『Dreaming Spies』

  • 2015/02/23 11:01
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ローリー・R・キングの新刊が出た。書籍で出たとたんオーディオブックでも出たので、さっそくDLして聞き始めた。新刊のタイトルは『Dreaming Spies』。お馴染みメアリ・ラッセルシリーズの13作目で、どうやら今度は日本が舞台のようす。まだ1時間くらいしか聞いていないのだが、すでに船客の一人として「サトウハルキ」という名前の日本人女性が登場した。大正生まれの女性の名前が「ハルキ」かあ?と思わないでもないが、ま、これは小説。架空のオハナシなのだから、多少の?には目をつぶるのだ。

キングさんに限らず、最近、英語の小説は読むのではなく、オーディオブックで聞くことが多い。数年前から“Audible”の会員になっていて、毎月2冊ずつ比較的手ごろな価格でDLできるせいもあるし、目が悪くなったせいで英文字を追うのがしんどいというせいもある。貴重な視力は、日本語と勉強中のフランス語のために取っておこうという魂胆なのである。だいたいは編み物などの手仕事をしながら聞いているが、目が疲れて、目を開けているのもしんどい時は、電気を消してベッドにぬくぬくもぐり込み、暗闇の中でPCから流れてくるオハナシに耳を傾ける。テキストなし、ただ耳から聞いているだけだから聞き落としている部分も多いとは思うが、好きな作家の小説はそれでも十分楽しめる。

本当なら、英語で読むのがしんどいのなら、私が最も楽にわかる言語、骨の髄までしゃぶれる言語である日本語で読んでから英語で聞けば、聞き落としも少なく、聞き違いによる誤解も少なくなるのだろうが、いかんせん、キングさんのメアリ・ラッセルシリーズは、第7作目の『The Game』までしか邦訳が出ていない。しかも今アマゾンでチェックしたら、その邦訳されているものですら新品はなく、すべて中古である。日本ではキングさん、人気がないのだろうか? メアリ・ラッセルシリーズも、ケイト・マーティネリシリーズも、面白いのにねえ。

ちなみにキングさんの世界では、メアリ・ラッセルはホームズのパートナー(兼妻)ということになっている。1854年生まれのホームズに対し、メアリは1900年生まれだから、随分年の離れたカップルだが、シリーズをお読みいただければわかる通り、メアリは当時の“妻”という概念には全く収まらない、知性に置いても身体能力に置いてもホームズと対等の、パートナーとしか呼びようのない存在であるので、お話はあくまで2人の探偵がその類まれなる頭脳と行動力で事件を解決するという筋書きであり、家庭内の諸事雑事や夫婦間の感情的やりとりなどは、全く出て来ない。色恋沙汰もない。実にすっきりしていてよろしい。ホームズは元々コナン・ドイル氏が描いた通り常に常に理詰めの人だし、メアリもまたその頭脳ゆえに何よりもまず理知の人なのだ。なんたってオックスフォードでの専門が数学と神学、私は本の中のホームズ同様、彼女の常に冷静で論理的な思考力に惚れているのである。それでなくてなんで13作目まで、追っかけを続けようか。

それにもう一つ、シリーズには時々、実在の人物がちょろり、ちょろりと出てくるのも面白い。11作目の『Pirate King』にはポルトガルの詩人フェルナンド・べソアが通訳として出て来たし、12作目の『Garment of Shadows』には、フランス保護領モロッコの初代総督であるウベール・リヨテ将軍が、ホームズのまたまた従弟か何かとしてまんま登場した。架空のオハナシなのだから登場人物も架空だろうと思っていると、するり足をすくわれるところがなかなか楽しい。今聞いている『Dreaming Spies』には今のところ実在の人物は登場していなそうだが、これから誰か出てくるのかな。ただ今、ホームズとメアリは神戸から人力車で有馬温泉に到着。温泉に浸かった後、按摩をしてもらって、うとうと極楽気分のようすだがさて。
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梨の木

この作家は名前すら知りませんでした。面白そうな話を書いているんですね。是非読んでみたいと思って調べたところ、フランス語訳された著作の数は日本語訳よりさらに少ないようで、がっかりです。

10年くらい前はそれでも英語の本をぼちぼち読んだりしていましたが、今はもう億劫で億劫で。。。。そこを乗り越えて読んだら、ふたたび英語への道も開けるかもしれない!(ポルトガルで久しぶりに英語を話そうとしたら全然単語が出て来なくて唖然茫然、こりゃまずい)と思いながらも、なかなか最初の一歩が出ません。

語学学習の最大の敵(?)があるとしたら、必要に差し迫られていよいよギリギリにならない限り延々と言い訳して逃げ続ける、この自分の徹底的怠け者具合しかないな、と思ったことでした。
  • URL
  • 2015/02/24 09:01

loutra

作者自身がもともと宗教学者なので、お話がどうも宗教がらみに傾くきらいはありますが、細部もよく書き込まれているし、文章も硬すぎもせず、軟らかすぎもせず、ほどよい歯ごたえで、私はこの方の作品がとても好きなのですが、そうですか、仏語訳はさらに少ないですか。お近くにお住まいなら邦訳されている分だけでも小脇に抱えてお届けに上がりたいところですが、うーん、大西洋は徒歩では渡れませぬ。
ところでべソアさんについては、初めに読んだ時にはそんな詩人が実在したとは知らず、梨の木さんがブログで書いてくださった後で「あれれ?」と気づいたのですよ。ですから御礼申し上げなくては。

語学はほんと、果てしがなくて。おまけに常に常に複数言語の環境にいると、どれから手を付けたらよいものやら、限りある時間の中、まさか1日中あれやこれや外国語の勉強だけしているわけにも行かず、本当に困ります。中でもフランス語! 昨夜もディクテ(梨の木さんが描いてくださったBescherelleのサイトの)をした後、その書き取った文を読み上げたら、夫にさんざん発音の間違いを指摘されて、「フランス語の正しい発音など、死ぬまでできそうにない」と涙にくれました。TT いや、涙は冗談ですけど、日本語に特化された我が耳と口が、つくづく恨めしいです。
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  • 2015/02/24 21:09
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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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