語呂合わせ

  • 2014/02/13 22:29
  • Category: 言葉
世の中には目に映ったものを映像として正確に記憶していられる人もいるようだが、誠に残念ながら私はその少数者のうちにないので、物事にしろ人の顔にしろ、電話番号などの数字にしろ、何かを覚えていることはあまり得意ではない。映画などの筋も、よほどの秀作かあるいは逆に駄作でない限り見たそばからすぐ忘れるので、同じ映画を何度も楽しめて便利ではあるのだが、この嘆息ものの記憶力の弱さは外国語学習には非常に不便で、単語など覚えた端からころころ忘れていく。我ながら感心するほど、脳内に定着しない。

しかし外国語学習は、特に初期は、徹頭徹尾「覚えて、なんぼ」 動詞の活用にしろ、文法にしろ、記憶しないことには話にならない。単語も同様。見たこともない外国語の単語など、いくら考えたって意味を思い付くわけはないのだから。で、昔はそのなかなか脳内に定着してくれない単語を何とか定着させようと、単語帳を作ってみたり、ひたすらせっせと書き取りをしてみたりしていたのだが、最近は目のせいで字を読むことや書くことがしんどいので、もっぱら何かに関連付けての記憶に頼っている。

たとえば先日歯医者に行くので覚えようとした「mâcher(噛む)」は、パピエ・マシェのマシェの元の形(不定形)だと知ってすんなり頭に入り、ついでに「coller(貼り付ける)」からはコラージュが、「découper(切り分ける、切り取る)」からはデコパージュが派生すると知って、「おお、なるほど」と合点がいき、この2つの動詞は頭に住みついた(と思う。住みついてくれ、頼む!)

そのほか英語と綴り、意味がほぼ同じ、あるいはそっくりの単語も、覚える手間が省けて助かる。英語にはフランス語から入った言葉が多いので、これは馬鹿にできない。ただ時々は、綴りは同じだが意味は違う単語や、意味は同じだが微妙に綴りが違う単語があるので、油断はできないが。たとえばこの間の「食べ物関連単語テスト」では、tomate(英語はtomato)とcarotte(英語はcarrot)で引っかかりそうになった。ことにcarotteなどは同じ人参を指すくせに、フランス語はtが2つ、英語はrが2つと実に紛らわしく、まったく外国人学習者を悩ませるためにそれぞれの国のアカデミーが、わざと綴りを違えたのかと勘繰りたくなるくらいである。

とはいえ、そうした落とし穴はあっても、似ている単語は記憶しやすいから助かる。困るのは何かと関連付けることもできず、英語と似ているわけでもない数多の単語である。しかも(当たり前だが)これが結構多い。記憶力のよい人なら、じいっと睨んで覚えて一件落着だろうが、記憶力のない私の場合そうはいかない。そこで登場するのが語呂合わせである。なかには「我ながらアホかいな」と思うような語呂合わせもあるが、この際覚えないよりはまし、と割り切ってせっせと語呂合わせに励んでいる。

たとえば手術の際に病院から貰ったリーフレットに頻繁に出てきた「pansement(包帯とかガーゼとか、あるいは手当てとかいう意味)」は「パン、すまん」(←パンに謝っている)、「cicatrice(傷跡)」は「鹿とリス」


shikarisu.jpg


そのほか「quotidien(日常の/日刊紙)」は「コチュジャン(例の韓国の辛味噌)」、「évidemment(もちろん、当然)」は「海老だもん」、等々。

一読しておわかりの通り、恥も外聞もない破れかぶれの語呂合わせばかりだが、この際いいのである。とりあえず初級者のうちは、覚えてなんぼ。聞いてわかり、読んでわかり、口をついて出てくればよいのである。どうせ相手には、私の頭の中を駆け巡っている鹿やリスや海老など、馬鹿馬鹿しい語呂合わせの連想は見えはしないのだから。
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Comment

梨の木

らうとらさん、昨夜この記事を拝見しながらタブレットを取り落としそうになりました。
鹿とリス,パンすまん、海老だもん
強烈です〜。これは絶対に忘れない。

フランス語ではないですが、ポルトガル語の歌で、どうしても「讃岐そば」(そんなものは存在しませんが)と聞こえてしまうフレーズがあるのです。正しい言葉を教えてもらったとしても、多分耳が拒否するのでは?と思っています。

わたしは語呂合わせはあんまり考えませんが、冠詞を覚える時に「問題(problème)を起こすのはいつも男、質問(question)を発するのは女」とやって、男性陣に不評をかいました。
  • URL
  • 2014/02/15 00:50

らうとら

梨の木さま
私のろくでもない語呂合わせが、きちんと勉強なさっている梨の木さんに、悪い影響を与えないといいのですが。これから“évidemment”とか“éviなんとか”という単語が出てくるたびに、梨の木さんの頭の中にぽん!と海老が現れて、突然吹き出すようなことになってしまったら、大変申し訳ないですから。

私も別にいつも語呂合わせに励んでいるわけではないのですが、覚えたい単語が覚えられないと、どうしても何か覚えるカギはないかと考えてしまうんですよね。藁にもすがる思いというか(笑)

ところで冠詞の例、傑作です。お蔭さまで、以降problèmeとquestionの冠詞で迷うことは、絶対にないでしょう。感謝!

  • URL
  • 2014/02/17 21:05

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Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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