海賊業

  • 2013/12/10 10:06
  • Category: 映画
先日、デンマーク映画「A Hijacking」(原題 Kapringen)を鑑賞。デンマークの船会社が所有する貨物船が、インド洋でソマリアの海賊にハイジャックされる話で、見どころは身代金値切り交渉における会社側および人質である乗組員の心理的葛藤といったところなのだが、面白かったのはその後に読んだ「ソマリア沖の海賊」についてのウィキの記述。

曰く「エイルなどソマリア沿岸の町では、武装した海賊の往来や酒の消費の増加により周辺が物騒になって住民の生活が脅かされる一方、市内には海賊相手の会計士、運転手、建築業(海賊は身代金で豪邸を建てる)、人質への食事供給業者など、さまざまな“海賊周辺ビジネス”が興り、住民の大きな収入源になっている」だそうで。やれやれ、こうなると海賊も立派な“産業”のひとつである。

○○城下町という呼称が存在するように、町に大きな企業がひとつあると、その企業に対する直接的な関連業務だけでなく、その関連業務に対する関連業務、下請けや孫請け業務、そこで働く従業員を対象とした各種業務などが連鎖的に発生し、それら業務が発生することによって当然ながら雇用も発生し、雇用が発生すれば消費も発生するわけで、全体として大きな経済効果が生まれたりするものだが、なんと海賊業でもこのサイクルは発生しうるのか。いやはや目からウロコ。といってまさか町興しに官民一体となって海賊業を誘致!というわけにはいくまいが。

ちなみに船と乗組員を人質に取られた船会社が身代金を値切るのは、別に金が惜しいからではなくて、海賊の言うがままためらうことなく金を払ってしまったら、“リスクゼロのおいしい商売”としてますます海賊業を振興させることになり、そこら中に海賊が横行して各国の船と乗組員をより大きなリスクに晒すことになるからである。この映画でも値切り交渉は数か月にわたって続き、初回の要求1500万ドルに対し、最終的には330万ドルで決着した。

人質という極度のストレス状態に置かれている乗組員にとっては、値切り交渉が何か月も続くのは冗談ではないだろうが、そこはそれ“言われるままに金を払ってお終い”にするわけにはいかない事情があるのである。実際、最初の要求通り金を払ったら、「あれは手付金だ」と言って、さらに身代金額を吊り上げたという事例もあるようだし。海賊もビジネスである以上、ネゴシエーションは避けては通れないのである。



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↑ 邦題は「シージャック」のようす。
船を乗っ取るのだからシージャックの方が適切か

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Amei

Hijackingのhiはhighではないので、飛行機以外のも全部Hijacking でいいようです。WikipediaにはAircraft hijacking, Carjacking, Maritime hijacking or piracy, Truck hijackingなどの項目が立っておりまする。
  • URL
  • 2013/12/10 11:28

らうとら

うん、だから英題は「A Hijacking」なんだと思うんだけど、邦題をシージャックにしたのは、日本ではその方が通りがいいからかな? 30年くらい前は、確か船の乗っ取りにはシージャックを使っていたと思う。今でもそうなのかどうかは、最近の日本の事情に詳しくないのでわからないけど。どうなんだろ?
  • URL
  • 2013/12/10 20:56

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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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