V君

  • 2015/03/08 06:13
  • Category: 言葉
昨年10月末、初めてウチに現れた日本語勉強中のケベッコワ、V君は、その後もほぼ毎週、日曜日の午後になると「こんにちは!」と元気な声でウチに来ている。仕事や他の用事で来ないこともあるが、余程のことがない限り2週続けて休むことはない。零下の気温の中、車ではなくバスと徒歩で来るのだから面倒くさい時もあるだろうと思うのに、サボることはまずない。趣味のお勉強にしては誠に熱心である。

で最初の3か月は、「とにかく喋りたい」ということだったので、特にテキストを用意したりはせず、その時々の時事やV君が興味を持っていること、こちらが面白いと思うことなどについて、とりとめもなく喋り、たまにわからない単語の意味を説明したり、類語を補足したりするくらいだったのだが、前々回たまたま高齢者の生きがいの話から「シルバー人材センター」の話になって、某自治体のシルバー人材センター関係のウェブサイトを解説しつつ一緒に読んだら、それが結構面白かったらしく、「次回も何か読んでみたい」というので、ご要望に応えて前回は簡単なのと難しいのと2つ用意してみた。

簡単な方は、語彙、文法とも初級者向けに編まれた会話文で、内容はある米国人が自分の国とは違う日本の習慣にやや戸惑ったというもの。日常会話は全く問題ないV君なので、会話で構成されたこのテキストは読みやすかったらしく、すらすら読んであっという間に終了。読めない漢字もなし。もう一つの方は速水健次郎さんという方の「仕事中心主義の弊害と生きがい」というエッセイ。タイトルに「弊害」なんていう言葉が使われていることからもわかる通り、こちらは新聞や雑誌などに普通に載っていそうな文章で、特に日本語学習者向けに編集されている感じはしないのだが、これでも中級者用だそうである。じゃあ上級者用はどんだけ難しいんだか・・・という気がしないでもないが、V君、こちらはやや歯ごたえがあったようで、読めない漢字もちらほらあった。ただし読解の勘はいいので、知らない言葉があってもちょっと意味を解説してあげれば、内容は的確につかめるし、理解も速い。そして面白がって、目を輝かす。今までお喋りしている時にも思ったが、V君は文化、社会、政治ネタが好みのようすで、その手の話になると俄然うれしそうになって、表情が生き生きしてくる。その楽しそうなようすは、見ているこちらも元気になるほどで、おかげで彼と喋った後の日曜の夜は、私も日頃の鬱々気分が少し晴れる。

それに実のところ、文化、社会、政治ネタは私が好みとするところでもある。だからこそ日曜ごとのお喋りが続いていたわけで、これでV君の好みがスポーツ、アニメ、科学系だったら、私は話の接ぎ穂が見つけられなくて、お喋りは2、3回で終了していただろうと思う。共通の興味がない人と話を続けるのは、いくら日本語という母語での会話であっても私にはしんどいのだ。

さてそのV君、昨日「今週もよろしく!」というメールが来たので、「よし、それなら♪」と今回は大前研一さんの「日本の論点」を読み物テキストに用意してみた。前回「仕事中心主義の・・・」が読めたのだから、これもたぶんいけるだろうと踏んだのだ。「日本の論点」は一続きの文章でなく、トピックごとに分かれている点、テキストとして便利だし、文章は平易。書き込みできるようにワードで打ち直しても、各トピックがA4で3ページほどと手頃である。今回は08の「なぜ日本人は、かくも覇気がなくなったのか?」を選んでみたが、さてV君は面白がってくれるだろうか。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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