999

  • 2016/02/19 05:20
  • Category: 映画
雪だるまが“日本アニメ月間”に入ったらしく、なんだかいろいろ届いたので、あれこれ次々と見ている。

先日は『銀河鉄道999』シリーズ3本(銀河鉄道999、さようなら銀河鉄道999、銀河鉄道999エターナル・ファンタジー)を、順番に見た。アニメ版の1作目『銀河鉄道999』(1979年)が公開された時、私はすでに子どもではなかったのでこのアニメは見ておらず、しかし当時一世を風靡したと言ってもいいくらい話題になったアニメだったので、それなりに大人の鑑賞にも耐える作品なのだろうと楽しみに見始めたのだが、豈図らんや、絵はともかくストーリーが単純、大味過ぎて、子供なら夢中になれても、大人が見るには少々忍耐心がいる作品だった。

ファンタジーに科学的な正確さを要求するのはお門違いだろうが、それにしても冥王星近くに来たら急に寒くなって列車の窓が曇ったり(太陽系の中では太陽から一番遠いから“寒い”ということなのかもしれないが、各惑星の表面温度はともかく、宇宙空間では温度ってどこでもほぼ同じじゃなかったっけ? もちろん宇宙空間でも、そこに物体(宇宙船とか)があれば、太陽の光が当たっている時は非常に熱く、逆に陰に入った時は非常に冷たくなるんだろうけど、しかしその温度差が船内に影響しないよう、船の外壁は十分断熱されているはずで、だから内にいる鉄郎が“寒い”と感じるはずはないと思うんだけど。それとも999断熱不十分? そりゃ危ないぜ)、どこの星に行っても地球型の環境になっていて、着いたとたん、みんな特別な装備もなしに呼吸できるし、活動できるし(各惑星の重力とか、大気の組成とか、考え始めると面倒くさくてやってられないから、完全無視!に出るのはわからなくもないけど)、それどころか地球型の木とか草とかも生えていて、言われなければ地球だと思ってしまいそうな惑星ばっかりだし。鉄郎が行くところ、行くところ、全部それなんだから、すべてヒトに合わせて改造したんだとすれば、すごい科学力&資源力だ。

ま、もっともこんなつまらないことにいちいち引っかかるのは、999を見始めた前日にリドリー・スコットの『The Martian』(主演はマット・デイモン)を見てしまったからかもしれない。この映画、専門家はどうだか知らないが、素人を納得させる程度には十分科学的だったから。

そして冒頭に書いた“大味なストーリー”だが、機械人間とふつうの機械化されていない人間との対決という図式は単純過ぎ。対象年齢が主人公の鉄郎と同じローティーン、少年の成長を描く冒険活劇という設定では仕方のないことかもしれないが、そもそも機械人間を作ったのは人間のはずで、それが逆に機械人間に支配されるようになったからには、人間の側にも何らかの非があったのだろうし、また今は支配者の側に回っている機械人間の側にも、それなりに心理的葛藤や逡巡があるだろうと思うのだが、子供用アニメではその辺は描かれない。話はあくまで人間=善、機械人間=悪で、単純である。そのあたりが、ひねた大人にはつまらない。

ついでにいえば、テレビアニメ版に比べ、映画版では鉄郎の年齢が5歳引き上げられて15歳になっているそうだが、絵を見る限り15歳というより12、3歳の感じで、その鉄郎がきれいなメーテルに惹かれて恋心を抱くのはわかるが、見た目27、8歳、実年齢不詳のメーテルの方が、鉄郎に惹かれるというのは、私には納得しがたい。メーテルは「あなた(=鉄郎)といっしょに暮らしてもいい」などと言ったりするが、こんな中高生のガキと一緒に暮らしてどうするの?である。もっとも母親代わりに世話を焼きたいというのなら、わからなくもない。実際、メーテルは鉄郎の母の身体を貰ったことになっているから、鉄郎にとってはメーテル=母のようなものだし、それならそれでお約束のエディプス・コンプレックス、ついでに3作目の『エターナル・ファンタジー』で鉄郎は父と思しき人物を殺してもいるから、父を殺して母を取ってとなれば、ギリシア悲劇一丁上がり。なんだかわかりやす過ぎである。まあティーンネイジャー用アニメを60婆さんが見るから悪いんだけど。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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