低湿度

洗面所の引出の奥で、ヘアワックスやらムースやらスプレーやら、持っていることすら忘れていたヘアケア製品の数々を見つけた。ワックスとムースは固める度合いに応じて“ナチュラル”も“ハード”もあり、そういえば昔は常に常にサウナの中にいるような香港の湿度と戦いながら、何とか髪の毛をまともにしようと悪戦苦闘していたっけなあ、と懐かしく思い出した。

当時、仕事の大部分はオフィスに閉じこもっての翻訳だったから、普段は服装も髪の毛も超手抜きの放りっぱなしでも何ということはなかったが、それとは別に結構頻繁にあったプレゼンやツアコン、売り上げに直結するお客様相手の仕事の時は、それなりの服装と髪の毛に整えて文字通りpresentableにならねばならず(presentationをする人がunpresentableでは話にならぬのだから)、そのための必需品がワックスであり、ムースであり、スプレーであったわけだ。金融商品というろくでもないものをそれらしく見せかけて売るからには、せめてセールスパースンくらいお客様に対し好感と、可能ならば信頼感なども与えねばと、当時は無理を承知でいろいろと頑張っていたのである。

しかし仕事を辞めてこちらに来て以来、そうしたものは全く使わなくなった。学校や、せいぜいどこかに買い物にいくくらいが関の山の日常では、“きっちり整えた髪”なんてものは要らないからという理由もあるが、それより何より平均湿度50~60%という当地の湿度の低さで髪の毛がさらさらと軽くなり、ワックスやムース無しでも跳んだり跳ねたりしなくなったからである。元々癖っ毛なので多少のウェーブは出るが、香港時代のようにひどいことにはならない。洗ってざっと乾かせば翌日にはそれなりの形に収まっており、ウチにいるだけならそれで十分。出かける時には軽くホットカーラーで巻いて癖を直すこともあるが、それでも大した手間はかからない。湿度の低さは偉大だ。

そういえば引っ越してきたばかりの頃、髪を洗った後、軽くドライヤーをかければ髪が乾くことにびっくりしたことを思い出した。香港では、同じ1000Wのドライヤーでも、かなーり時間をかけないと髪が乾かず、これが結構な手間だったのだ。この乾きの遅さは私だけの主観的なものではなく、香港時代お世話になっていた美容師さん(日本人)も、香港に来てからW数の大きいドライヤーに替えたと言っていた。日本にいた頃愛用していたドライヤーでは、乾きが遅くて仕事にならなかったからだそうである。さもありなん。

この湿度の低さのおかげで、髪だけでなく洗濯物もからりと乾く。部屋干ししても(暖房が弱まるが気温自体はまだ余り高くない春先の一時期を除き)、ちゃんと乾く。ほとんど1年中高温多湿で、ちょっと油断するとあらゆるものにカビが生えた香港とは天と地ほどの違いである。この地にいる限り、カビの生えたタオルやカビの生えた皮ベルトを、タンスの中で発見することはない。ああ、楽ちん。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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