同期の桜

  • 2015/08/14 05:01
  • Category: 雑記
8月15日が近付いたからというわけでもあるまいが、2、3日前から頭の中で、父が教えてくれた『同期の桜』が鳴っている。父はこのほか『露営の歌』(♪勝ってくるぞと勇ましく、で始まるあれ)や『軍艦マーチ』も教えてくれた。また「神武、綏靖、安寧、懿徳・・・」と続く天皇系図も(途中まで)教えてくれた。父は別に皇国日本を懐かしむ軍国主義者だったわけではない。ただ昭和七年生まれの父が受けた教育がそういうものだったというだけのことで、両親を早くに亡くし、尋常小学校(国民学校)は確かに行ったが、その上の学校には行けなかったのであろう父が、娘に「自分が知っていること」として教えられることは、そうたくさんはなかったから、その数少ない知っていることのひとつとして、これらの歌や天皇の名前を教えてくれたというだけのことである。

そして、父は冗談好きな子どもにやさしい人であったから、これらの歌も勇ましい軍歌としてというより、子どもでも歌える簡単な歌として面白半分に教えてくれたという方が近く、実際、『露営の歌』などは「♪買ってくるぞと勇ましく」と始まり、「進軍ラッパ聞くたびに」が「飴屋の太鼓聞くたびに」と変わる替え歌の方を、多く歌ってくれた。おかげで私は今でも、本来の歌詞と替え歌の歌詞が、ごちゃまぜに浮かんでしまう。

それにしても『同期の桜』だ。「咲いた花なら、散るのは覚悟。見事散りましょ、国のため」という歌詞に、日本人はなぜ“美”を見てしまうのか。「国」「国家」のために、自身を犠牲にすることを“善、美”とする考え方は、いったいどこから来ているのか。そしてそもそも、「国を守る」という時の「国」とは何なのか。人為的に定められたある境界線内の土地のことか、その土地に暮らす人々のことか、はたまた政治体制か。どちらも、私にはいつも今ひとつ、わからない。

わからないので、久しく以前に買いはしたものの、読んだかどうか覚えていない『<玉砕>の軍隊、<生還>の軍隊』を、読み始めてみた。「国」がなんであるかはわからなくても、『同期の桜』を是とする社会文化に対する説明は見つかるかもしれない。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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