庭のことを考える時だけは、私にはあと何年あるのだろう?と考える。秋に植えた球根の花が咲くのを見たければ、翌年春まで生きていなくてはならない。3インチポットの宿根草が大株に育ち、威風堂々花壇いっぱいにつやつやした葉を広げるのを見たければ少なくとも4、5年、背丈50センチ程の葉もろくにないような苗木が一人前の木に成長するのを見たければ、十数年は生きていなくてはならない。草花や木々は一朝一夕には育ってくれず、木々が育つのを見たければ、木々と同じ年月、生きていなくてはならない。

ことに私の理想は草木が自然に繁茂したように見える英国の田舎風の庭で、
たとえばこんなのとか、

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こんなのとか、

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こんなのなのだが、

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こうした庭は無造作に植えられた草木が自然に繁茂したように“見える”だけで、その実たいへんな手間暇と年月がかかっている。ふさわしい草木を園芸店で大人買いして一気に植え付け、はい完成!という具合には決していかない。かなりの程度の年月が必要なのだ。

しかもここでこうした英国風の庭を実現するには、年月のほかにもう2つ制約がある。冬の寒さと、かなりの砂地という土壌だ。なにしろ12月から3月まで、およそすべての草木は積もりに積もった雪の下。零下20度を下回ることも珍しくない厳しい寒さに、寒さに強い宿根草たちも地上部は枯れたようになって冬を越す。一年草はもちろん、とうの昔に枯れ果てている。

地上からすべての雪が消えるのが5月。暖かみを帯びた空気にものすごい勢いで木々が芽吹き、宿根草の枯れた株間から新しい緑の葉が出始めるが、それでも朝晩はまだ結構寒く、今朝わたしが起きた時の気温は3度だ。なまじな耐寒性ではケベックの5月は越せない。そして6月~8月は一応、初夏~夏なのだろうが肌寒い日も多く、暑さにうだるような日は数えるほどで、あっという間に秋になだれ込む。そして9月末にはもう紅葉が始まる。実質、植物が地上で活動できるのは6か月程度なのだから、温暖な地域なら周年繁茂するはずの草木もここでは繁茂しそこね、ちんまりした姿のまま冬に突入して枯れ、また翌年、一からやり直しとなってしまう。それでも株はもちろんそれなりに大きくなっていくのだが、あくまで“それなりに”で温暖な地域での速さとは比べ物にならない。

その上、ここの土壌は砂地だ。どこを掘っても、海岸の砂のような細かいサラサラの砂が出てくる。水はけはよいが、保肥力、保水力には乏しく、植物を植えたければ市販の黒土や配合土を入れなければならない。芝地はもちろんだし、各種の花を植えこむ花壇などなおさらだ。私も芝地を掘り返した、たった3平方メートルほどの花壇に黒土50リットル、配合土50リットルを入れた。このあたりの庭のほとんど全部が「大部分芝生。一部を囲って小さな花壇」様式になっているのは、この手間暇と費用(黒土や配合土は買ってくるのだからタダではない)のためかもしれない。自然に繁茂したように見える庭が作りたくとも、そうは問屋が卸さない仕組みになっているのだ。

おかげで英国風庭園に憧れている私の現状はこれだ。

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注:曇りの朝撮ったのでよけい裏寂しい印象。
芝生のハゲはタンポポとの戦闘によるもの。我が軍の被害甚大というところ。



これは前オーナーが残して行ってくれた花壇で、これでも5、6年は経っている。夫妻ともに仕事を持ち、小さい男の子が二人という忙しい家庭だったので、草木はすべて宿根草。最小限の世話だけでみな春には自然に芽を出し、花を咲かせる。それはそれで大変ありがたいのだが、わたしはこのいかにも人工的なデザインがどうも今ひとつ気に入らず、これを何とかもう少し自然な感じにできないかと日々頭をひねっている。

もっともそういう現持ち主の思惑とは関わりなく、草木はそれぞれ、それぞれの体内時計に従って芽を出し、葉を広げ、花を咲かせ生長していっているが。


昨年秋に球根を植えたムスカリ


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これはディセンドラ

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岩間のフロックス(芝桜)も白い花をつけ始めた

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これはホスタ(ギボウシ)かと思うが、花が咲いてみないとわからない

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庭のことを考える時だけは、私にはあと何年あるのだろう?と考える。秋に植えた球根の花が咲くのを見たければ、翌年春まで生きていなくてはならない。3インチポットの宿根草が大株
  • 2012/05/20 20:36

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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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