日本語インプット

  • 2012/04/20 07:46
  • Category: 言葉
この頃、日本語が出て来ない。文章を書こうとしても、頭の中を日本語が流れない。流れたかと思うと、成句でつまづく。たとえばの話、「水」という語を使って「差が開くこと」を表す慣用句があったはずだということは思いつくのだが、該当の「水を開けられる」が出てくるまでにはしばらくかかり、流れが止まる。そして止まった文章を再び流れさせるべく、気を取り直してキーボードに向かう頃には前に書いた文章のリズムを忘れており、別のリズムで書き始めるので、出来上がった文章は木に竹を継いだようなおかしなものに成り果てる。(ちなみに、今も「木」と「竹」が出て来なかった。嗚呼…)

カナダに来て以来それでなくても日本語に接する機会が減っていたのに、ここにきて目の不調も加わって、現在事実上「読書量ゼロ」。おまけに香港では細々ながら見ることができた日本語放送もここでは見られず、耳から入る日本語は自分が喋っている日本語のみ、ではインプット不足で日本語の川が枯渇するのも当然である。

成人後習得すべく努力したすべての言語が中途半端に終わる中、唯一読む書く聞く話すの全てが不自由なくできる母語を失ってどうする!だが、たとえ母語でも書くとか話すとかのアウトプットは常に使っていないと鈍化する。運動選手やダンサーの筋肉と同じなのだ。練習を/使用をさぼると、たちまちレベルが低下する。そして同時に重要なのがインプット。運動選手で言えば、食べることか。食べなければ動けないのと同様、読んだり聞いたりのインプットがなければ、言葉は出て来ない。それもできるだけよい文章をインプットすることが肝要だ。カロリーばかりで栄養のない食べ物ではろくな成果が出せないのと同様、ジャンクフードのような文章ばかり入れていたのでは、カスのような文章しか出て来ないのだ。

1回目の眼球への注射から2週間、以前より像の歪みが小さくなってきたような気はするが、まだ楽に本が読めるというところまではいかない。(左目で見た人の顔は、たとえ目の前にいる人でもいまだにムンクの“叫び”状態。況や活字をや) 4週間に1回、計3-5回注射して、腫れている左目の血管を収縮させれば、像は正常に戻るだろうという見込みで治療を進めているので、今後効果が表れてまた普通に本が読めるようになればインプットも楽なのだが、今のところは明るい昼間、拡大鏡を使って読まないと10分と読み続けられない。読むのがだめなら聞くのはどうだ?と、FeBeなど日本語のオーディオブックサイトも見てみたが、私が読みたい/聞きたいような本は少ないうえ、オーディブルに比べ結構割高である。英語に比べれば日本語はマーケット規模が格段に小さいから致し方のないところなのだろうが、選択肢の少なさと値段にため息である。活字の拡大が容易なウェブ上で、よい文章の書き手を探すしかないか。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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