雪だるまはベジだが、私はベジではない。
ケージの中にぎゅうぎゅうに詰め込まれ、土を踏むことも、空を仰ぎ見ることもなく、ただひたすらエサを詰め込まれ肥育される牛、豚、鶏や、目的とする魚種以外は捕るそばから海に投棄されて海洋汚染に拍車をかけ、あるいは家畜同様、劣悪な環境の中、抗生物質たっぷりのエサを与えられて無理やり養殖される魚の惨状を憂いて菜食主義に転ずるには、私は食い意地が張り過ぎている。
だから、そういう人間の食料として肥育される家畜や魚の惨状や、そうやって肥育された家畜や魚を食べることは健康によいとは言えないかもしれないという状況には目をつむって、2週間に1回くらいは豚、鶏肉や食肉加工品を買い込んで、スープのだしに使ったり、サンドイッチの具にしたりしてきた。
なんのかんの言っても北米は肉食の地なので、そうした食品が豊富で、かつ安価だったせいもある。

しかし魚は、こちらに来てからあまり食べていなかった。
ひとつには買い出しに行く先がスーパーマーケットばかりで、魚と言えば皮なし、骨なしに下ろされたフィレ状の冷凍ものばかり。こんなのっぺらぼうの、頭も尾もない状態では、はたして本当に魚なんだか、あるいは魚の形に加工された何か別の物なんだか今ひとつ得体が知れず、しかも値段は肉に比べてやや高めでは、食指の動きようがなかった。おまけにそうした冷凍フィレのパッケージに添えられた名前は、“FLÉTAN(HALIBUT)”とか“PANGASIUS(BASA)”とか、およそ聞き慣れない名前ばかりで、どんな魚なんだか全く見当がつかない。

そんなわけで過去2年半、魚ケースの前は素通りで過ごしてきたのだが、先日仏語教室で魚の話が出て以来、なんだか急に魚が食べたくなって、近所のディスカウントストアでセールになっていたのを幸い、初めてのっぺらぼう冷凍フィレを1袋買ってみた。袋に書かれた名前は“PANGASIUS(BASA)” なにしろのっぺらぼうフィレなので、最初はごく普通にパンフライにしてみたのだが、身から水分が大量に出て著しく身が縮んだうえ、軽く塩コショウしただけなのに、かなり塩辛く仕上がってしまって、失敗。2回目は塩コショウなしでパンフライしてみたが、やはり相当塩辛い。しかも身は、銀鱈を煮つけた時のように、にゅるにゅる。

うーん、これはいかん…と米版クックパッド、“Allrecipes”を当たったら、マヨネーズと粒辛子を塗って蒸し焼き風にする料理法が出ていた。簡単そうで評価もよいので3回目はこれに挑戦。各調味料の計量をかなり適当にしたうえ、レシピの中で最大量の蜂蜜を入れ忘れるという粗忽ぶりにも拘らず、これは結構おいしくできた。身のにゅるにゅるした感じも、このレシピなら気にならない。気を良くして4回目はアルミフォイルではなくパーチメントペーパーで包み、オーブンではなく電子レンジでチンしてみたが、これでもけっこう何とかなった。(オーブンではなく電子レンジにしたのは、一人分の料理にオーブンを使う気がしなかったからである。省エネ&電気代節約 ^^:)

ちなみにこのPANGASIUS(BASA)という魚、ナマズの一種でメコンデルタやチャオプラヤ川流域が原産地らしい。日本ではあまり出回っていないのか、日本語名は見つけられなかった。確かにこのにゅるにゅる感では、煮つけにはできても塩焼きには向かなそうだし、日本ではあまり人気は出ないかも。上記の料理法ではまあ美味しかったが、ご飯のおかずになるかどうかは微妙なところ。中国風に清蒸あたりにすれば、行けるかもしれないが。

ああ、しかし、私が本当に食べたいのは、イワシの塩焼きなのだ。
ああ、七輪買って、イワシを焼きたい!
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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