『Berserk』

  • 2014/07/14 12:33
  • Category: 映画
映画大好きの雪だるまだが、アニメも好きなので結構いろいろな国のアニメを仕入れてくる。圧倒的に多いのはやはり北米、欧州ものだが、たまにはアフリカのもあるし、アニメ大国日本のももちろんある。しかし見たことのある作品を買うのではなく、見たことのない作品をレビューを参考に買うので、当然当たりもあれば外れもある。たとえば去年見て、その無駄にペダンチックなセリフ(今時ミルトンの『失楽園』を読む人が、いったいどれくらいいると言うのか? 渡辺淳一センセイのなら20年位前に流行ったけど)と、香港を彷彿とさせる濃密な風景描写に心奪われた『攻殻機動隊』は私的には大当たり、先週見て後味の悪さに4、5日嫌な思いをした『Berserk』は大外れ、というところか。もっとも『Berserk』はその強烈な不快さゆえに、いつまでも貧しい日本のアニメにおける性描写と、その根底にあるのであろうミソジニーについてつらつらと考えたから、その点では有意義と言えないこともないが。

私は読んでいないのだが、アニメ映画『Berserk』は、三浦建太郎さんの漫画『ベルセルク』が原作だと言う。ウィキによれば漫画『ベルセルク』は、“緻密に描き込まれた重厚な画に加え、長大な俯瞰とモブシーンの多用、主要キャラクターの内面と感情的な繋がりを表現するストーリー、壮大な世界観が特徴”なんだそうだが、コミックス12巻分の内容を90分前後のアニメ3本に無理やり詰め込んだアニメ映画版『Berserk』は、“緻密に描き込まれた重厚な画”もなければ“主要キャラクターの内面と感情的な繋がり”の表現も今ひとつ、何より惜しいのは“壮大な世界観”というやつが微塵も感じられなかったことで、私は終始仏頂面で戦闘、殺戮シーンの連続と、野望を胸に秘めた策士、天下無敵の剣士、男勝りの副長など、ステレオタイプなキャラの通り一遍な描写、後半、突然という感じに現れた幽界(かくりよ)とそこに属する魔物たちのおどろおどろしい姿を、うんざりしながら見ていたのだった。

しかしまあ、それだけなら遥か昔、懐かしくも健全至極な『鉄腕アトム』から最近の『エヴァンゲリオン』まで連綿と続く日本アニメの伝統、“怪獣/魔物と戦うスーパー戦士”というラインを踏襲するアニメがもう一つ出てきたというだけだから、その新味の無さにうんざりはしても腹は立ちはしない。見て、あくびをして、忘れて、おしまいである。それがそうならず、その後4、5日も後味の悪さを引きずったのは、『Berserk』における性交描写と、女性剣士キャスカの扱いがとことん不快だったからである。

まったく、世界はすでに2014年、平成だって26年になるのだから、いいかげん性交にあたって女に「いや…」と言わせるのは、止めていただきたいものである。なぜいつもいつも「いや…」と言わなければならないのだ? シャルロット姫などグリフィスに恋焦がれて、何とか会える手段はないものかとあれこれ考えていたくらいなのだから、たとえかなり唐突だったにせよグリフィスに忍び込まれて「いや」なはずがないではないか。キャスカだって同じことだ。ガッツのことを憎からず思っている鷹の団のNo.3、歴戦練磨の女剣士が、なぜコトに当たって「いや…」と言わなければならないのだ? 制作者たちの頭には、「いや」と言う女を無理やりやるのが快感、あるいは女の「いや!」は「OK」なんていう時代錯誤の幻想が、いまだに色濃く残っているのだろうか?
 ロリコンのアニメオタクたちは、そういう設定でないと萌えないのか?

しかも『Berserk』においては、女は常に常に姦られる対象なのだ。キャスカが鷹の団に入るきっかけは、強姦されかけたところをグリフィスに救われたから。戦いの場面でもキャスカは常に相手から“女=姦る対象”と見られていることが、相手の揶揄の言葉によって示される。そして挙句の果てに、最後、転生したグリフィスにガッツの前で凌辱されるのである。当たり前だがグリフィスはキャスカを姦りたいからではなく、捕らわれたガッツに己の無力さを思い知らせ、辱めるためにそうするわけで、キャスカはそのための単なる道具。まったく救われない。

考えてみると、ある種の男の頭の中では、女は常に道具なのかもしれない。モノだから、精神なんかないのだ。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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