市民権 2

市民権の話の続きだが、クラスでのおしゃべりで知ったところでは、ドラ(メキシコ)とロルデス(フィリピン)は取得した、ファラ(モロッコ)は取得に向けて努力中、マリソル(チリ)は取得しようかどうしようか迷っている、というところらしい。他のクラスメートについては、この件について話したことがないので知らないが、大部分はまだ移民したばかりで言葉を覚えたり、仕事を探したり、生活を軌道に乗せるのに忙しく、とてもではないが市民権について考えるところまではいっていないというのが実情かと思う。それにそもそも移民1~2年では申請要件のひとつ「過去4年間のうち少なくとも3年間カナダに住んでいること」を満たしていないので、申請したくてもその資格がないのである。これについては私も同様。永住権を貰ったのが2012年2月だから、2016年2月以降でないと申請権なし。申請するかどうかは別として。

さて、市民権取得に向け現在努力中のファラは取得したい理由について、夫はケベッコワ(=カナダ国籍)だし、こちらで生まれた2人の子供たちも(当然)カナダ国籍だから、今後ここで生活していくためには、どうせなら家族全員同じ国籍の方がいい。それにモロッコ国籍よりもカナダ国籍の方が、たとえば外国に旅行する際ヴィザが要らない国が多いとか、何かとメリットが多いからと言っていた。

市民権申請に関する調査やアンケートを読んだわけではないからはっきりとは言えないが、ファラが挙げた理由は、たぶん市民権申請者の大部分にあてはまる理由ではないかと思う。家族でここに住み、家を持ち、仕事を持ち、子どもを育てている人、つまり生活の基盤がここにある人、今後、自分が生まれた国に戻って生活することはないだろうと予想している人にとっては、カナダ市民権(国籍)の取得は種々の生活上の利便につながる。もちろん市民権がなくても永住権があれば、カナダに住むことはできるし、仕事もできるが、選挙権はないし、5年に1回永住権を更新しなければならない。まだ20代、30代の若い人たちにとっては、永住権保持者のままでいて、この5年に1回の更新を今後何十年も続けていくのは、けっこう面倒に思えるかもしれない。それならいっそ市民権を取得して、カナダ国籍になった方が簡単!と考えたとしても不思議はない。

それに、カナダ同様生活インフラや社会保障が比較的整った国からの移民者はともかく、政情不安な国、経済、社会保障面で恵まれているとはいえない国から移民してきた人たちにとっては、カナダという種々の面で比較的安定した国の国籍を得ることは、大きな安心と安全につながるだろう。それを安易と言って咎める権利は誰にもないと思う。

ひるがえって私自身はどうか。父が生きていた間は市民権を取ることなど考えてもみなかったが、その父は亡くなり、残る肉親は妹だけ。親戚づきあいはない。帰る家もない。日本との繋がりは、年々薄くなるばかりだ。

しかしだからと言って、カナダとの繋がりが深まっている感じも(今のところは)ない。仮に雪だるまが私より先に頓死したりした場合、一人でカナダに残る気になるかどうかは疑問だ。少なくともこのケベックでは、一人で残れるとは思えない。フランス語の壁が高すぎる。年寄りの身で、役所や税務署から来た書類を、辞書を引き引き半日がかりで読むのはしんどい。(読んでみたところで、正確に理解できるかどうかわからんし) そうなったらどこか英語圏の田舎、ケベックとの境に近いオンタリオにでも移住しようかと薄ぼんやり考えたりもするが、そうやって死ぬまでカナダに住むのなら市民権を取った方がよいが、一人になったら(その時の年齢にもよるが)日本に帰るという選択肢もあるよなあ、とも思う。そして日本に帰るなら、日本国籍のままの方が面倒がない。カナダの市民権=国籍を取得し、それによって日本国籍を喪失しても、元日本人であれば「日本人の子、Child of Japanese」として3年間滞在可能なヴィザ(延長可)が出るし、再帰化して日本国籍となることも可能だが、日本国籍のままでいれば、そうした面倒は一切ない。さて、どうしたものか。

というように、うろうろするばかりで考えが進まないのは、自分および雪だるまがあと何年生きるのかわからないからだ。まったく、ヒトの寿命がわからないのは、不便この上ない。
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Amei

市民権=パスポートなのですね。アメリカとの類推で市民権=グリーンカード≠米国籍かと思っていました。

私もHKSAR籍が欲しい。(チベット旅行のため)


欧州語であれば、欧州語→英語のGoogle翻訳は精度が高いので便利です。事情があってドイツ語に当たらねばならない時に使っていました。ドイツ人が「ほとんど間違いなし」と言っていた。

欧州語→日本語ならGoogleではなく、Excite翻訳のほうがややマシ。

息子は数学とか理科のややこしい問題でもひとつ確信がもてないときに、全文をGoogle翻訳に打ち込んで中国語と日本語にクロスチェックかけて読んでいます。中国語への翻訳のほうがまともな文章に仕上がっているそうです。
  • URL
  • 2014/03/17 09:59

らうとら

わたしが市民権と書いている元の語は“Citizenship”で、Canadian Citizenshipを取得すると、カナダのパスポートを申請できます。国籍がカナダになるということよね。米国のグリーンカードについてはよく知らないのですが、永住・就労が可能なステイタスなのだとすれば、カナダではPermanent Residentに相当かな。わたしが今もってるやつね。香港の永久居民みたいなものか。

Google翻訳、私も英⇔仏でお世話になってます。確かに書類だけならこれでいいんだが、実際どこかに出かけて行って、喋って聞いての交渉となると、ググってるわけにはいかないのよねー。それともそのうちバウリンガル(例の犬語の翻訳機)みたいなのが、出るかなあ?
  • URL
  • 2014/03/18 20:17

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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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