気難しい貴婦人

園芸の本によるとスミレは日当たりを好むとのことだが、ウチの貴婦人“Lady Black Magic”は、日向はあまりお好きではないらしい。ちょっと遠い方の園芸店に行った際、ダークカラー好きの雪だるまが見つけて一鉢買ってきたスミレなのだが、その名の通り漆黒の黒スミレ。真ん中に鮮やかな黄色の星がなければ、薄暗がりでは葉っぱだけで花はないのかと思えてしまうくらい地味な花だが、じっと見るとなかなか上品で存在感がある。

鉢についていた札には、耐寒性のある多年草で日向から半日陰を好むとあったので、庭に下ろすにあたっては1日中日が当たりっぱなしの既存の花壇は止め、芝はがしに手間はかかるが葉が茂ればほどほどに日陰になる、裏庭と表庭の境の小さいリンゴの木の下を新居に選定。少しでも気持ちよくお住まいいただこうと、木の下の芝をわざわざ円形にはがして腐葉土入りの土を敷き込み、円周には芝が侵入しないよう根止めのプラスチックフェンスも埋め込んで、準備万端整えてから鉢から庭へとお移り戴いたのだが、移動して2、3時間後にはすでにぐったりと首を垂れて、今にも死にそうなご様子。

ちょうど夕方で西日が強く当たっているのがいけないのかと、一時的に雨傘を広げて影を作ってさしあげ、日影でお休みいただいたが翌日になっても息も絶え絶えなご様子に変化はなし。「うーむ、西日のあたるここはだめか・・・」と新居準備にかなり手間暇かけたので無念ではあったが愛らしきリンゴの木の下は諦め、次にはもっと日影時間の長いアメーバ型花壇の横を新居に選定。急遽腐葉土を入れるやら、根止めのプラスチックフェンスを埋め込むやら、またあたふたと新居を整えその日の夕方にはお移り戴いたが、直射日光はちらちらとしか当たらないここでも花茎をぐったり地面につけて、スワンレイクの“瀕死の白鳥”を思わせるお姿は変わらず。


瀕死の白鳥 ↓

dyingswan.jpg


まったくもってやーれやれ・・・だが、ウチでここ以上の日陰といったら鈴蘭を移植予定の、家の陰の大楓の下しかない。しかしそこは半日陰どころか羊歯の茂る全くの日陰だし、冬場はひときわ寒くなるので、いくら耐寒性強でもスミレが冬を越せるとは思えない。

で仕方なく、アメーバ花壇横の新居にバードフィーダー用のフックを立て、広げた雨傘を縛り付けて直射日光を遮ることで我慢していただくことにした。これでだめならほんとに大楓の下しかないと思い定めての策だったが、これが奏功したかスミレ嬢は1日、2日すると徐々に頭をもたげ始め、そのうちすっきりとした立ち姿に。アメーバ花壇の横はコンポスト、その横は角の電柱を支える太ワイヤーと、リンゴの木の下に比べやや下世話な環境が甚だ遺憾ではるが、お元気ならばそれでよし。ただ遠くから見るとコンポストの横に広がった雨傘がなんとも唐突で(遠目には黒スミレは見えない)、来客があるたびに「あれは何?」とのご下問あり。事情を説明すると「ははは」とか「はあ、なるほど」とかご納得いただけるが、この無粋な黒い傘にはスミレ嬢もご不満に違いなく、気難しい貴婦人のことであるから「どうせなら白いレースのパラソルくらいにしていただきたかったわ」とスタイル無視の家主の無神経に、鼻に皺を寄せているに違いない。




Black Magic嬢 近影


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園芸の本によるとスミレは日当たりを好むとのことだが、ウチの貴婦人“Lady Black Magic”は、日向はあまりお好きではないらしい。ちょっと遠い方の園芸店に行った際、ダークカラー好き
  • 2012/06/11 08:30

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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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