恋愛映画はつまらない

  • 2013/05/07 11:04
  • Category: 映画
最近、以前にも増して恋愛映画に対する受容度というか、忍耐心が減り、惚れたはれたにまつわるあれこれがつまらなくて、見ていることができない。

一昨日もポルトガル映画『Tabu』を見ていたのだが、第1部のリスボンを舞台とした認知症気味の老女とそのお手伝いである黒人女性、老女を気遣う隣家の婦人を巡って話が展開していた間は、あまり見ることのないリスボンのアパート風景や街の様子などが物珍しく、淡々とした白黒の映像も静かで好もしく、面白く見ていられたのだが、第2部になって、老女の過去、アフリカで農場主として生活していた彼女と夫、彼女の不倫相手だった若いミュージシャンが話の中心となったとたん、出会いから人目を忍んでの逢引き、一時の別れとそれによってより募る恋情といったお決まりの展開に退屈を禁じ得ず、それにも増して恋愛によって引き起こされる熱情、歓喜、焦燥といった人間の感情の動きに少しも感情移入できず、馬鹿馬鹿しく面倒くさくてうんざりしてしまった。

その前にフランス映画『Le rouge et le noir』を見た時も同様。かの有名なスタンダールの小説をTV映画化したものなのだが、ジュリアン・ソレル役のKim Rossi Stuartが元トップモデルを母に持つだけあって文句のつけようのない美貌で、しかしいかにも底の浅い美しさが後々ろくなことにならなそうな予感をひしひしと感じさせる点、役柄にぴったりだったし、レナール夫人役のキャロル・ブーケも特に難はなかったのだが、それでも二人の恋愛場面では「あーあ、人妻と恋愛したところでどうなるものでもなし。立身出世したいなら、もっと計算高く、先の先まで考えて動けよ」と、つまらない色恋沙汰に足を取られて自らを危険にさらしているジュリアンがお馬鹿に思え、その後のマチルダとのどたばたに至っては「こんな気まぐれな女を相手にしてどうする? こんなのとかかわっていると碌なことにならないぞ!」と、またもや惚れたはれたで身を誤りそうになっているジュリアンにげんなりし、愛想が尽きた。事実、原作ではその後ジュリアンは碌でもないことになるのだが、映画の方のジュリアンがどうなったかは知らない。阿呆らしさに見るのを止め、庭に草むしりに出てしまったからだ。色恋沙汰で身を誤る青年の話を見ているくらいなら、庭の雑草でも抜いている方がよほど生産的である。

小谷野敦氏だったか、「もてない男」あたりで現代の恋愛至上主義を、やっかみ半分批判していたように記憶しているが、まったく氏のおっしゃる通り、現代は映画も小説も歌曲も恋愛至上主義。色恋がなければ夜も日も明けない感じだが、恋愛ってそんなに御大層なものですかねえ。恋愛は、やっている当人にとっては寝食を忘れるほど面白いものであることは私自身過去の経験からわかってはいるが、とどのつまり色恋沙汰というのは一時の気の迷いであって、大方の場合、面倒と迷惑しか引き起こさないのである。動物でいうところの発情期にある10代、20代の人間が、ホルモンの作用による色恋の感情に呑み込まれて身を誤るのは致し方ないとして、30代以降であるなら少しは自らのホルモンと感情をコントロールする方法を学び、恋愛なぞよりもう少し有用なことにジンセイの時間とエネルギーを使うべきではないか。その方が“愛”などよりよほど効果的に地球を救えるような気がするが。
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やまけろ

ルバーブ情報ありがとうございます。お陰で謎が解けました。汚い緑色ジャムは嫌なので、いつか作る日が来たら赤いので挑戦します。家で栽培出来たら良いんですけどね、きっと枯らすに篠沢教授1万点です。

本題ですが。恋愛映画観ながら寝てしまうかツッコミ入れまくりか、どちらかの年齢になりました。どちらも未鑑賞なので観てツッコミまくってみます。

とらこ

だいぶ前に富岡多恵子が「恋愛なんてしょせん発情にすぎない」とドライに言ってて、当時まだ若かったわたしとしては「おばさんになるとそんなことを言うようになるのか…」と思ったのでしたが、いまはわりとらうとらさんに同感(笑)。だけど、富岡多恵子はその後もたぶん恋愛を続けていて、『ひるべにあ島紀行』なんかを読むと、中高年になってからの恋愛もかなり「痛い」ものであるなぁと思います。恋愛にはたしかに「発情」の部分も大きいけど、でもやっぱりその人の根源的な、精神的なものの発露もあるので、わたしとしては何歳になっても恋愛という出来事を忘れずに考えていきたいなぁと思っています。

らうとら

やまけろ様
たとえぴかぴか緑の親指の持ち主でも、暖地で寒冷地の作物を枯らさずに育てるのは大変ですよ。個人宅では温室は作れても、まさか冷室は作れませんからね。したがって、やまけろさんのお宅でルバーブが夏声できず枯れたとしても、それはやまけろさんのせいではありません。北関東住まいだった私も、黒姫でもらってきたルバーブを枯らしました。TT

私がけなした2本の恋愛映画については、日本でも見られるようでしたら、どうぞご覧になってみてください。『TABU』の方はマイナーな映画なので自信はありませんが、『赤と黒』の方はあるかな。ジュリアン役の青年が、なにしろ美貌であります。それだけは自信を持って言えます。ほっそりとした長身で、姿もよいです。実に鑑賞向き。
  • URL
  • 2013/05/10 07:22

らうとら

やまけろ様2
すみません。お返事の中の「なつごえ」の漢字変換を間違えました。ここは当然「夏越え」であります。確かこっちを選択したと思ったのに、なんで「夏声」になってるんざんしょ。ああ、恥ずかしい・・・
  • URL
  • 2013/05/10 07:30
  • Edit

らうとら

とらこ様
確かに恋愛によって、その人の中の崇高な部分が出てくることがあることもあるでしょうし、そもそも恋愛感情というものがなかったら、古今東西の小説、詩歌、歌曲、映画の傑作の大部分も生まれては来なかったでしょうから、恋愛を全否定してはいけないとは思うのですが、現実的には、「愛」や「恋」という名のもとに、数々の面倒、混乱、迷惑も発生していて、なんだかげんなりしてしまうのであります。もっと枯れて、何事にも淡白な方が、世の中平和かなあ、と。とらこさんとは逆に、私は恋愛という出来事を忘れ、考えたくないのであります。
なんて、単に私が精神的に低調にあるため、そういう風にしか思えないだけかもしれませんが。最近、落語も面白くないんですよ。意固地病、重症であります。

  • URL
  • 2013/05/10 07:48
  • Edit

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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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