餡入りまんじゅう

HK時代同様、こちらでも週3回ジムに通っている。雪だるまも私も特に社交的な方ではないが、週3回1年半も通っているとさすがに顔見知りが出来て、何人かの人とは挨拶を交わしたり、お喋りをしたりするようになった。

私たちがジムに行くのは平日の午前中なので、自然行き会うのは私たち同様すでにリタイアした人たちか、またはシフトで働いている人ばかりで、夜に行ったことはないのではっきりとは言えないが、たぶん夕方6時以降にやって来る人たちよりはだいぶ平均年齢が高いのではないかと推察する。なにしろジム最高齢を自称する82歳のおじさんも平日午前組なのだ。

これは女性陣も同じで、たまには20代と思しき若い女性も見かけるが、常連は50代、60代のすでに仕事を辞めた奥様方。みなさん健康維持が目的なのだろう。だいたいどなたも、軽めの運動をこつこつと地道に続けていらっしゃる。

私はまあフランス語が喋れないこともあって、最初こうした奥様方とは目礼を交わす程度だったのだが、顔を合わすことが増えるにつれ“Bon jour !”と言い合うようになり、最近ではうち2人のごく気さくな方とは言葉を交わすようになった。どちらも多少英語を話すので、それで何とか会話が成立するのである。

一昨日にはそのうちの一人、Madame Bに誘われて一緒に散歩に出かけた。散歩といっても遊歩道をゆるゆると歩く優雅なものではなくて、雪道をブーツでガシガシ歩く競歩的なやつである。一昨日もMadame Bの家から住宅街を抜けて町の南の農場地帯をぐるりと一回り、雪道とブーツが許す限りの速度で1時間半、少なくとも6km は歩いたので最後には手袋を脱いでジャケットの前を開けるほど沸々と熱くなった。Madame Bがこのあたりの人には珍しく背の高い方で、したがって脚も長いので、チビの私は同じ速度でついていくのが結構大変だったせいもある。ウチに帰って見たら右母趾の裏に水膨れができていた。

ガシガシ歩く間いろいろお喋りをしたが、それぞれ英語力、仏語力に限界があるので深い話はできない。それでもお互いの家族や趣味について、数フレーズ完結型の会話をあれこれと積み上げた。Madame Bはこの町で生まれ、そのまま60何年住み続けているとのことで、「この道は12eme(12番街)の南側で一番最初にできた道よ」とか「この辺は昔はずうっと林だった」とか聞くのは楽しかった。

こういう事実羅列型の表面的な会話はいつまでも続けられるものではないが、話によると彼女は最近週1回、近所の教会で開かれる英語教室に通っているということだし、私もぼちぼちフランス語の勉強をしているので、お互いこの努力が続けば、そのうちもう少し中身のある話もできるようになるかもしれない。老い先短い身で上っ面だけの話を続けるのは餡なしのまんじゅうを食べるように虚しいので、できれば双方呆け始める前に餡入りまんじゅうに移行したいものである。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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