“Si le vent souleve les sables”

  • 2013/05/30 21:40
  • Category: 映画
映画のロケが行われたのはジブチらしいが、ジブチが舞台というわけではない。旱魃で村の井戸が枯れ、水を求めて移動する話はアフリカのどこでもありうるからだ。この映画の主人公Rahneの村も同じ。長い乾季で井戸は枯れ果て、人間の飲む水も、家畜の飲む水ももうない。まだ水が残っているという一番近い井戸は、歩いて6時間の距離だ。しかしそこも、いつまで余所者に水を分けてくれるかはわからない。移動するしかない。しかし大方の村人が南へ向かおうとするところを、Rahneは妻(Mouna)と3人の子ども、家畜と共に、ラクダに荷物を乗せて、東へ向かう。もう一人の村人も同行する。

*以下、ネタバレあります。ご覧になる予定の方は、ご注意ください。

住んでいた村同様カラカラに乾き、果てしなく続く砂漠には水の影もない。歩きに歩いてやっとオアシスのひとつにたどり着くが、そこを警護する民兵は、水と保護を提供する代価として1日につき1頭の家畜を要求する。もともと乏しい家畜を永遠に提供し続けることはできないし、そのオアシスの水も枯れかけている。民兵の隊長の勧告もあり、Rahneたちは3日ほど休んだだけで、隊長に教えられた井戸を目指して、また移動を開始する。

永遠に続く砂、砂、砂。そこをラクダを引き、家畜を追いながら歩き続けるRahneたち。ソマリ人系なのか、背が高く手足が長い彼らの姿は美しく、女たちのまとう衣服はアフリカの太陽に映えて鮮やかに目を射るが、しかし隊長の話は嘘で教えられた場所に井戸はなく、しかも突然別の民兵の集団が現れて銃を突きつけられる。

反乱グループの一員ではない証拠に子どもを一人寄こせと言われ凍りつくRahneとMounaを見て、上の男の子が「僕が行く」と進んで民兵のトラックに乗る。それを黙って見つめるしかないRahneとMouna。しかし民兵たちは立ち去り際、遊びのように銃を撃って、2番目の男の子も彼らから奪ってしまう。

家畜も失い、残された一番下の女の子とMounaを連れ、歩き続けるRahne。しかしMounaも途中で渇きと疲労から意識を失い、置き去りにせざるを得なくなる。水と助けを求め、それでも歩き続けるRahneだったが、彼も砂漠の途中で力尽き、倒れる。

最後、彼らは通りかかったUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)に助けられるのだが、難民キャンプの救護所で目を覚ましたRahneに、“明るい未来”が待っているわけではない。キャンプで偶然再会したかつての隣人は「みな元気か?」というRahneの問いに「うちは(Nous)・・・」と言ったきり、ふっと周りに目を移すのだ。そこに映るのは砂漠の中に白いテントの立ち並ぶ難民キャンプの風景。

唯一の救いは、一番下の女の子Shashaの明るさと強さ。ヤギの1匹をかわいがり、大人たちや兄たちと一緒に歩き続け、最後「あたしは、こっちに行く」とRahneとは違う道を行こうと、さっさと荷物を棒の先にくっつけて歩き出す元気のいい子。骨ばかりのような細っこい身体に、くたびれた、しかし鮮やかな赤のカフタン(?)をまとった彼女は、静かに燃えるエネルギーの塊りのようで、何事にもびくともしないその明るさと逞しさが、こちらの心に温かさを残す。そういえば、“Beasts of the Southern Wild”の女の子ハッシュパピーも、そういう子だった。(余談だが、この映画もよい。お薦め)

ただ、この明るく逞しい子も、生まれた場所によってはFGM(女子割礼/女性器切除)の対象になるのかと思うと、何とも言えないやりきれなさが広がるが。

映画 Si le vent soulève les sables(Sounds of sand) 2006年仏・ベルギー
監督 Marion Hänsel
原作 Marc Durin-Valois
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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