とうとうケータイを買った。
こちらに引っ越して以来、電話は家の固定電話1本で、雪だるまも私もケータイというものを持たずに過ごしてきたのだが、ほんの時々だが車で遠出をするようになり、万一人里離れた田舎道で不測の事態に見舞われた場合、連絡手段が全くないのでは不便だろうと、ケータイを買うことにしたのである。
もっとも、買おうと決心したのは去年の夏の話で、実際に買ったのは本日であるから、決心を実行に移すまでに1年以上、かかったわけである。カメどころか、あんまり動かないので身体に苔が生えるというナマケモノ並みののろさだが、私達の欲しかった機種は、いつ行っても店頭に在庫がなかったのだから仕方がない。
いや別に、超人気で品薄の最新モデルのスマホを買おうとしていたのではない。その逆で、通話以外何の機能もついていない、昔懐かしい2つ折り型の“携帯電話”を買おうとしていたのである。しかもプリペイドの。冒頭から“スマホ”と書かず、“ケータイ”と表記していたのはそれゆえで、そしてそういう時代遅れの、人気のない型だから、いつ行っても注文用のカードがあるだけで、在庫がなかったのである。たぶん、今時こんな機種を買う人は、この老人ばかりの田舎町でもほとんどいないのだろう。あたりを見回してみれば、お散歩や編み物仲間のマダムたち(60~70代)だってスマホだし、失業中で金欠の義弟ジェリーや、この手のものにはとことんうといと見受けられるフランスですら、使っているのはスマホである。況や彼らより若い世代においてをや。
が、それでも私たちはスマホは欲しくなかった。雪だるまはジムと週1の買い出し以外、外に出ることはほとんどないし、私はまあお散歩会に行ったり、編み物会に行ったり、雪だるまよりは外に出るが、携帯電話がなくて不便と思ったことは、過去7年間、たぶん1度もない。そもそも家の固定電話すら、私達はほとんど使わないのである。今回買った携帯も、たぶん大部分の時間、電源を切られたまま、居間の棚に置かれることになるだろう。
であるから、私たちには高額でしかも月々固定料金のかかるスマホなど必要ないのである。第一、雪だるまなど携帯電話をもったのは、今回が初めて。買ってはみたものの「これ、どうやって使うの?」という感じで、旧式携帯の使い方すら知らないのだから、スマホなど使いこなせるはずがない。私も、仕事時代はやむを得ず携帯を持っていたが、仕事を辞めたとたんポイ。以来、一度も触っていないので、最近の多機能携帯電話のことなど、何も知らない。よってスマホなど、私達には猫に小判、豚に真珠。投資するだけ、無駄。
私も雪だるまもSNS系の繋がり方が嫌いで、だからFBのアカウントを持つ気など全くないし、ツイートもしない。今回、携帯は買ったが、たぶん使うことはほとんどないだろうし、ははは、こうして私たちは時流に乗り遅れていくのである。まあ、いいさ。
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