しゃがむ

  • 2017/02/10 11:26
  • Category: 雑記
ところでラティ君が棲んでいる(と思われる)デッキ下だが、
実は去年の夏の終わりに、ジェリーと二人で潜り込んでみた。
夏に私を2回も刺した例のマルハナバチが、
まるでホーバーリングをするようにデッキの床付近を飛び回り
ついでスピードを落としてデッキの床板と床板の間の隙間から
すううっとデッキ下に入っていくので、
「これはこの下に巣があるのではないか」と、ジェリーと二人興味津々だったのである。

しかし、いくら興味津々でもハチが盛んに飛び回っている間は
危なくてそばに寄れないので
秋風が吹いてハチがいなくなったのを見定めてから
二人でデッキ下に潜り込んでみた。

ちなみにデッキの下部は清水の舞台のように吹きさらしというわけではなく、
トレリスのような斜め格子で覆われているのだが
横手の一部がドアのように開いて、中に入れるようになっている。
高さは155cmの私が、しゃがんで頭が付くか付かないかという程度。
両手、両膝をついた四つん這いの姿勢なら、体はどこにもぶつからないが、
いかんせん下が石混じりの砂利で手をつくと痛いので
私はしゃがんだ姿勢のまま、ちょっと頭を下げ気味にして、よちよちと前に進んだ。

そしてハチたちが盛んに下りて行ったデッキ右端の下あたりを
懐中電灯片手に、あちこちきょろきょろと覗きまわってみたのだが
ハチの巣らしきものは、影も形もなし。
落ちているのは、風で舞い込んだらしい枯れ葉と
鳥やリスたちが食べこぼしたヒマワリの種やピーナツの殻くらいで
床を支える柱に何かがくっついていた痕跡もなければ
地面に何かが作られていたような穴も、跡もなし。

床下に潜れば、スズメバチの巣のような大きな造形物が見つかるのではないか
と期待していた私とジェリーは、なーんにもなかったのでかなりがっかり。
「骨折り損だったな」と言い合ったのだが、その後、ふと真顔になったジェリーが
私を見て「それにしても、どうしてあんな格好で移動できるんだ?」と聞いた。

何のことだ?と聞き返すと、「さっき、しゃがんだ姿勢のままで前に進んでただろ?
しゃがむだけでもしんどいのに、その上、足を動かして移動するなんて
人間技とは思えん。少なくとも俺にはできない」と言う。
言われてみれば確かに、ジェリーは軍手をはめ、膝あてを付けて、
四つん這いの姿勢で床下を移動していた。
私より背が高く、しゃがんだだけでは頭がつっかえるから
四つん這いになっていたのだろうと思っていたが
彼が言うには、もちろんそれもあるが、たとえ頭がつっかえなかったとしても
彼にはしゃがんだ姿勢のまま足を動かして移動するなんて芸当はできない。
そもそも上手にしゃがめない。
映画や街の映像などで、アジア人たちが道端にしゃがみこんで“くつろいで”
いるのを見るのは、ほんとに驚きだ。
股関節の柔軟さが違うのか、膝と足首の動きが違うのか
理由はわからないが、とにかく俺たちにはあんな姿勢はできない。
むりやりしゃがんだりしたら、3秒と経たないうちに後ろにひっくり返るか
前につんのめるか、いずれにせよ、あの姿勢で“くつろぐ”なんてありえない。
と言って、ついでに実にぎこちない動きで、「しゃがめない」実演をして見せてくれた。
ジェリー以上に体の硬い雪だるまに至っては、はなから「無理」と言い切って
実演すら拒否。

私にしたところで、椅子の生活に慣れてしまって、
しゃがむ姿勢は楽とは言えないし、
ことに膝を付けた状態で、踵を床に付けてしゃがむことはもうできない。
(膝を開けば、踵を付けてしゃがめるが、あまり美しい姿勢とは言えない)
そういえば2、3日前に見た香港映画『阮玲玉』で、主演の張曼玉が
「駆け出しの頃は、よくこうやってしゃがんで、ずっと出番を待ってたわ」と
ほっそりした旗袍の裾をきれいにたくし込みながら
膝をそろえてしゃがんでみせたが、あれは彼女がヒールのある靴を
履いていたからできたことで、ぺたんこの布靴ではああはいかなかったろう。
ヤンキー座りだって、画像で見る限りみんな膝は開いているし
身体の柔軟さでは定評のある猫だって、座るときは膝、開いているものね。
(って、関係ないか。ハチの話が、なぜか猫で終わる)
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Amei

アフリカの農耕民をフィールドワークして書かれた文化人類学の本を読んでいたときに、アフリカ黒人の農耕時の姿勢とか、収穫物の選定をしているときの姿勢が日本人とまるで違うのを不思議に思った著者が、医学部に依頼して調べてもらったところ、股関節の形や股関節と大腿骨?がどういう角度で接続しているかなどが、人種によってまるでちがっていたという結果を読んだことがあります。今どの本だったか思い出せない!「人類にとってスイカとは何か」かなあ。ちがうような気がするなあ。

私自身も、チベット農耕民が短い鍬で腰をかがめて畑を耕しているのを見て、どうして柄を長くしないのかなあと思ったことがあります。あれもそうなのかなあ。
  • URL
  • 2017/02/13 10:03

らうとら

私もどこかのサイトで、コーカソイドとモンゴロイドでは、骨盤の傾斜角度が違うという記述を読んだような記憶がありますが、しかしそれが医学的に正しい記述であったのかどうかは定かではありません。“人種”という概念自体、近年では疑問視されておりますし、差別に利用されてきたという歴史的経過もあって、あまり使いたくないのですが、しかしぱっと見、外見的に違うことも確かで。

チベットの鋤の話、そういえば私が日本で、柄が短いタイプの座敷箒を買って帰ってきた時も、ジェリーは「なんでそんなに柄が短いんだ?もっと長くすれば腰を屈めずに、立ったままで床が掃けるのに」と不思議そうでした。私は列車での移動や飛行機で持ち帰ることを考えて、柄の短いタイプにしたのですが、これって西洋人から見ると、チベットの柄の短い鋤と同じなのかもね。
  • URL
  • 2017/02/14 10:26

Amei

まあでも、慣れ・習慣の問題というのもありますわね。うちの息子はどう考えてもモンゴロイドですが、しゃがむという動作ができませぬ。こどものころ、旅行先で和式の便座だと、必ず私の介助がいりました。いまもしゃがむ動作が必要なときには、必ず片膝をつきます。
  • URL
  • 2017/02/20 09:58

らうとら

確かに。どんな動作でも姿勢でも、小さい頃から頻繁にやっていれば、“できない”ということは、ありますまい。してみると、洋式のトイレが普及した現在では、アジア人でもしゃがむのが不得意な人が増えたのでありましょうか。タイの田舎とかでも、20年ほど前はしゃがむタイプだったけど、今は腰かけ式になったのかなあ?
  • URL
  • 2017/02/21 09:30

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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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