留学生の発表会

  • 2012/04/18 10:24
  • Category: 雑記
日曜は隣の隣の町で開かれたAFS留学生たちの発表会を見に行った。雪だるまの従弟の一人が欧州某国からの留学生をホームステイさせており、その縁故で出かけたのである。ケベックの中でも田舎のこの地域に来ているAFS留学生は総勢25名で、みな高校生。国別ではイタリア、ドイツ、フィンランド、オーストリアなど欧州各国のほか、コロンビア、チリ、ドミニカなどの南米、アジアからはタイと日本から留学生が来ており、それぞれホームステイ先近くの高校で、地元の高校生たちと一緒に授業を受けているそうである。当然ながらフランス語は母語ではない生徒たちなので、学校での授業にしろ、ホストファミリーとの意思疎通にしろ、最初はかなり大変なようだ。

日本からの留学生とも少し話してみたが、彼女によると欧州からの留学生はこちらに来る前に少しフランス語を勉強していたり、母語と比較的似ていたり(伊語、西語などラテン語圏なら似ているだろう)するせいで、2~3か月もすると結構流暢に喋れるようになるが、アジアからの留学生は2~3か月ではまだ片言。欧・南米陣営に大きく水を開けられた格好になるらしい。しかも「同じアジアでもタイからの子とかは英語ぺらぺらで、でも日本人は英語もそんなに上手じゃないから、フランス語でも英語でもダメって感じで、かなりへこむんです」と、謙遜半分かもしれないが、言っていた。うーん、日本も前世紀80年代以降、ネイティブの教師を招聘するなどして外国語教育には力を入れるようになったはずだが、それでもまだまだか。道は遠いのう。

で肝心の留学生たちの発表だが、今回は『アメリカン・アイドル』風にジャッジ3人(これも留学生)が並ぶ前で、それぞれ歌や楽器演奏、ダンスや手品を披露するといったものだった。民族衣装で登場する子やウケねらい半分でケベックの人気歌手の歌を歌うグループもいれば、テレビCMをパロったコントを見せる達者な演技の二人組の男の子もおり、オーストリア出身の子が端正にモーツァルトを弾く一方、玄人はだしのギター演奏!と唸った子は実は口パクで、会場に流れていた曲はCDだったとか(途中でギターから手を放してるのに曲は続いているんだから、いやでもわかる)、大変バラエティに富んでいて楽しかった。

ちなみに日本からの二人は、ピアノの連弾と折り紙のパフォーマンス。会場の参観者にも折り紙を配り、ステージ上で大きな紙を使ってする説明に合わせ一緒に折ってもらう趣向だったが、折り紙の定番「ツル」は工程の複雑さが嫌われたのか、モデルに選ばれたのは5回折れば完成する「コップ」。簡単なので5分もかからず出来上がり拍手で終了したが、折り方説明の途中、留学生が「feuille(葉、紙片)」の発音にとまどうと、会場からすかさず正しい発音での助け舟が入り、会場との掛け合いのようなかたちで、留学生が何度も言い直していたのが微笑ましかった。(私もそうだが、この「feuille」、日本語話者はどうしても「fille(娘)」になってしまいがちで、すると「娘のこの部分を折ってください」となり、なんだかやたらアヤシイのである)

そして最後、昨年8月のケベック到着から現在までの留学生たちとホストファミリーとのさまざまな交流の写真が映し出される中、留学生全員が「ハレルヤ」(ヘンデルのではなくて、シュレックにも使われたRufus Wainwrightの方)を合唱。しみじみとしたメロディを背景に映し出される、空港での出迎えやオリエンテーション時の写真、ホストファミリーと一緒に笑っている写真、クリスマスパーティでのサンタとのツーショットなどを見ていると、このホームステイという制度がたくさんの人の善意と努力に支えられているのだということが実感されて、涙腺が刺激されて困った。なにしろ異国の高校生を1年間、自分の家で預かるのだ。最初はお互い意志の疎通もままならないなか、根気よく話しかけ、説明し、励まし、カナダでの生活になじめるようさまざまに手を貸し、自分の子と同じように食べさせ、必要な場合には車での送迎の運転手を務め、カナダでの年中行事や近隣の観光地、名所旧跡には見聞を深めるためにもできるだけ連れて行ってやり、とこれらすべてをボランティアとして無償でやるのである。なまじな覚悟でやり遂げられるものではない。会場に集まったホストファミリーの人たちはみなカナダのどの町にもいるような、毎日働いて家族を養い、雪が降れば雪かきをし、夏が来れば庭でBBQをするようなごく普通の人たちで、しかしこの普通の人たちがホームステイ留学という制度を支えているのである。本当に頭が下がる。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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