• 2010/07/12 16:37
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食卓の上に置きっぱなしにしてあった私の文庫本を手に取った雪だるま「この翻訳はヘン!」と一言。置いてあったのはP.D.ジェイムズの『死の味』。 この間オーディオブックで聞いた『An Unsuitable Job for a Woman』と『The Private Patient』が結構面白かったので、古本屋で同じ作者の文庫本を見た時ためしに買ってみただけで、原題どころか日本語の題もろくに覚えていなかったものだ。「そう? なんで?」と聞くと、原題は『A Taste for Death』で、『A Taste of Death』ではないから、このTasteは“味”じゃなくて、“嗜好”とか“好み”という意味のTasteなんだそうだ。「あ、そう」と納得したけど、だとすると何で出版社は邦題をあえて『死の味』にしたのかな。翻訳者と編集者がそろってこの程度の誤訳をするはずはないから、あえてこの題にしたのだと思うが、『死への嗜好』とかじゃ直接的インパクトに欠けるからだろうか。


それにまあ「タイトルは直訳でなくてはいけない」という決まりがあるわけでもないしな。原題が日本語になじまなければ、ぜーんぜん違うタイトルをつけることも珍しくはないし。今ぱっと浮かんだが、『赤毛のアン』だって原題は『緑の切妻屋根の(家の)アン』で、“赤毛”なんて言葉ひとつも入っていない。本の内容に誤解をまねくようなタイトルをつけない限り、原題から離れていても別に問題はないのだろう。


本だけじゃなく映画でも同じだ。こっちは本よりもっとインパクト命!だから、時として激しく原題とずれる。もっともその点から言えば、日本語より中国語の映画タイトルの方がもっとすごい。四字成語(四文字熟語)の影響か、西洋映画の中国語タイトルは漢字四文字でつけられることが多い。『ダイハード』が『虎胆龍威』で『キル・ビル』が『追殺比爾』、マット・デイモンのボーン・シリーズは『神鬼認証』、『ミリオンダラー・ベイビー』は『登峰造撃』、『マトリックス』は『黒客帝国』(黒客はハッカーのこと)『ゼアウィルビーブラッド』は『黒金風雲』。アクション映画だと、撃とか激とか虎とか龍とかの文字が多用されるので、一見しただけでは何の映画かよくわからない。意味も似たようなものなので、あれとこれとを取り替えっこしても全然困らない。HKの人は、いったいどうやって区別してるんだろうか?
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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