ドレスコード

  • 2015/01/12 01:55
  • Category: 日本
そもそも今回、日本に行くのは法事(父の一周忌)に出席するためである。去年、手術直後で葬式に出席できなかったので、法事への出席は娘として必須である。いくら外地住まいだからといって、いつもいつも妹一人に任せきりというわけにはいかない。

で、法事には雪だるまも出席することになっているので、「あれ、そういえば白の長袖シャツ、持っていたっけ?」と聞いたら、「持っていない」と言う。そして「なぜ?」と重ねて聞くので、法事の場合、親族は普通黒のスーツで、スーツの下には当然白シャツを着るからと答えたら、雪だるま突然厳しい顔になり、「私はスーツは着ない」と言いだした。

考えてみれば雪だるまは元々、大の“カタイ服装”嫌い。スーツも嫌い、ネクタイも大嫌いで、香港で働いていた時も、会社の規定でネクタイだけは仕方なくしていたが、服装は常に半袖シャツ。スーツは一度も着たことがなかった。まして今は自宅で仕事のフリーランス。毎日、毎日、Tシャツやスウェットのカジュアルウェアで楽ちんに過ごしているのだから、「いまさらスーツなんか着られるか!」という態度に出ることは予想すべきだったのだが、数年前の母の葬式の時はスーツを着てくれたので、今回もなんとかなるだろうと考えていたのだが、甘かった。

もっとも彼が持っているスーツは1着だけ。30年近く前に作ったらしいダークグレーのダブルで、素材は多分ウール。どっしりと重く、(雪だるま体型のせいもあって)やたら嵩張るので、こんな面倒くさいものを、たった1時間かそこらの法事のためだけに、遠路はるばるカナダから日本まで運ぶのはいやだ!という気持ちは、わからなくもない。私だって自分用の黒シャツ、黒ジャケ、黒パンツを運ぶのは超面倒くさい。まして滞在日数正味3日の日本の後、1週間ほど滞在する香港では、これらの服装の出番はないのである。「なんか、無駄…」と、私まで黒スーツを着る気分が萎えてくるが、まさか長姉の私までカジュアルウェアというわけにはいくまい。

雪だるまに「スーツを着ないなら、何を着るの?」と聞いたら、ジェリーから貰った黒のスウェットだそうで、「衿が付いているからいいでしょう?」と言うのだが、お寺はゴルフ場ではない。衿がついていようが、黒だろうが、スウェットはスウェットで、坊さんと親戚のオジサン、オバサンから、鋭い非難の視線が飛びそうである。まあもっとも、雪だるまには常に“外人枠”という逃げ場があるし、たとえ親戚連から非難されたとしても、お互いの顔を見るのはたぶん今回が最後。後々の付き合いに差し支えるわけではないので、非難されてもにこにこと受け流していれば済むのだが。

ドレスコードというのは、他人に不快を与えないため、また周囲から浮いた服装をすることによって自分自身が居心地悪く感じたりしないためにあるのだから、その服装をすることにより自分自身が不快になるのなら、本末転倒と言えなくもないが、いつでもどこでもカジュアルで何とかなってしまうカナダとは異なり、日本は冠婚葬祭の時の服装に厳しい。なかなかに手間である。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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