ミセス・ポリファックスシリーズ

  • 2016/03/15 10:42
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しばらく前、編み物のBGMにジャネット・イヴァノヴィッチさんのステファニー・プラムシリーズを聞いていると書いたが、7本聞いたところで「もう十分」という気分になったので、何か他に気軽に聞けるものはないかとあれこれ試聴し、結局ドロシー・ギルマンさんのミセス・ポリファックスシリーズに落ち着いた。邦訳では『おばちゃまはXXスパイ』というタイトルになっているあのシリーズである。

古本屋等で見かけてタイトルには馴染みがあったものの、今まで読んだことはなかった。第1作の発表が1966年だから、すでに50年前の作品で、したがって当然時代背景は古いのだが、その古さが今読む(聞く)と却って面白くて、けっこう楽しく聞いている。なんたって“Red China”なんて言葉が出てくるのだ。なつかしー。60年代初めというと、文革が始まる前、中ソ対立が表面化してアルバニアが話題になっていた頃と思われ、そのせいかオハナシ(第1作)の舞台にはアルバニアも登場する。

そのほか60年代後半のトルコ(第2作)やブルガリア(第3作)、70年代中頃のザンビア(第5作)とか、舞台は毎回違っていて、21世紀の今聞いていると、なんだか時間と空間、両方いっぺんに移動して旅行しているみたいですこぶる楽しい。しかもお話は、何しろ主人公がすでに孫もいる60代のご婦人CIA工作員とあって、暴力ほとんどなし、血生臭さゼロ、ほどほどに人情家で他の登場人物たちと暖かい交流があり、常にハッピーエンディングと編み物のBGMには打ってつけ。

ま、時々、文革直後の中国を舞台に、白人のCIAエージェントが中国人に化けて潜入し、新疆の労改送りになっている中国人技術者を天山山脈越えルートで密出国させる(第6作)なんてのがあって、「いやー、いくら何でも、それはちょっと無理じゃないすか?」と、編み物の手を休めてにやにやしてしまうようなこともないではないが(しかもその化け方が、目の横にテープ貼って吊り目にするっていうんだから、笑うなという方が無理)、いずれにしてもこのシリーズはコージーミステリー。シリアスなスパイストーリーではないのだから、げんなりするほどめちゃくちゃな設定でない限り、「ま、いいさ」なのである。

で今は第7作の『Mrs. Pollifax and the Hong Kong Buddha』(‘85)を聞いているのだが、のっけから、かつてセントラルにあった香港ヒルトンとか出てきて、郷愁をかき立てられる。ミセス・ポリファックスが到着する空港も赤鱲角じゃなくて、懐かしの啓徳機場だし。いろいろな地名とか、通りの名とか、ついつい懐かしくて、遠い目になってしまう。

作者のドロシー・ギルマンさんは、すでに2012年に亡くなっているので、今後もずっと新作を楽しみに・・・というわけにはいかないのが残念だが、幸いミセス・ポリファックスシリーズは全14作。今聞いているのを聞き終わっても、あと7作残っている。しばらくは楽しく過ごせそうだ。
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