち込んで直したりはできないから
自分で似たような色のダクトテープを買ってきて、壊れてしまったところを補修しているのかもしれない。
私も一瞬「あの雪を撥ねたところに戻れば、取れちゃった破片がまだ残っているかも!」と思ったが
学生よりは金があり、ついでに保険にも入っている雪だるまが、ダクトテープではなく
普通にちゃんと直すことを主張したので、私たちは今日、保険屋さんへ行く。
たぶんバンパー全体を取り換えなければならないはずで、その間は代車。
事故ってないので今年は安くなった保険料も、これで来年はまた上昇かも。
それもこれも全部自分のせいかと思うと
なんだか引き続き冴えない気分の私である。


風邪が

先週の日曜の朝、突然始まった風邪がなかなか治らない。
熱はなく、頭痛も筋肉痛もなく、ただひたすらに鼻水をたらし、
かと思うと突然鼻づまりになって、ふはふはと口で呼吸しなければならなくなるだけで
ものすごく調子が悪いわけでも、また日常生活に大きく支障を来しているわけでもないのだが
ティッシュの箱、あるいはハンカチなしにはどこにも行けない点、
甚だ面倒くさくはある。

しかもワタクシ、風邪を引くのは久しぶりなのだ。
3年前カナダに来て以来、きれいな空気に囲まれているせいか
あるいは人混みに出なくなったせいか、
人が鼻かぜを引いていようと
グリップ(流感)に罹っていようと
ガストロ(下痢、吐き気中心の風邪)に悩まされていようと
私自身は平気の平左で過ごせていたというのに
ここにきて突然風邪を引き、しかももう1週間近くぐずぐずと症状が続いているのは
いったいどうしたことか。
春が来たかと思ったら、また雪が降り始め、しかもせっせと積もっているのに
ほとほとうんざりした我が免疫系が、「もう、いやだ!」とばかりに
フロリダあたりに行ってしまい(冬の間フロリダに逃げ出すケベッコワは数多い)、
その間隙をついて、風邪のウィルスが長期滞在を決め込んでいるのだろうか。

何にしても今日も朝から大きなくしゃみ4回、
しょっちゅう鼻をかんでいるので、鼻のあたりは赤くなり
ニベアを塗っても、何だかひりひりと痛い。

これで今日は夕方から、叔父さん(お義父さんの一番下の弟)夫妻の
金婚式のお祝いのため、はるばるモントリオールまで行かねばならないのである。
当町在住の親戚たちは、「なんでモントリオールでやるんだよ?
せめてラヴァル(モントリオールの手前にある市)でやってくれれば
いっつも渋滞の市内に入らなくて済むし、駐車場探しも楽なのに」
とぶーぶー言っているが、叔父さん夫妻は現在、近郊の街在住でも
パーティの段取りをしている娘が生粋のモントリオールっ子で、
他の街でやろうなんて頭の隅にも浮かばない人なのだから、仕方ない。
車2、3台に分乗して、雪の中を(そう、今日も朝から雪だ)
えっちらおっちら出かけていくしかないのである

さっき「忘れないうちに」と、ティッシュの箱はお出かけバッグに入れたが
こんなものを抱えてパーティに行くのは、なんだか気が重い。
こう鼻ばかりかんでいては、いくら化粧してみたところで
5分もしないうちに赤鼻のトナカイと化すことは目に見えているし
なんかすごく冴えない気分である。


Rudolph.jpg

「忘却の特効薬は繰り返し」

  • 2015/03/20 08:37
  • Category: 言葉
何だか最近、少しフランス語が喋れるようになってきた気がする。
ここしばらくジョジアンは、週一くらいのペースで他クラスの生徒さん(つまりこの成人学校で数学や歴史、語学などを学んでいる普通の仏語ネイティブのケベッコワ)を呼んで来て、1対1で30分ほど、私たちの会話の相手をしてくれるよう頼んでいるのだが、そしてそれはいつも私にとっては大変苦痛な30分であったのだが、ここ何回かはその苦痛の度合いが少し減ってきた気がする。

もちろん相変わらず耳と口の不自由な初級者であるので、喋れるのは発音も文法も間違いだらけ、片言もいいところのフランス語ではあるのだが、とりあえず何とかあれこれと会話をでっちあげ、冷や汗をかきながら30分、間を持たせることができるようになってきた。

これはやはり、ここ何週間か続けている毎夜のディクテとテキストの書き写しのおかげかもしれない。ついでにこの間から始めた雪だるま相手のオハナシの音読も、“フランス語(らしきもの)を口から発する”という練習になっているのかもしれない。(ちなみにオハナシはめでたく「赤ナプキンちゃん」を終了し、昨晩からDany Laferrièreの「L'odeur du café」に入った。こちらは子ども向けではないので、ちょっと難しい。また、コメディではないので、ほのぼのした気分にはさせてくれるが、笑いは取れない。少し残念)

こうしたディクテや書き写し、音読のおかげで、徐々にだが使える単語数と言い回しが増えてきたことが、会話をでっちあげる際、大きな助けになっていることは間違いない。千野栄一先生が名著「外国語上達法」の中でおっしゃっている通り、外国語習得の基礎の基礎は「単語と文法」なのだ。しかもこの順で。意思疎通のためには、最低限、鍵となる単語を知っていることが重要で、それさえクリアすれば、あとの動詞の活用なんかは派手に間違えていても、(単なるお喋りならば)何とかなってしまうのである。逆に言えば、使える単語数が少ないうちは、いくら文法が頭に入っていようと、ほぼ会話にならない。だって言いたいことが言えないし、相手の言っていることもわからないのだから。

ちなみに書き写しに使っているのは杉山利恵子先生のこれ。「初級も修わらないうちから中級かね?」と嗤われそうだが、まあ志は高くということで。10書き写しても覚えられるのはせいぜい2つか3つだが、まあいいのだ。1回終わったら、またもう1回やるまで。もう一度千野先生を引用させていただけば、「忘却の特効薬は繰り返し」しかないのだから。

また雪だ

先週、日中の気温が0度を超えるという暖かい日が2、3日続いて
物置の屋根の雪が融け、道路の雪も融けてアスファルト舗装が見え始めた。
「やったー、春だぜぇ!」と喜んで、いそいそと花の種や球根を買いに走り
土曜日にはそのうちの一部、ベコニアの球根を鉢に植え込んだというのに
何とその夕方からまた雪が降り始めた。
しかもこんこん、瑟瑟(ちょっと違うか)という感じに熱心に降り続き
一夜明けた日曜は、また一面の雪景色。
ったく、やってられねえぜ、と悪態のひとつもつきたくなる。

前の家の車なんか、半分かた雪に埋まってしまって
何とも哀れ。

やはりケベックの景色から雪を消すには
5月の声を遠くに聞くようにならないとだめなのか・・・

IMG_0103.jpg

「赤ナプキンちゃん」

  • 2015/03/14 23:04
  • Category:
梨の木さんが紹介していらした「Le petit napperon rouge」、PDF版を印刷して読み始めてみたらこれが面白くて、♪止められない止まらない♪ のかっぱえびせん状態。ふつうフランス語の文章は、辞書を引く回数が半端でないこともあって30分も読むとくたびれて「後はまた明日・・・」とか思ってしまうのだが、この「赤ナプキンちゃん」はその倍の1時間くらいはつっつける。お話の続きが知りたくて、ついつい「あともうちょっと」と渋る目をなだめつつ、読み続けてしまうのだ。昨日も頑張って読んで、あと2ページのところまで漕ぎつけた。A4、2段組みで7枚のお話なのだからフランス語が母語なら小学生の子どもでも1時間ほどで読めてしまうところだろうが、私は今日ですでに3日目。カタツムリも驚くのろさである。

でも、いいのだ。もしこれを読み終われれば、この「赤ナプキンちゃん」は私がフランス語で完読できた記念すべき第1冊!になるのである。今まで授業や何かで、大きな活字で2、3ページ程度の超短編は何作か読んだが、“本”を読み終えたことはなかったのだ。(去年の夏、世界の定番、みなさまの愛読書「星の王子様」に挑戦したが、全然面白いと思えなくて2ページくらいで挫折した。あの話は私には向かない)なので、これを読み終えることが出来れば、仏語完読第1作! じゃじゃーん!!である。

思えば日本語で完読した最初の本は何だったのか、今となっては余りに昔過ぎて記憶のカケラすらない。英語も思い出せない。学校で読まされたのは別として、自分で完読した最初の本はロバート・B・パーカーあたりか。それとも「足長おじさん」か。中国語は、広州の本屋で買った誰かの小説だろうが、これも記憶になし。当時、中国は本が安くて、邦貨20円も出せば本が1冊買えたのである。表紙のカラー印刷は安っぽかったし、使われている紙も呆れるほど粗雑ではあったけれど。

それはともかく、この「赤ナプキンちゃん」、面白いので、毎晩その日読めたところまでを、雪だるまに音読してあげている。もちろん、発音練習を兼ねてのことである。フランスのフランス語なので、彼が聞いたことのない単語や言い回しもままあるのだが、全然意味がわからないなんてことはないので、まあだいじょうぶなのだ。それにお話が面白いので、私が超下手くそに読んでも、勘所では笑ってもらえる。私は関西人ではないが、笑いを取れるとなんだか嬉しくて、「また明日も読もう!」と頑張る気になる。実はさっきも、朝ごはんを食べながら少し読んだ。とうとう憲兵が登場。おばあさんが作っているサラダ菜の上にトラックを停めてしまったりしていて、さてどうなることやら。生きて帰れるんだろうか、この憲兵たち。

人騒がせな

日曜日、ダウンタウンのウォル○ートと、もうひとつRという超小型百貨店に
爆発物を仕掛けたという電話があり、一時、客と従業員が避難するという騒ぎがあったそうだ。
私は日曜日は一日中家にいたので、そんなことがあったとは
翌日ジムで新聞を見るまで知りもしなかったのだが、
フランス語のクラスでもジョジアンがその短い記事を取り上げたので
ジムではざっと飛ばし読みしただけだった記事を
隅から隅まで入念に読むことになった。

記事によれば結局爆発物は見つからず、悪質ないたずらということだったようだが
それにしても人騒がせな話。
第一、人口5万もないような、こんな田舎町にある商店の客と従業員を、
偽電話で一時避難させたところで、何程のインパクトがあるというのか? 
全然わからん。
ウォル○ートはともかく、Rという店なんか、衣類から寝具、家具まで扱う百貨店とはいえ
売り場は1フロアしかないし、大して広くもない。
おまけに、いつ行っても客はあっちにぽつり、こっちにぽつりという感じで、10人もいない。
実にさびれたしずかーな店なのだ。こんな店を爆破してどうする?
おかしな話!と思っていたら、夕方には容疑者逮捕の続報がネットに出た。

それによると容疑者は当町在住のスティーヴン・××(英語系の姓名)という44歳の元軍人で
ウチの町だけでなく、ケベック市やモントリオール、オタワなど複数の街に
同様の電話を20本以上かけたらしい。
もちろん全部ガセで、実際に爆発物を置いたわけではないのだが
はた迷惑な話であることに変わりはない。

このスティーブン氏、もともと精神に深刻な問題がある方で、今までにも問題を起こしており
警察関係者の間ではよく知られた人物なのだそうである。
だからこそ最初の偽電話(4日)から数日で逮捕となったわけだが
私が嫌だなあと思ったのは、彼が電話をかけるにあたってアラブ系のアクセントで話し
しかも「ヒジャブ」と名乗ったこと。
それでなくても昨今の情勢から、アラブ系やイスラム教徒に対する風当たりがますます強くなって
(叔母さんの一人ですら、先日「モスレムは嫌い」と公言したのだ。たぶん個人的には
一人のモスレムも知らないだろうに)
たくさんの、ごく普通のアラブ系の人やイスラム教徒が迷惑し、
あるいは(身の危険は感じないまでも)、周囲のどことなくトゲのある視線に
不快な思いをしているだろうと思うと、その理不尽さと周囲の狭量に
こちらまで暗澹たる気分になりがちだというのに
その上さらにこれか。

まったく、精神疾患者のやったこととはいえ、社会の空気が色濃く反映されている点
「病人だから」では済まされない、いやらしさを感じる。

V君

  • 2015/03/08 06:13
  • Category: 言葉
昨年10月末、初めてウチに現れた日本語勉強中のケベッコワ、V君は、その後もほぼ毎週、日曜日の午後になると「こんにちは!」と元気な声でウチに来ている。仕事や他の用事で来ないこともあるが、余程のことがない限り2週続けて休むことはない。零下の気温の中、車ではなくバスと徒歩で来るのだから面倒くさい時もあるだろうと思うのに、サボることはまずない。趣味のお勉強にしては誠に熱心である。

で最初の3か月は、「とにかく喋りたい」ということだったので、特にテキストを用意したりはせず、その時々の時事やV君が興味を持っていること、こちらが面白いと思うことなどについて、とりとめもなく喋り、たまにわからない単語の意味を説明したり、類語を補足したりするくらいだったのだが、前々回たまたま高齢者の生きがいの話から「シルバー人材センター」の話になって、某自治体のシルバー人材センター関係のウェブサイトを解説しつつ一緒に読んだら、それが結構面白かったらしく、「次回も何か読んでみたい」というので、ご要望に応えて前回は簡単なのと難しいのと2つ用意してみた。

簡単な方は、語彙、文法とも初級者向けに編まれた会話文で、内容はある米国人が自分の国とは違う日本の習慣にやや戸惑ったというもの。日常会話は全く問題ないV君なので、会話で構成されたこのテキストは読みやすかったらしく、すらすら読んであっという間に終了。読めない漢字もなし。もう一つの方は速水健次郎さんという方の「仕事中心主義の弊害と生きがい」というエッセイ。タイトルに「弊害」なんていう言葉が使われていることからもわかる通り、こちらは新聞や雑誌などに普通に載っていそうな文章で、特に日本語学習者向けに編集されている感じはしないのだが、これでも中級者用だそうである。じゃあ上級者用はどんだけ難しいんだか・・・という気がしないでもないが、V君、こちらはやや歯ごたえがあったようで、読めない漢字もちらほらあった。ただし読解の勘はいいので、知らない言葉があってもちょっと意味を解説してあげれば、内容は的確につかめるし、理解も速い。そして面白がって、目を輝かす。今までお喋りしている時にも思ったが、V君は文化、社会、政治ネタが好みのようすで、その手の話になると俄然うれしそうになって、表情が生き生きしてくる。その楽しそうなようすは、見ているこちらも元気になるほどで、おかげで彼と喋った後の日曜の夜は、私も日頃の鬱々気分が少し晴れる。

それに実のところ、文化、社会、政治ネタは私が好みとするところでもある。だからこそ日曜ごとのお喋りが続いていたわけで、これでV君の好みがスポーツ、アニメ、科学系だったら、私は話の接ぎ穂が見つけられなくて、お喋りは2、3回で終了していただろうと思う。共通の興味がない人と話を続けるのは、いくら日本語という母語での会話であっても私にはしんどいのだ。

さてそのV君、昨日「今週もよろしく!」というメールが来たので、「よし、それなら♪」と今回は大前研一さんの「日本の論点」を読み物テキストに用意してみた。前回「仕事中心主義の・・・」が読めたのだから、これもたぶんいけるだろうと踏んだのだ。「日本の論点」は一続きの文章でなく、トピックごとに分かれている点、テキストとして便利だし、文章は平易。書き込みできるようにワードで打ち直しても、各トピックがA4で3ページほどと手頃である。今回は08の「なぜ日本人は、かくも覇気がなくなったのか?」を選んでみたが、さてV君は面白がってくれるだろうか。

「ころころ」

  • 2015/03/04 23:49
  • Category: 雑記
最近、「ころころ」にハマっている。
まだ自分では買っていないので、ジムに行った時やるだけなのだが
これが結構キツくて、楽しい。

「ころころ」というのは、こういうものである。

ab roller


正式名称は、「ab wheel」とか「ab roller」とか、
日本語では「腹筋ローラー」とか言うらしいが、
しかし私はもっぱら「ころころ」と呼んでいる。
だって、一度やってごらんになればわかるが、
文字通りころころ転がして使うだけの、実に単純な運動具なので
御大層な正式名称よりは「ころころ」という子供のおもちゃのような名前の方が
雰囲気にぴったりくるのである。

で、使い方は下のヴィデオのとおり
ふつうは、膝をついた状態で「ころころ」を前に押し出し
自分が伸ばせるところまで、腕と胴体を伸ばして
それからまたもとの姿勢に戻る。




筋力のある人は、ひざではなく、腕立て伏せをする時のように
爪先と腕で身体を支えた状態からやったり
あるいは立った状態から始めたりするが

立った状態から ↓
(見ると簡単そうだが、ぜったいに簡単ではない!)





私はそんな芸当はとてもではないが出来ないので
大人しく膝をついた状態でやっている。
それでも私には十分、きつい。
10回×3セットもやれば血圧が上がりきって顔が真っ赤になり
(腹筋にも腕にも肩にも首にも力がかかりますので)
「今日はもういいです」という気分になる。
体力の絶頂期にあるワカモノではあるまいし、
無理をしてどこかを傷めては元も子もないので
適度にきついくらいのところで止めている。

ただし、上記のヴィデオを見て気づいたのだが
わたくし、昨日まで姿勢を間違えていたらしい。
ヴィデオのインストラクターは「腹を引っ込め」、
「背中を丸めて」と言っているが、
わたくし、背中を伸ばした状態でやっていた。
別のサイトで読んだのだが、背中を伸ばして
あるいは背中を反らせた状態でやると
腰を痛めるんだそうである。
道理で、時々腰の筋肉が痛いと思ったよ。
明日からは「猫背姿勢」でやるよう気をつけよう。

この「ころころ」、メーカーも各種サイトも
「腹筋トレーニングには最強!!」とか
「×か月で、腹が割れる!」とか、その効果を喧伝しているが
私の場合、寒ブリ状態が進行中で
腹の周りにたくさんの脂肪がついているので
いくら「ころころ」に励んだところで、宣伝のとおり
6パックが出現!ということにはならないと思う。
ただ寒ブリでもトドでも、寝るにせよ、起きるにせよ、腹筋は大事なので
寝たきり寒ブリや、寝たきりトドにならないよう、
せいぜい「ころころ」に励もうとは思うが。

ナビ 成田 カフカの城

  • 2015/03/01 00:34
  • Category: 日本
そういえば今回の日本では、最終日、実家からの帰りは妹に車で成田まで送ってもらったのだった。もともとは上野まででいいよ。京成乗れば1時間半だからと言っていたのだが、関越の三芳SAで休憩していた時、「もうしばらく会えないねえ」という話になり、じゃあ成田までドライブして少しでも長く一緒に過ごそうかということになって、三芳で急遽ナビに前泊することになっていた成田のホテルの住所を入れ、そこまで送ってもらうことにしたのである。ナビによれば、三芳SAから成田のそのホテルまでの所要時間は、有料道路選択で約2時間半。遅くとも5時過ぎにはホテルに着く計算だった。

でナビにしたがって走り始めたのだが、ナビの最初の指示は「関越を下りなさい」というもの。私も妹も「ここで関越下りて、どう行くんだろう。都内に入ると面倒くさいから、埼玉から直接千葉へ抜けるのかな」と、やや不審に思いつつも指示通り下りて一般道へ。車は三芳から朝霞へ入り、自衛隊のカンバンなどを横に見ながら、春っぽい陽射しのなかをすいすいと進んだ。この日はお天気がよく、暖かかったのだ。

しかしすいすいと進んではいるものの、ナビは一向に「××高速に入れ」という指示をしない。あくまで一般道なのだ。こちらとしては別に無理やり高速を使いたいわけではないが、高速を使わずして一体どうやって三芳から成田(最短でも170kmはある)まで2時間半で行けるというのか? ようわからん・・・と思いつつも、何しろ走ったことのない道。別の道を行こうという算段も浮かばず、そのままナビの指示通り一般道を走り続けた。

そして車はその後、埼玉から東京に入り、練馬から板橋、足立と東京の北辺を舐めるように走行。「渋滞の都内を迂回」という予測は見事に外れ、住宅と商業施設がごちゃごちゃと入り混じる典型的な日本の街を、ひたすらうねうねと走り続けた。このあたりでいい加減、妹と二人「こんなんで、ほんとに成田に着くのかいな」と訝り始めたが、上にも書いた通り東京北部から成田に行く道など不案内なので、ナビの言うとおり走り続けるしかない。すでに2時間近く経過しており、街はそろそろ昼下がりというより夕方に近くなってきたが、如何ともし難し。

そうこうするうちにやっと「松戸」という標識が見えて来て、後ろに座っていた雪だるまと三人して「やったー、千葉に入ったよ!」と喜んだが、千葉に入ったとは言っても道はますます細く、くねくねと曲がって、天下の“新東京国際空港”へと繋がる道路という雰囲気は全然なし。道の両側に並ぶのは広い前栽の農家、周りは梨畑である。松戸にはたくさんの梨農家があり、秋には梨狩りができると知ったのは収穫だったが、「このナビ、ほんとに正確なのか?」という疑問がますます深まった。

そして街は夕暮れから夕闇に近くなり、田舎道はほとんど農道と化して、田畑の中をうねうねと走る。確かに成田空港の周りは農業地帯のはずで、だからこそ「この豊かな農地を空港にするのなぞ、もってのほか!」と予定地にされた農民たちは筵旗で空港建設反対を叫んだのだったが、そうは言っても空港へ行く道路がここまで見事に農道なのはおかしくないか? などと思っているうちに道はますます暗くなり、勾配も出てきた。どうやら山の中に入る気配。「成田“山”新勝寺ってのは、文字通り“山”の中にあるんだっけ? そんなはずないよな・・・」と助手席に座る私の頭には愚にもつかない想念ばかりが浮かぶ。運転する妹の方も、いい加減うんざりの様子で「このナビ、ぜったい変!!」とぶーぶー。時はすでに午後6時近く。道は真っ暗である。

が、走行することしばし。その真っ暗な山道の下り坂をふっと抜けると、目の前に突然片側2車線の広い道路が現れた。おまけに「成田空港↑」なんて看板まである。今度こそほんとに「やったー!」である。山道を徘徊している時には、カフカの城みたいにこのまま延々走り続けるだけで、永久に空港には着かないのではないか?などという想念まで浮かんだが、どうやら道は成田に通じているらしい。街の灯りも見えて来たし、未来は明るい。そのうち今度は「成田空港300m」なんて看板まで現れた。ダッシュボードのナビも「目的地まで300m」と表示。おお、するとホテルは空港敷地内にあるのか?! ツイン1泊5000円で、その近さはすごい! と大いに感心していると、ナビが突然「まもなく料金所です」と言い出した。「は?なんで今さら料金所?」と、妹と二人顔を見合わせていると、ナビは続いて「次の分岐点で左折です」と言う。後ろから車も来ているし、まさか急に停車するわけにも行かないので訝りつつも指示通り左折すると、そこはどうみても高速へのランプ。そして「えーっ!?」と言っている間に、車は本当に東関道の入り口に乗り入れてしまった。

驚愕する3人を尻目に、ナビは涼しい顔で「まもなく目的地です」とアナウンス。そんなはずない、いくら何でもここで東関道に入るはずはないと、後続車に警笛を鳴らされて(そりゃそうだ、料金所のゲート前で立ちすくんでいるのだから)パニック気味の妹は、無理やり車を路肩に寄せ、ハザードを点灯、再度ナビを入れ始めた。私もホテルの住所を再確認。と同時に、どこかに戻れる道はないかとあたりを見回す。そうしてふと顔を上に向けた時、料金所の左側に迫る岩肌、切り立った崖のはるか上に××ホテルというネオンサインを発見。乱視老眼の目を無理やり凝らしてよーく見れば、それこそ我が目指すホテル! なんとホテルは東関道の入り口横の崖の上にあったのである。

思えばナビが古すぎたのか、ホテルが新しすぎたのか、ホテル名ではナビを入れることができず、住所で入れたのが運の尽き。ナビは正直に住所地番で検索して、その地番に我々を案内したのである。不運だったのは妹のナビの中では、その地番が崖上のホテルも崖下の料金所も同じだったこと。おかげで我々は目的地のホテルを崖上に見ながら、しかしそこへは行けないという、カフカの城状態に逆戻りした。

しかしとにかく料金所から抜け出さなくてはということで、妹は料金所のゲートの上にキラキラ光る「逆走車を見たらXX番へ」という番号へ電話。間違えてゲートまで来てしまったが、行きたいのは成田市内だと説明。ひたすら陳謝。すると10分ほどして係官が現れ、申し訳ないけどここではUターンはできないので、とりあえず10km先の最初の出口まで走って、そこから戻ってきてください。出口でこの私の判を押したチケットを渡して説明すれば、料金はかかりませんからと言う。これからまた10km、往復20kmも走るのか?と妹はげんなりした顔をしたが、係官に「パトカーでもここではUターンできないんです」と言われては仕方なし。大人しく10km先の最初の出口まで行って戻り、今度は東関道を出る前にホテルに電話して道を聞き、やーっと目的地のホテルに着くことができた。すでに午後7時を過ぎていた。三芳からホテルまで4時間半かかった計算である。慣れない道をずうっと運転し続けた妹には、本当にご苦労様だった。

それにしてもナビ。道路や施設の状況は日々変わるし、情報を更新できない旧型ではナビの情報と現状が合わなくなるのもやむを得ないが、今回の事態はなかなか傑作。目の前に料金所のゲートが現れた時にはおかしいどころではなかったが、今思い返してみると、けっこう笑える状況である。妹も後日、「あれは可笑しかった。運転し過ぎて翌日は右手、右足が筋肉痛だったけど」とメールに書いてきた。笑えるのなら結構。ただし次のボーナスでも出たら、新しいナビを買った方がいいとは思うけれど。

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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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