『Cloudburst』

  • 2013/11/12 06:38
  • Category: 映画
ステラとドッティは80代のレズビアンカップル。もう30年以上仲良く暮らしているが、なにしろ寄る年波。ドッティは目が見えないし、もう二人で暮らすのは無理でしょう、とドッティの孫娘(そう、ドッティは昔、男と結婚していたことがあるのだ)は、ステラの留守にドッティを無理やりホームに入れてしまう。

頭に来たステラは、ホームに忍び込んでドッティを救出。それから二人は、また引き離されたりしないよう、同性婚が認められているカナダに行って結婚し、二人の関係を正式なものにしようと計画、メイン州からカナダまでロードトリップを開始する。

というのがあらすじ(の半分)なのだが、度肝を抜かれるのがカップルの片割れ、ステラの口の悪さ! 80代の婆さんなのに、超辛口のユーモアの持ち主の上、ところ構わずFワードぼんぼん。マシンガン並みの速度で大量の放送禁止用語を連射するので、周囲の顰蹙を買いまくり、ヒッチハイクした車から途中で放り出されるほど。見ているこちらも、半ば呆れつつ、しかしついつい笑ってしまう。

このステラ、その昔『Moonstruck』(’87米)でシェールのお母さん役を演じたオリンピア・デュカキスが演じているのだが、その時の楚々とした美人の面影はどこへやら。この映画ではdyke(男性的なレズビアンを指すやや軽蔑的な語)のステレオタイプ的に、服装も行動もマッチョな婆さんになりきっていて、隣で見ていた雪だるまも「彼女がこんなFワード満載のセリフを口にするのは、長い女優人生の中でも初めてなんじゃないか」と爆笑しつつ、コメント。一方のドッティは、ステラと違ってFワード連発ということはないが、ユーモアのセンスは同じく辛口で、二人の掛け合いはかなりおかしい。

そして二人は途中で、ニューブラウンズウィックの病気の母親の元に帰ろうとしているダンサーの男の子プレンティスを拾う。道端でパンツをずり下げ気味にして女性ドライバーの気を引こうとしていたプレンティスだったが、ステラに「ズボンを上げな、坊主!」と言われておとなしくパンツを引き上げ車に乗り込むあたり、なかなか素直ないい子で(それにどっちにしても、80代のレズビアンカップルに腹の下を見せたところで意味ないし)、3人の珍妙な道中はドタバタしながら続いて行く。と書くと何だか下世話で猥雑なコメディのように聞こえるかもしれないが、年をとっても、目が見えなくなっても、お互いをいたわり合う二人の姿と、その二人を大切に思い始めるプレンティスとの交流は、こちらの心にしみじみしたものを残すし、メインからニューブラウンズウィックへ向かう道中の自然も息をのむように美しい。

以前にも書いたが私は婆さん映画が好きで、私の“My favorites”引き出しには、婆さん映画の一山がある。この映画も、もちろんそこに入った。久しぶりに楽しい映画だった。



CLOUDBURST!CLOUDBURST!
(2013/07/30)
不明

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Amei

テルマ&ルイーズは何度見ても泣いてしまうのだけど、この映画も面白そうですね。見てみたい。こっちで手に入ればいいなあ。
  • URL
  • 2013/11/12 10:04

らうとら

見たい? ではこれも、次回の荷物リストの中に入れておきますわ。英語ネイティブでない分、Fワードもそうそう耳障りではないし、楽しんでいただけると思います。若い男の子のプレンティスの存在も、いいんですよ。ダンサーの割に、ダンスは下手っぴいだけどね。
  • URL
  • 2013/11/13 21:24

梨の木

優しいほんわりしたお婆ちゃんにはなれそうもなくて、どちらかというと口の悪い意地悪婆さんをめざす方が現実的だろう思っています。ステラのようにFワードを連発するのは無理でも、しらっと無邪気に笑いながら強烈な皮肉が繰出せる婆さんになりたくて、今日もフランス語の勉強中なのです。でも、ボケちゃって日本語しか出て来なくなったらどうしましょうね。
  • URL
  • 2013/11/15 21:23

らうとら

わたしはすでに意固地な婆さんに成り果てています。口には出さずとも、物の見方が斜め過ぎていけません。時折反省しておりますが直りません。
しかし梨の木さんの場合は、私の想像では50年後には『La tete en friche』のマルグリートのようなお婆さんになっておられるのではないかと思いますが、いかがでしょう? 彼女、すてきでしたよね。役柄も、またそれを演じているジゼルさん自身も。
  • URL
  • 2013/11/17 21:28

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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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