にんじん

土曜日、隣村へサイクリングに出かけ、今まで走ったことのない道をどんどん、どんどん進んだ。
方角から見てウチの町の南斜面下の農場地帯、トウモロコシ畑やじゃがいも畑が広がっているあたり
に出るだろうと思っていたら、案の定、町の真ん中を走る幹線道路から南に延びた農道 Rang St. Michel に出た。
町の方から来るとこの道は実に爽快な下り坂で、いつもものすごいスピードでだあーーーーーっと
トウモロコシ畑に向かって飛び込んでいくような勢いで走り抜けるのだが
この時は生憎、逆。
延々と続く緩い上り坂+短いが急激な上り坂を、ギアを落としてキコキコ進まなければならなかった。
ある方向から見た下り坂は、逆方向から見れば上り坂になる、というのは当たり前の話だが
夏の太陽の下、隣村をさんざん走った後で迎えたながーーい上り坂は、けっこう恨めしかった。

が、この Rang St. Michel を上って幹線道路に出ると、そこの角には夏の間だけ開かれる野菜、果物屋がある。
規模はだいぶ小さいが日本の道の駅のような雰囲気で、地元産の野菜、果物を中心に売っているのである。
10年ほど前にも、夏休みでお義父さんちに遊びに来た時、自転車でここまで来て
りんごを買った記憶がある。
香港でよく見るりんごとは違う種類のりんご、もっと小粒で不揃いで、
いかにも“木からそのまま、もいで来ました”といった雰囲気のりんごが珍しくて、
10個くらいずつ、2種類ばかり買ったと思う。

だからこの時も休憩がてら自転車から降りて、ちょっと薄暗い感じの店内に入った。
入り口あたりでプラム、ネクタリンが甘い芳香を放っていたが、残念ながらこれは地元産ではなく
表示から見て米国産のようす。
その周りに並ぶのは、トマト、キュウリ、クルジェット、緑と黄のさやいんげん、いろんな形のかぼちゃ、
日本のよりずっと太くて大きいナス、小粒のじゃがいも、そしてトウモロコシがドーンと山積みになっているのは
夏の定番。買う時はだいたい10本単位。トウモロコシはおやつではなくメインディッシュで、
大人なら少なくとも一人3、4本は食べるからである。

そのほか店の奥には、手づくり風のタルトやペイストリーのコーナーもあった。
夏のベリー類がつやつや光っているタルトには、強く心を惹かれたが
雪だるまと私自身の腹回りの状態を考えて断念。
代わりに、店の端近くの樽の上にドンと並べられた人参の大袋に、無理やり視線を移した。
ふつうのオレンジ色の人参だけでなく、黄色や紫などいろいろな色の人参が
透明な袋から透けて見えている。
太過ぎず、細すぎず、色艶もよくてなかなかおいしそうだが、目一杯に詰め込まれた袋は10ポンド入り。

雪だるまも私も人参は好きだが、何しろ人数が2人しかいない。
2人で10ポンド(5kg弱)の人参を消費するのは、けっこう骨である。
うーん、としばし人参の袋の前で考え込んでいたら、お母さんと小さい男の子2人の家族連れがやって来て
人参の袋に目を留め、「ウチに馬がいたら、これを買って馬にあげられるわねえ」と話していた。
英語だったし、服装などの雰囲気から見て、ヴァカンスでこのあたりに来た人たちだろうと思う。
私は「馬ねえ。馬にあげるにしては、ちょっと上等すぎるよねえ」と今一度にんじんの袋を矯めつ眇めつ。

で買いました。結局。馬ではなく、私たち用に。

IMG_0387.jpg


以来、ほぼ毎回、人参が食卓に上っている。
雪だるまは煮た人参は嫌いなので、もっぱら生か炒めるか。
がんばって食べているが、10ポンドの人参はなかなか減らない。




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Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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