盆踊りDNA

土曜日のパーティでは「わたしも踊れたらよかったのになあ」とつくづく思った。いや、“同じアホなら踊らにゃソン、ソン”だし、第一、杖がなければ歩けない年寄りではあるまいし、いい若い者(注:たとえ50×歳でも、あの会場では若手に属した)がまぬけな顔して椅子に座り込んでいたのでは興ざめもいいところなので、ディスコにもクラブにも行ったことのない私ですら、みんなと一緒に踊った手足を動かしたが、周りの人とは明らかにノリが違い、盆踊りDNAしか持っていない極東アジア人であることをはしなくも露呈。“ラティーノは全員ダンスの達人だっ!”とは言わないが、あの気負いも衒いもなく呼吸するように楽々とビートに乗り、心から楽しそうに身体を動かすことができる能力は、ほんとに羨ましいと思う。

私たちのテーブルに料理を配ってくれたきれいな褐色の肌にアフロヘアのほっそりした女の子、大変野性的な顔立ちの背の高い女の子、黒々とウェーブがかかった髪をきっちりポニーテイルにした細身の男性、そしてクラスメートのドーラ、カティ、ミゲル、ホルヘ、その他たくさんの地元ケベックのオジサン、オバサンたち。みんな喋ったり飲んだりしながらもサルサのリズムに乗って、ただただ楽しそうに踊っている。

中でも目立ったのはドーラで、もともと180㎝近い長身に加え、それに見合った体重も備えた堂々たる体躯のシニョーラなのだが、そのドーラが真っ赤なタンクトップに黒のロングスカートで、圧倒的豊かさの胸と腰を激しく振り動かして踊るものだから、私の目はドーラに釘づけ。「うおお、かっこいい!」と思いつつ、一方で「こんなに激しく胸と腰を振り動かしているのに、淫靡さが微塵も感じられないのはなぜか?」とか、「同じダンスでも、私が大学の四年間+α稽古に稽古を重ねた日本の踊り“仕舞”とはなんと違うことか・・・」などと、とりとめもないことをあれこれ考えた。そして、仕舞を舞うのは楽しかったけど、これからやるのならやっぱりこっちだよなあ。今後に備え、ようつべあたりの動画を見ながらステップの練習でもしてみるか、と雪に降り込められたある夜、例のクロゼットの奥の自室で練習してみたが、盆踊りDNAは一朝一夕に消えるものではなく、どう頑張っても私の腰の動きは“佐渡おけさ”とか“安来節”とかを髣髴させる日本海リズムを脱することができなかった。おまけに板こんにゃく体型の私には、振り動かす胸も腰もないことを鏡に見せつけられつくづくと嘆息。動きと言い、体型と言い、ハリケーン渦巻く熱いカリブは遥かなる水平線の彼方で影すら見えない感じである。あああ・・・ なんでこんなに違うのかねえ?



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ところでこのパーティではひとつ誤解があった。私は“フィエスタ・ラティーノ・ケベッコワ”というのはラテン系ケベック人、あるいはケベックに移民したラティーノが集まるパーティだと思っていたのだが(“ラティーノ・ケベッコワ”の語を、“チャイニーズ・アメリカン”と同様に解釈したわけ)、どうやらこれは“ラティーノ”“ケベッコワ”のパーティという意味だったようで、参加者の大半は地元ケベッコワ。しかも「平均年齢、55歳超えてるんじゃないか?」と思えるほど、シニア-な印象のオジサン、オバサンが目立った。最初は「こ、こんなはずでは・・・」と思ったが、夜が深まるにつれ上記のとおりラティーノがその存在感を増大させ始め、陽気でにぎやかな大変楽しいパーティになったので終わり良ければすべて良し。ドーラとも親しみを増せたし、ま、佐渡おけさサルサしか踊れなくても、行ってよかったと思う。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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