Poison Study

  • 2015/08/31 11:25
  • Category:
オトモダチが「充分面白く読んだ」と書いていらしたので
「毒見師イレーナ(Poison Study)」を、audible で DL して編み物のお供に聞いてみた。

いや、さすが“ファンタジー系ラノベ”と言われるだけあって
大変わかりやすいキャラ設定と平明簡易な文章、
不快な要素なく、かつそこそこ面白く飽きさせないお話の展開と、
編み物のBGMに必要な条件をほとんどすべて満たす好作品で
おかげでセーター編みが、ものすごくはかどった。

ただ、わかりやすいキャラのせいか、はたまた朗読者がお上手なせいか
最初の段階で Valek と Yelena が恋仲になるであろうことは予想がつくし
毒薬Butterfly Dust にまつわる話もたぶんハッタリだろうと予想がつくので
♪はらはら、どきどき♪感は、だいぶうすーくなってしまったが。

このお話、“Study series”として、“Magic Study”、“Fire Study”、“Shadow Study”へと続くほか
スピンオフ・シリーズとして、“Glass series”もあるようなので
その気になれば、けっこう長い間、編み物BGMとして楽しませてもらえそうである。
ラノベ特有の軽さゆえ、物足りない気もするが、不快なのよりはまし。

Audible では、好きな作家の作品はもうほとんど全部 DL してしまっているので
時々は新しい、知らない作家の作品もレビューを頼りに DL してみるが
当たりもあれば、ハズレもあり。
ニューヨークタイムズ・ベストセラーでも、2000人以上の読者の平均評価が☆4つ以上でも
私の好みとは合わないことは、多々ある。
手仕事のお供、お楽しみのためのオーディオブックだし
第一、あんまり難しい本では、聞いただけではわからないので
勢い、ミステリー系、ラノベ系が多くなるのだが、
表紙の雰囲気と短い内容紹介だけで、私好みかどうか判断するのは結構難しい。

それでも今回の“Poison Study”(もっともこれは、私と本の好みが似たオトモダチの評価があったから
選んだのだが)のほか、最近のお試しとしては Gail Carriger の “Waistcoats and Weaponry”、
Jussi Adler-Olsen の“The Marco Effect”を DL してみた。
ゲイル・キャリガーさんの方は、ヤング・アダルト向けスティームパンク小説、
この世界ではない、パラレル・ワールドのヴィクトリア時代の英国の
フィニッシング・スクールを舞台にしたお話で、ヴァンパイアとか狼男とかが出てくるんだそうである。

私はファッション・サイトなどで時々見かける“Steampunk”って、いったいどういう意味だろう?
と長年疑問に思っていたのだが、この間、英辞郎さんを検索してみたら、
「SFのサブジャンルのひとつで、steam(スチーム、蒸気機関)が主流だった英国ビクトリア朝を基調とした
ファッションや文化・建築スタイル・芸術に、近未来的な科学技術を融合させる時代錯誤的な作風が特徴」
と載っていた。へー。
確か2、3年前に検索した時には、「該当件数0件」で語義は載っていなかったと思うのだが
その後、追加されたのだろうか。紙の辞書と違って、ネット辞書は随時更新可能で、つくづく便利である。

そしてもう一つのJussi Adler-Olsen さんの方は、デンマークを舞台にした、もう少しシリアスな推理小説らしい。
どちらもまだ聴いていないので面白いかどうか、気に入るかどうかは不明。
願わくは編み物がぐんぐん進む、楽しいオハナシでありますように。








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家具屋

  • 2015/08/28 00:11
  • Category: 雑記
愛用のソファがかなりくたびれて、座り心地が悪くなってきた。座面のクッションがへたれて、座るとずうんと沈み込むので、腰に来る。

このソファ、私たちがこちらに引っ越したばかりで、まだ家具もろくにそろっていなかった頃、お義父さんが「座るものがないんじゃ不便だろう」と言って、地下室から掘り出してくれたものである。私たちは有難くお借りして、注文した家具が届くまでの3、4か月、このソファを居間に置いて、映画を見る時などに使っていた。

そして注文した居間用のソファが届いてからは階下のフランス窓の前に置き、昼間の私の定位置として、読書もコンピュータ遊びも編み物も、もっぱらこのソファでこなしてきた。たぶん1日のうち数時間は、このソファに座っていると思う。座っていないのは寝ている時と居間で映画を見ている時、夜、机に向かって勉強している時くらいである。

しかしながら地下室から掘り出されたくらいだから、お義父さんが貸してくれた時点でこのソファはすでにかなりくたびれていて、それから4年経った今では、そのくたびれがほぼ限界に達したものと思われる。なにしろよく座っている真ん中だけよれよれにへこんで、下手に座ると身体が斜めになるのである。

私たちはもちろん代わりのソファを探すべく、機会あるごとに家具屋を回って手頃なソファはないかと物色し続けて来たのだが、どうもこのあたりの家具屋にあるソファは革張りのどっしりと重厚なものか、あるいは逆にいかにも安っぽい、1、2年で壊れてしまいそうなものしかなくて、とてもお金を出して買う気にはなれず、とうとう4年経ってしまった。

しかしもうこのソファも限界。で、この夏、例の狼男小路の叔母さんちに行く途中、代わりの物を見つけようと、モントリオールの家具屋、4年前、居間用のキャビネットやコーヒーテーブルを買った家具屋に寄りこんだ。この家具屋、Maison Corbeil は、ウチの近所の家具屋にはない、シンプルでモダン、すっきりしたデザインだが安っぽくはない家具が、いろいろ揃っているのである。

たとえばこれ(↓)などは、私も雪だるまも好きで、行く前に同店のサイトで見た時には「これにしようか?」と言っていた。ただし、実際に店頭で見てみたら、フランス窓の前に置くには大きすぎて(なにしろcanapé-lit=ソファ・ベッドだから)断念。結局、1階と2階、2層の店内をさんざんうろうろした挙句、私はソファの代わりに肘掛のない一人がけのローチェアとキャスター付きの小さいサイドテーブルを選んだ。考えてみれば、どうせ私一人しか座らないのだから、別にソファである必要はないのである。ただしコンピュータや本、マグカップを置くスペースは必要なので、サイドテーブルをプラス。届くのは11月である。


canape-lit.jpg

このほか雪だるまは、ベッドルームに置く安楽椅子とコンソールも選んだ。これらもずっと探していたが、気に入るものが見つからないでいたのである。この店は本当に私たち好みの家具が多くて、見ていて目が輝いてしまうが、洋服や本などと違い、1つがそれなりのスペースを必要とする家具などそんなに買い込むわけにはいかず、だから見るだけ。でも見るだけ、触るだけで幸せになれる店ではある。

実は行く途中にこの店に寄った後、帰りにはIKEAに寄ったのだが、Maison Corbeil を見た後のIKEAは何とも魅力に乏しく、2、3の細かいものだけ買って、まったく後ろ髪を引かれることなく帰って来た。IKEAはやっぱり、若い人たちのための店かもしれない。店全体が、“希望にあふれた若いカップルの未来を夢見る輝き”に満ちている雰囲気で、年寄りは遠い目になってしまう。

にんじん

土曜日、隣村へサイクリングに出かけ、今まで走ったことのない道をどんどん、どんどん進んだ。
方角から見てウチの町の南斜面下の農場地帯、トウモロコシ畑やじゃがいも畑が広がっているあたり
に出るだろうと思っていたら、案の定、町の真ん中を走る幹線道路から南に延びた農道 Rang St. Michel に出た。
町の方から来るとこの道は実に爽快な下り坂で、いつもものすごいスピードでだあーーーーーっと
トウモロコシ畑に向かって飛び込んでいくような勢いで走り抜けるのだが
この時は生憎、逆。
延々と続く緩い上り坂+短いが急激な上り坂を、ギアを落としてキコキコ進まなければならなかった。
ある方向から見た下り坂は、逆方向から見れば上り坂になる、というのは当たり前の話だが
夏の太陽の下、隣村をさんざん走った後で迎えたながーーい上り坂は、けっこう恨めしかった。

が、この Rang St. Michel を上って幹線道路に出ると、そこの角には夏の間だけ開かれる野菜、果物屋がある。
規模はだいぶ小さいが日本の道の駅のような雰囲気で、地元産の野菜、果物を中心に売っているのである。
10年ほど前にも、夏休みでお義父さんちに遊びに来た時、自転車でここまで来て
りんごを買った記憶がある。
香港でよく見るりんごとは違う種類のりんご、もっと小粒で不揃いで、
いかにも“木からそのまま、もいで来ました”といった雰囲気のりんごが珍しくて、
10個くらいずつ、2種類ばかり買ったと思う。

だからこの時も休憩がてら自転車から降りて、ちょっと薄暗い感じの店内に入った。
入り口あたりでプラム、ネクタリンが甘い芳香を放っていたが、残念ながらこれは地元産ではなく
表示から見て米国産のようす。
その周りに並ぶのは、トマト、キュウリ、クルジェット、緑と黄のさやいんげん、いろんな形のかぼちゃ、
日本のよりずっと太くて大きいナス、小粒のじゃがいも、そしてトウモロコシがドーンと山積みになっているのは
夏の定番。買う時はだいたい10本単位。トウモロコシはおやつではなくメインディッシュで、
大人なら少なくとも一人3、4本は食べるからである。

そのほか店の奥には、手づくり風のタルトやペイストリーのコーナーもあった。
夏のベリー類がつやつや光っているタルトには、強く心を惹かれたが
雪だるまと私自身の腹回りの状態を考えて断念。
代わりに、店の端近くの樽の上にドンと並べられた人参の大袋に、無理やり視線を移した。
ふつうのオレンジ色の人参だけでなく、黄色や紫などいろいろな色の人参が
透明な袋から透けて見えている。
太過ぎず、細すぎず、色艶もよくてなかなかおいしそうだが、目一杯に詰め込まれた袋は10ポンド入り。

雪だるまも私も人参は好きだが、何しろ人数が2人しかいない。
2人で10ポンド(5kg弱)の人参を消費するのは、けっこう骨である。
うーん、としばし人参の袋の前で考え込んでいたら、お母さんと小さい男の子2人の家族連れがやって来て
人参の袋に目を留め、「ウチに馬がいたら、これを買って馬にあげられるわねえ」と話していた。
英語だったし、服装などの雰囲気から見て、ヴァカンスでこのあたりに来た人たちだろうと思う。
私は「馬ねえ。馬にあげるにしては、ちょっと上等すぎるよねえ」と今一度にんじんの袋を矯めつ眇めつ。

で買いました。結局。馬ではなく、私たち用に。

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以来、ほぼ毎回、人参が食卓に上っている。
雪だるまは煮た人参は嫌いなので、もっぱら生か炒めるか。
がんばって食べているが、10ポンドの人参はなかなか減らない。




毛糸が届いた

昨日は朝起きた時から左目が痛くて、それが朝食を終える頃には片頭痛に発展して、頭の左側全体がズキズキし始めるという何とも冴えない1日の幕開けだったのだが、10時過ぎくらいに毛糸屋さんから先週注文した毛糸の箱が届き、俄然ほくほくと機嫌がよくなった。毛糸屋さんは、初めて注文してみたケベックの毛糸屋さんである。

実は私、ネットでカナダの毛糸屋さんから毛糸を買うのは初めてである。米国に比べカナダはマーケットが小さいせいか、品揃え豊富で値段は手頃という毛糸屋さんがなかなかなく、自社ブランドの毛糸を製造し、それをネットで販売しているメーカーに至っては皆無(いや、本当はあるのかもしれないが、過去3年余、私は発見できないでいる) よって懐具合の寂しい私は、もっぱら米国のKnit Picksの糸を利用していた。ここは、まずまずの品質の糸が、そこそこの値段(たとえば毛100%、並太、50g玉の糸がUSD2.69)で手に入るのである。

しかしながら、頼みの綱だったKnit Picksも、昨今のカナダドル安で以前に比べ実質30%の値上がり。USDでは$2.69でも、カナダドルに換算すると約$3.50、これにケベックの15%の税金と送料7米ドルが加わると、およそ4カナダドルと、あまりお手頃とは言えなくなってきた。それでここ何週間かは、あれこれカナダのサイトを当たっていたのだが、先日たまたま検索した中に地元ケベックの毛糸屋さんがあり、しかもちょうど私が欲しかった糸が30%オフになっていたので、一応1晩考えはしたが、考えたのは1晩だけで、翌日昼には「えーい、欲しいものは欲しいのだ!」と思い切りよく結構大量に(←あくまで当社比)ポチってしまった。普段せこせこと倹しく生きているのだから、たまには許せよという気持ちである。

届いたのはウェア用の Cascade220 heathers 2種と、BerrocoのUltra Alpaca Light
着分なので、Cascadeは各5カセ(500g)、Berrocoは12カセ(600g)
私は横幅はあるが背丈はないので、だいたい500gあればセーター、カーディが編めるのである。

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色は左から順に、Indigo Frost Heather、West Point Blue Heather、Salt & Pepper
この写真では真ん中のウェストポイント・ブルーも結構きれいな色に写っているが、実際はもう少し暗い濁った青で、きれいな澄んだ色を期待していた私は、ちょっとがっかり。モニターで色を判断するのは、本当に難しい。


その他に、ソックヤーンも2種。カナダの冬には、暖かい靴下が必須。このソックヤーンはただ編むだけで模様が出てくるタイプなので、楽しく編めそうである。

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できあがりは、こんな感じ。左 beach house、右 south land

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そして実は、去年の誕生日に雪だるまから貰ったギフトカードで Knit Picks に注文した糸もその前に届いていて、昨日届いた糸と合わせて、今私の周りは毛糸だらけ。ただしKnit Picks の方は、先月届いたカタログで見た新製品、アルパカ100%の極細糸の色展開があまりに私好みだったので、本当にカタログ通りの色なのか実際の色を見たくて色見本に買っただけなので、着分はない。
この糸、アルパカ100%だけあって、実にふんわりと優しい手触りで、触っているだけに幸せな気分になれるし、色もそれぞれ深みのあるいい色だが、同じ極細(lace weight)でも、メリノ100%のShadowよりもう一段細い感じで、2本取りにしても fingering weight くらいにしかならない。試しに2本取り、US6号の針で編んでみたゲージは28目。ブロッキングで頑張れば24-26目くらい行くかもしれないが、そうなるとけっこうスカスカした編み地になってしまいそうだ。以前、Shadow を2本取り(針US7号)で編んだ時は、ブロッキングしなくても22目だったので、やはりかなり太さが違うと思う。色が好みなので、これでセーターを編みたかったのだが、3本取りくらいでないと、私の目にはしんどいかもしれない。うーん、どうしよう。

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夏の庭

アライグマというのはどうして、ヒトのうちのデッキに
うんちを残していくのであろうか。
「ここはオレのテリトリーだ」ということを明示したいのか
はたまた、たまたまウチのデッキを徘徊している時に
排便の要に迫られ、「ま、いっか、ヒトんちだし・・・」と、
ひょいとお尻を上げて、おもむろに用を足したというだけのことなのか
いずれにせよ朝起きて、ふとフランス窓から外を見ると
目の前にうんち、というのは、なかなかに結構な1日の幕開けである。
たとえそれまで半分寝ぼけ眼であったとしても
ソレを発見したとたん、目はぱっちりと覚める。
不快というより、「いやー、またやってくれたねえ」という心持ち、
近所の子どもの害のないいたずらを見つけた爺さんのような気持ち
といったところか。やれやれとは思うが、腹は立たないのである。
野生の動物のことだし、うんちなんて洗えばすぐ落ちるし。
それよりは、前庭の芝生の真ん中に、犬の糞を見つけた時の方が
よほど不快である。
なぜなら、この辺りに野犬はいないから犬はみな飼い犬であり
飼い犬であるなら、ヒトの家の芝生で用を足したりしないよう
飼い主がしつけ、よくよく監督すべきものだからである。
わたしは犬が好きだが、庭掃除をしていて芝生の真ん中に
犬の糞を発見するのは、好きではない。

それはともかく、本日のアライグマのうんちは
前回、前々回のような流動性のものではなく
しっかり固まった健康な(?)うんちだった。
下痢が治ったようで何より。

以下、アライグマの糞の写真があります。
お食事前の方、またこういうものを見るのがお好きでない方は
どうぞお読み飛ばしくださいませ。
ひとつ飛ばしていただければ、あとは花と野菜の写真になります。



アライグマ君の糞
この辺りによくある赤い木の実を食べたらしく
糞の中に赤い丸が見える。
どうも消化しないらしい。

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えー、お口直しに花の写真をいくつか


赤いダリアが咲いた

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白いダリアも咲いた。
白いダリアはとても大きい。ディナープレートダリアと呼ばれる種類の大輪。
ウチのは鉢植えなので、ディナープレート(30cm)とはいかなかったが、
それでも手のひらを広げたほどの大きさにはなった。

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グラジオラス

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カーラリリー
去年、葉っぱしか出て来なかったので今年は植え捨てにするつもりで
鉢ではなく庭に植えてみたら、なんと花が咲いた。
しかも最初の年と同じくらいきれいな色。うーむ、捨てられぬ。

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きれいな青い球は、globethistle
日本名はルリタマアザミというらしい
種から育てて3年目、けっこう大きくなってきた

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似たような花で、sea holly というのもある。
ルリタマアザミより丈が低く、花(?)の形も若干違うが、きれいな青い色は同じ

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これも青系。スカビオサ。
もっとも青い花の株の隣に、白い花の株も出てきた。
白のスカビオサの種を買った覚えはないのだが・・・

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さて、野菜編


シシトウ

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黒龍江豆

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キュウリ

これが

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こうなる

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黄色いプチトマト

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オレンジのプチトマト

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自家製の野菜はキュウリにせよ、トマトにせよ、なんでこんなに違うのか思うほど
市販の物とは味が違う。
トマトは時々割れてたりするし、キュウリはずんぐりと不恰好なのだが
サッと洗って切って口に入れると、溌剌と野菜の味がはじける。
ああ、ケベックの夏がもっと長ければ、もっといろいろ作れるのだが・・・


間引いた人参。これももちろん食べる。
まんなかに、2つくっつきあった“仲良しにんじん”があるのが、見えるかな?

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同期の桜

  • 2015/08/14 05:01
  • Category: 雑記
8月15日が近付いたからというわけでもあるまいが、2、3日前から頭の中で、父が教えてくれた『同期の桜』が鳴っている。父はこのほか『露営の歌』(♪勝ってくるぞと勇ましく、で始まるあれ)や『軍艦マーチ』も教えてくれた。また「神武、綏靖、安寧、懿徳・・・」と続く天皇系図も(途中まで)教えてくれた。父は別に皇国日本を懐かしむ軍国主義者だったわけではない。ただ昭和七年生まれの父が受けた教育がそういうものだったというだけのことで、両親を早くに亡くし、尋常小学校(国民学校)は確かに行ったが、その上の学校には行けなかったのであろう父が、娘に「自分が知っていること」として教えられることは、そうたくさんはなかったから、その数少ない知っていることのひとつとして、これらの歌や天皇の名前を教えてくれたというだけのことである。

そして、父は冗談好きな子どもにやさしい人であったから、これらの歌も勇ましい軍歌としてというより、子どもでも歌える簡単な歌として面白半分に教えてくれたという方が近く、実際、『露営の歌』などは「♪買ってくるぞと勇ましく」と始まり、「進軍ラッパ聞くたびに」が「飴屋の太鼓聞くたびに」と変わる替え歌の方を、多く歌ってくれた。おかげで私は今でも、本来の歌詞と替え歌の歌詞が、ごちゃまぜに浮かんでしまう。

それにしても『同期の桜』だ。「咲いた花なら、散るのは覚悟。見事散りましょ、国のため」という歌詞に、日本人はなぜ“美”を見てしまうのか。「国」「国家」のために、自身を犠牲にすることを“善、美”とする考え方は、いったいどこから来ているのか。そしてそもそも、「国を守る」という時の「国」とは何なのか。人為的に定められたある境界線内の土地のことか、その土地に暮らす人々のことか、はたまた政治体制か。どちらも、私にはいつも今ひとつ、わからない。

わからないので、久しく以前に買いはしたものの、読んだかどうか覚えていない『<玉砕>の軍隊、<生還>の軍隊』を、読み始めてみた。「国」がなんであるかはわからなくても、『同期の桜』を是とする社会文化に対する説明は見つかるかもしれない。

じゅうはちのきゅう

  • 2015/08/09 11:05
  • Category: 言葉
日本語学習中のV君は、5月だったかにここから100kmばかりの市に異動になり、勤務体系も4日働いて3日休みというようなシフトに変わったため、ウチに来るのも毎週日曜というわけにはいかなくなった。

それでも先週の日曜には久しぶりに「こんにちは!」と現れ、特に錆びついたとは思えない日本語で、2時間ばかり喋って行った。その時、何の話からだったか「どうき」の同音異義語の話になり、辞書にいくつか並んだ中で、V君が「“動機”と“同期”は知っているが、“銅器”は今まで見たことがない単語だ」というので、“銅器”というのは銅(cuivre)で作った器や道具だと簡単に説明し、ついでに、“銅器”という単語を現代の日常生活で使うことは、たぶんほとんどない。この単語が必要になるのは、おそらく歴史関連の文章を読む時で、その時には“青銅器”とか“石器”とか“鉄器”とかいう単語も出てくると思う、と付け加えた。

V君は、“青銅”はbronze、“石器”というのは石(pierre)で作った器具や道具のことで、発音は“せっき”というようなことをメモった後で、「そういえば石器時代(L’âge de la pierre )には、新しいのと古いのがありますよね? 新しいのは“新石器時代”、古いのは“古石器時代”ですか?」と聞くので、「いや古い方は“旧石器時代”です。“新旧”の“旧”ね」と返したら、「きゅう?」と、どの漢字だか適切な漢字が浮かばないという顔をした。

こういう場合は説明するより書いた方が早いので、手近の紙に「旧」と書いて見せると、「ああ、じゅうはちの“旧”ですか! それなら知っています!」と顔をほころばせたが、今度は逆にこちらが「じゅうはち?」とけげんな顔になった。V君はけっこういろいろな漢字を知っていて、意味がわかり、また正しく読めるが(ひとつの漢字に音訓合わせて複数の読み方がある日本語の漢字を、正しく読むのは相当に複雑な作業なのである)、その読みや意味を記憶するために時々面白いこじつけをしていて、そのなかには「はあ?」というようなのもあるのである。なのでこの「じゅうはち」もその伝かと思い、「“じゅうはち”って何なの?」と聞いたら、V君、にこにこしながら「だってほら、これ“じゅうはち”でしょう?」と紙に数字の1と8を書いて見せてくれた。

ただしV君が書いた「8」は、普通の手書きの「8」のように○が2つくっついた形ではなくて、□が2つくっついた形、つまりスマホや各種家電に見られるようなデジタル数字の「8」なのだった。確かにこう書けば、「18」は「旧」とそっくりである。

ははあ、なるほど、いや、確かに。しかし私はこの日、この時まで、「旧」が「18」に見えたことはなかったのである。日本語を読み書きして50年、漢字は私の中で完全に「文字」として認識されていて、漢字が意味を離れた「記号」、「図形」として認識されることはまずないので、漢字を線や形に分解して見るという視点がないのである。

しかし長年の習慣から生まれた、そういった半ば自動的な認識システムを一時外し、改めて図形として漢字を眺めてみると、いったいなんでこの形とこの音が結びついているのか、奇怪至極な漢字が結構ある。(もちろんすべての漢字とその読みは人が作り出したものなのだから、奇怪というならすべて奇怪なのだけど) たとえば「品川」の「品」。なんで「口」が3つで「しな」なのだ?

元気の素が欲しい今日この頃

  • 2015/08/07 02:15
  • Category: 雑記
このところずっと、元気が出なくて困っている。
何とはなしに気分が沈んで、夏にふさわしく溌剌と何かをしようという気力が涌かないのである。
この元気のなさは、先月のクラスメートの訃報あたりから始まったような気がするが、
あるいはその前の、ハクロニシキが哀れなトラ刈りになってしまったあたりからだったかもしれない。
幸い、ハクロニシキは無残に断ち切られた枝の脇から新芽が出て来た。
私の方も同様に、やる気の芽でも出てくるといいのだが・・・

元気が出ないとは言うものの、その元気のなさを押して
とりあえずやるべきことは何とか片付けている。

庭仕事で忙しかった間、放りっぱなしになっていたクラスメートに頼まれたカーディガン
編みかけのところから再開してみたが、やっぱりどう見ても美しくないので
全部ほどいて別のパターンで最初から編み直した。
極太なので3週間弱で編み終えた。
「こんなことなら何か月も放っておかないで、もっと早く取りかかれよ、自分」と思った。
ただし何しろ糸の質が今ひとつで、色の組み合わせも私の好みとはかけ離れているので
私の目には美しいとも、すてきとも見えない。
こんなものを人に差しだすのは何だかなあ、とは思うのだが
糸、色を選んだのは彼女自身であるので、私がどう思うかは
あまり関係ないのかもしれない。

音読とディクテも引き続きやっている。
『80日間・・・』は130ページ台まで来た。
全部で210ページほどなので、3分の2というところか。
最初はほんとに四苦八苦もいいところだったが、
70ページ台あたりから少し楽になって来て、
“あちこち難あり”はそのままにせよ、ものすごい難行苦行ではなくなってきた。
やはり継続は力、かもしれない。
しかしこの本で語彙を増やすのは無理そうだ。また読解力が上がるとも思えない。
語彙の方は少々古風な書き言葉が多くて、現代の私程度の会話力では使いこなせないし
読解の方も、単語の意味はわかっても文の意味は分からないというところが多くて
やや手に余る。
この次の本は、もう少し易しい、現代のオハナシにしよう。

その他、先週隣の市の本屋と文房具屋に行ったら、
どちらにも大人用の塗り絵の本がどっさりあって、
「へえ、こういうのが流行っているのか」と面白く思った。
その時はそう思って手に取って眺めただけで買っては来なかったのだが
その後で何だか気になって、しかしまた隣の市まで出かける気にはなれず
ネットで検索したら無料の大人の塗り絵サイトが結構あったので
いくつかダウンロードしてみた。

この大人の塗り絵、“心を落ち着かせ、ストレスを解消”とか
“認知症の予防に効果的!”とかいう惹句が並んでいるのだが
本当だろうか?
あるサイトなど“Zen and Anti stress”という御大層なタイトルで、
私は塗り絵と禅の関連性に、しばし頭をかしげてしまった。
永平寺とかで、坊さんたちがみんなしてせっせと塗り絵をしてたらおもしろいけどなー。
只管打坐ではなくて、只管打塗。

まあ確かに無心に色を塗るのは楽しいが、私の場合、今必要なのは
“心を落ち着け”ることではなくて、“心を発奮”させることで
(それでなくても心の振幅が小さくて困っているのだ。
これ以上落ち着いたら、心停止してしまう)
だから好きな動物とか、風景とか、なるべく楽しくなる図柄を選んでみたが
きれいに塗れたら、私の心も少しは踊ってくれるだろうか。

トラ刈り

この家に移り住んで4年、ここらでひとつ庭の手入れもしようと決めたらしい雪だるまは
去年の芝生の張り替えに続き、今年はチラシで見たという植木屋さんに庭木の剪定を頼んだ。

植木屋さんは6月頃だったか、とりあえず下見に来たが
庭木は夏に伸びるので、剪定するのは夏の盛りが過ぎてからの方がよい。
7月末にまた来ますと言って帰った。

そして約束通り、先週やって来た。
手伝いの若者も含め、総勢6名。
切った枝を拾い集める係りの下っ端の若者を除き、
みな手に手に大きな電動鋸を携えて、なかなか物々しい。
その重量感といい、耳をつんざくような音といい
なんだかウジ(蛆ではなくて、イスラエル製の短機関銃の方)で武装した
私兵集団の雰囲気。

ウチは庭の三方にシーダーの生垣、
デッキの横にもシーダーが一列、
デッキの下にはボックスウッドの植え込み、
階段の両側にバーニングブッシュ、
庭石のそばには松、
庭の隅には小さいりんごの木とさくらんぼの木、
そして花壇の中には私が大事にしているハクロニシキ
等々と、庭のあちこちに剪定が必要な木が散らばっているので
私兵集団風植木屋のオジサンたちも、
それぞれ唸りを上げる電動ノコを手に庭のあちこちに散らばって
作業を始めた。

庭を囲むシーダーはここ何年も剪定をしていなかったので
高さがバラバラ。
それをきちんと揃えて刈るのは結構難しいのか
一人が遠くから高さを確認、生垣に沿って組んだ足場の上に乗っかったもう一人が
その指示で鋸を入れるという二人がかり。
場所によっては足場を組めないところもあって、なかなか大変そうだった。
それでもだんだんに生垣は高さと厚みが揃ってきたし
庭石そばの松もきれいに刈り込まれてすっきりした姿になったので
これならだいじょうぶだろうと、それまでデッキで植木屋さんの仕事ぶりを
見ていた雪だるまと私は家の中に入った。

途中で一度、またデッキに出てみたが、その時はちょうど
我が愛するハクロニシキの剪定中で
それまで伸び放題に伸びて、風に葉っぱをそよがせていたハクロニシキは
きれいな球形に刈り込まれ、巨大な白いボールになりつつあった。
「おお、なんだかトピアリーみたい」
丸い形が好きな私は気を良くして、また家に入った。

そして夕方、全部終わったという植木屋さんの言葉に
雪だるまと共に庭に出た私は、花壇の中のハクロニシキを見て唖然茫然。
つい1時間ほど前に見た時には、大きな白いボール状だったハクロニシキは
その時の半分ほどの大きさに刈り込まれ、
しかも片側は球形だが、もう片側がまっすぐ直線で
ほとんど絶壁アタマ状態。
さっきのあの美しかった白いボールはどこに行ったの? である。
近寄ってみれば、電動鋸で切られた枝はあちこちぶっつり断ち切られていて
その無残な切り口は、とても将来の成長を見定めつつ、
全体の形を考えて剪定したとは思えない仕事ぶり。
そもそもシーダーのような枝葉が密生した常緑樹ならともかく
ハクロニシキのような柳を、電動鋸で剪定しようというのが無理なのだ。

おまけに彼らは生垣や他の木を剪定する時、
誤ってか、気にしなかったのか、周囲に植えてある花をけっこう傷めてくれて、
花穂が出かかっていたグラジオラスが数本折れていたり
オリエンタルポピーが踏まれて倒れていたり
日陰のピンクピューターに至っては、そばに剪定の必要な木などないのだから
いったいなんで踏みつぶされたのかとんと合点がいかないのだが
(考えてみると足場を運び出す時、そのあたりを通ったかも)
ともかく、彼らが帰った後で庭を一回りして
ほとんど胸がつぶれる思いだった。

いったい植木屋なのに草花に気を配らないとはどういうことか。
それとも彼らは剪定屋であって植木屋ではないのか。
わたしは植木屋というのは、煙管片手に庭木を眺めるのに半日、
枝を1本切っては、また考え込んで半日、という人たちかと思っていたが
どうもカナダでは違うらしい。

もっとも私が思い描いている日本の植木屋も、
考えてみれば落語や時代小説の中に登場するだけで
現代の、平成の植木屋は、カナダ同様、電動鋸で庭に現れ
ビイィィィーーンという爆音とともに、あっという間に枝を払って
風のように去って行くのかもしれない。

しかしいずれにしても、この次は絶対、植木屋にはハクロニシキは触らせない。
手間がかかろうと、下手だろうと、私が切る。
考えながら、切る。
大事に切る。
植木屋には、触らせない。



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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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