この“ハズレ”率の高さは、実に謎

昨日は雪だるまの従弟の一人の50歳の誕生日で、夜、会食会場である隣の市のレストランまでえっちらおっちら出かけた。

こちらに来て以来、出かけた先のレストランで「おお♪」という味に出会うことはめったになくなってしまったので、昨日も「50歳のお祝い」や「他の従兄弟姉妹たちに会う」という社交活動の面はともかく、食事に関しては全く期待していなかったのだが、案の定その予想は裏切られることなく、というか予想をはるかに上回る美味しくなさで、私と雪だるまをげんなりさせた。

誓って言うが、私と雪だるまの舌は肥えていない。こちらに来るまではどこの料理だろうが、どんなレストランだろうが、出された料理を舌と胃が拒否したことなどなく、どの皿も「おいしいねえ、これ」としあわせに食べていたのである。(私と一緒に食事をしたことがある方なら、私がどんな料理にも文句をつけることなく、旺盛な食欲できれいに皿を空にしていたことを覚えておいでと思う)

それがこの北米の田舎町に来てからというもの、レストランで食事をして「おいしい!」と思えた試しがない。以前ほど頻繁に外食しているわけではないし、評判のレストランにでかけているわけでもないから、たまたま“ハズレ”のレストランにばかり当たっているだけなのかもしれないが、それにしてもこの田舎町におけるハズレ率の高さには、まったくがっかりさせられる。

昨日も“Casa GXXX”というスペイン料理だかギリシャ料理だか今ひとつよくわからない名前のレストランが会場だったのだが、まず前菜に取ったフェタチーズのものすごい塩辛さに仰天。塩水の中で熟成させるフェタだから、ある程度の塩辛さは想定の範囲内だが、昨日のは限度を超えてsalé、salé、 salé。しかもその超塩辛いフェタが、皿の上にどーんと3塊。あまりに大きいので半分は雪だるまの前菜(ほうれん草のパイ)と交換してもらったが、それでも1つめの塊りの半ばあたりから胃の中が塩まみれの気分になり、最後の半カケは目に涙をためながら無理やり呑み込んだ。今から思えば何も無理に食べることはなかったのだが、「皿の上の食物を残してはいけません」教育が身に沁みついているので、ついつい無理に呑み込んでしまったのである。やっとこさ1塊り半のフェタを呑み込んだ後は、なんだか向こう1週間分の塩分を一気に摂り込んだような気分で、胃も食道も塩だらけで、ざーらざら。

塩フェタと中和のためがぶ飲みした水で胃をごぽごぽさせ、情けない気分でいるとサラダが来た。なかなか新鮮そうな葉っぱのサラダで「これで少しは胃が元に戻るかも」とはかない期待に胸がふくらんだが、一口食べてその期待は即刻消えた。辛い玉ねぎのぶつ切りがふんだんに散らされ、しかもドレッシングは例のミラクルホイップ。お好きな方もおられるようだが、残念ながら私はあの味が苦手である。しかもそれが辛い玉ねぎのぶつ切りといっしょでは…。3口食べて、あとは雪だるまに譲った。もう無理やり食べるのは止めた。

主菜に頼んだ舌平目のムニエルも同様に半分で止めた。公平に言えば平目そのものは悪くはなかったのだが(まちょっとムニエルというよりフィッシュ&チップスみたいではあったが)、いっしょに皿に載って来た巨大じゃがいものフライと、半煮えの米をケチャップで合えたような付け合せが、どちらも驚異的な味のなさで見事に我が食欲を殺し、平目に対する欲望を消し去ったのである。(ちなみにこの2種の付け合せはどの料理の皿にも載っており、この店の定番かつ唯一の付け合せらしかった。よよよ…)隣席の雪だるまも、主菜のチーズ・カネロニが全然おいしくなかったらしく「この次は絶対これは頼まない」とぶつぶつ。食べ物に文句を言うことはほとんどない雪だるまが不平を漏らすのだから、よっぽど不味かったのだろうと思う。

それでも叔母さんによれば、ここはウチの町の“Casa GXXX”よりは、ずっとましなんだそうである。(注:“Casa GXXX”はチェーン展開していて、ケベック各地に店舗がある)ここよりひどいとは一体どんな料理を出しているのかと想像するだに恐ろしいが、この“Casa GXXX”に限らず、2年前ジェリーの誕生会をやったブッフェ式チャイニーズレストランも、すべての料理が同じ味で私をびっくりさせたし、ウチの近所のギリシャ料理レストランも、そこが会場なら仕方ないが自ら進んで食べに行きたいとは絶対に思わない。タイ料理の店も同様。

というように、私たちにはこの田舎町はまったくの外食不毛地帯としか思えないのだが、別にケベック全部がそうだというわけではなく、モントリオールでは適当に選んで入ったレストランでもどれもそこそこおいしかったし、クラスメートによれば隣の市でも美味しいレストランはあるそうである。したがって冒頭にも書いたように、単に私たちが“ハズレ”のレストランにばかり当っているだけなのかもしれないが、それにしてもどうしてこうも“ハズレ”にばかり当たるのか。

お義父さんや叔母さんたちを始め、家庭料理はおいしいのだから、当地のレストランの“ハズレ”率の高さは、実に謎である。なぜ潰れることなく客が来続けているのだろう? みんな“1回目”の客なのか?
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とらこ

ふたりでレストランを開けば?テキトーにやっても繁盛しそうですね!
  • URL
  • 2013/10/20 12:21
  • Edit

Amei

香港で言う「私房菜」。完全予約制のメニュー完全おまかせ制で、一晩に二組か三組しか客を取らない形式のやつ。どうすか!?
  • URL
  • 2013/10/21 09:54

らうとら

とらこさま、Ameiさま
その昔、まだ香港にいた頃、遊びに来た雪だるまの友達(両親はカナダの田舎町でチャイニーズレストランを経営)に、雪だるまと私の手料理を供し「これだけ作れればレストランが開けるわよ」と言われたことがありました。その時はお世辞100%の冗談として聞き流したのですが、今になって思うとあれは案外冗談ではなかったのかも。
実際、私たちの料理はともかく、とらこさんちやAmeiさんちで日々召し上がっていらっしゃるメニューなら、立派にレストランとしてやっていけると思います。ただ問題はマーケット。ウチの町の人口は5万、隣の市でも13万。私房菜として採算度外視の趣味でやるならともかく、ショーバイとしてはちょっと厳しいかなあ。
  • URL
  • 2013/10/21 20:39

とらこ

ディネーセンの「バベットの晩餐会」ってあったじゃないですか。あれですよ。田舎町の奇跡のレストラン!
  • URL
  • 2013/10/22 07:59
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Amei

友人のお家はお父様もお母様も料理の達人で、副業に町内の冠婚葬祭の仕出しを請け負ってるんですよねー。もちろん不定期です。イメージとしてはそういうのを思い浮かべました。高校時代の友人なのですが、仕出しのお仕事が入った日の彼女のお弁当はたいへん豪華だった。
  • URL
  • 2013/10/22 09:53

らうとら

とらこさま、Ameiさま
「バベット」とはまた何と! 桁が違い過ぎて、ウチの料理など足元にも及びませんわよ。そうだなあ、二人でやるとしたらベジメニューを主体にした小さいレストランか、Ameiさんご推奨のケータリングかなあ。雪だるまがいつも「このあたりのレストランにはベジメニューがほとんどない!」と、ぶーぶー言っているので。私の料理はともかく、雪だるまのデザートはおいしいから、けっこうショーバイになるかもね。本当は一番おいしいのはお義父さんの料理&デザートなんだけど、おとーさん、やらんだろうなあ。
  • URL
  • 2013/10/22 21:04
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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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