お楽しみ

  • 2012/04/04 10:03
  • Category: 雑記
最近お楽しみはDVD鑑賞とオーディオブック。去年、この家の居間用として雪だるまが70インチの液晶TVを買った時には、「あほかいな、こんな大きいの買って。ばか丸出しやん・・・」と内心相当呆れていたのだが、こうして目が悪くなってみると、大きな画面は字幕が読みやすく、大変よろしい。しかも部屋の向こうにあるのを遠くから見るので、テレビを見ているというより風景を見ている感じで、目の疲れも少ない。だいたい夕食後に1本見るのがこの頃のお約束だが、最近見た映画は佳作ぞろいではあるものの「これだ!」という1本がないのがやや遺憾。

もひとつオーディオブックの方は、朝、昼、晩と聞かない時間帯はないくらいの活躍ぶり。以前は聞きながら編み物や刺しゅうなど手仕事をしていたのだが、最近は昼間なら庭を眺めながら、夜なら電気を消して目をつむり、ひたすら聞く。読むのとは違い、わからない単語を調べたり、前のページに戻って参照したりはできないが、プロが上手に読む文章は、それぞれの場面や登場人物の感情の陰翳などが鮮やかに浮かび上がり、自分で読むのとはまた違った楽しみがある。

つい先日は懐かしの「赤毛のアン」をダウンロードし、2日間大変楽しく聞いた。昔はもちろん同じ子どもとして、アンの立場で読んでいたのだが、今はむしろマリラやマシューの立場でお話に入り込んでいる自分に気づき、苦笑い。年齢的に彼らの方に近いのだから当たり前と言えば当たり前だが、マシューとマリラに引き取られたことがアンにとって幸運だったのと同様、アンを引き取ったことはマシューとマリラにとっても幸運だったのだと、同じく初老になってみるとよくわかる。兄妹ふたりだけの落ち着いてはいるが単調な、ともすれば味気ない毎日が、アンの登場によって生き生きとした色彩に満ちた毎日に変わる様子が、ちらりちらりと、そこここに描写されている。愛情を傾ける対象があるのはよいものだと、しみじみ思わせる。

またマリラがしょっちゅう頭痛に悩まされていたり、メガネが合わないとこぼしていたりすることや、お話の終わりで、マシューは亡くなる、アンは大学に行く、医者からは縫い物も読書も止めないと半年でめくらになると言われたマリラが、「この家にひとりぼっちで、縫い物も読書もできないのでは、寂しくて気が狂ってしまう」と彼女には珍しく感情を露わにする場面は、実に身につまされた。それでもマリラは気丈だから、アンには大学を諦めるなと言うのだけれど、気を紛らわす手仕事もできず、誰もいない火の消えたような家の中で、たった一人で生活するのは、本当に気が狂うような寂しさだろう。同様に係累の少ない身であってみれば、彼女が想像した寂しさは、明日のわが身。
昔はこんな場面は、みなさらさらと気にも留めずに読み飛ばしていたのだ。ああ、若かりし日々よ。(笑)
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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