身代わり

  • 2010/06/09 14:46
  • Category: 着物
昨日は昼休み、食事もそこそこに2駅先の日本語古本屋に走った。以前そこで見た着物雑誌がどうしても欲しかったからだ。最近道楽の方で着物を作り始め、そうなると手元にある10年前の『美しいキモノ』1冊だけでは、参考資料として物足りなくなった。というか、単純にもっとたくさん着物の写真を見、帯合わせや帯締め、帯揚げの取り合わせを見、年齢とキャラによる着方の違いを見たくなったのだ。


幸い雑誌はまだあり、無事購入。ついでに群ようこさんの『着物が欲しい』も購入。ほんとは同じく群さんの『きもの365日』や田中優子さんの『きもの草子』も欲しかったのだが、それらはなかったのだ。外地の本屋、しかも古本屋なのだから仕方ない。


で道楽の方の着物縫いだが、最初はただ洋服を作るのに厭きたので「たまには着物でも作ってみるか」と、気分転換に浴衣に挑戦してみただけなのだが、縫って人形に着せてみるとこれがなかなかどうして面白く、浴衣2枚を縫ったところで部分裏付きの袷に挑戦。生地は市場の端切れ屋で買った、ちょっと粋な縞柄。スペックのシールがぺたぺた貼られた裁ち残りなので、2メートル弱で3元(約40円)という安さ。


生地を裁ち、袖付けを終えたあたりで「さて裏地の色は何にしよう?」と考える。何しろ着物に関しては通り一遍の知識しかない。着物の本は好きでよく読んだが、自分で持ってる着物は若い娘用の小紋が2枚だけだ。30代以降が着そうな粋な縞柄に合う裏地の色など見当がつかない。仕方ないので無難に縞の一色を取り、淡い藤色にする。袖口と袂、裾からちらりと見える裏地の色合いを見て、面白味はないがまあまあかと思う。帯はパキスタン製と思われるスカーフから作った。こちらも12.5元の安物。ぺらぺらの薄物なので接着芯を貼って強度を出すのだが、そこはそれ、人形用だから形になりさえすればよい。帯締めは確か、菓子折か何かに掛けてあった紐、帯揚げは手持ちの布の中から色と薄さだけで選んだ。(のち短すぎて帯枕が包めないことが判明。粗忽者の本領発揮)出来上がりが下図である。



 
 

1作の割には私好みに仕上がったので、自分としてはかなり満足。着物を着た人形をにこにこと眺め「さて次は・・・」と、すでに2作目の思案をしている。なにしろ人間用の着物はいくら作りたいと思ったところで、私の財力では年に1枚つくるのも難しいが、人形用なら用尺が少ないし、着心地のよしあしの問題もないから、柄さえ合えばどんな布ででも作れる。縫うのに厭きなければ、それこそ毎週1枚、年52枚の新しい着物を作ることも可能だ。人間(私)と違って、似合う似合わないの問題もあまりない。帯も自由自在。さすがに1/41/6スケールの帯地はないので、人間用の帯と同じ柄行や織りの帯を作ることはできないが、それでもあれこれ工夫すれば結構楽しめる。帯締めや帯揚げも同様。こうなってくると人形は完全に「着物は着たいが、着てるわけにはいかない」私の身代わりだ。自分で着られない分、せっせと人形に着せることになる。


ただひとつ残念なのは、あたりまえだが人形は動いたり歩いたりしないので、動いた時にちらりと見える裏地/八掛の面白さというのが出せないこと。人間だったら、ふと手を挙げた時袖口からこぼれる色や、歩みに合わせパッパッと見え隠れする八掛の色に、どきっとしたりするものだが、静止している人形でそれを見せるのは困難だ。まさか裾回し見せたさに、上前折り返してピンで留めるわけにもいかんし、それに第一、見え隠れするのが味なのだから、見えっぱなしじゃ意味ないし。人形、動いてくれないかしらん。


 
余談だが、着物関連でいえば先日見た映画『ヴィヨンの妻』で、松たか子さんや広末涼子さんが着ていた着物はなかなかよかった。松さんはびんぼーな妻の設定なのでほとんど着たきり雀。前半で着ている紺色(?)の着物と、後半の脂色の着物と、寝巻きにしている浴衣と、全編通して3枚くらいしか着ていない気がするが、後半の臙脂のお召の裾回しの色合いにはっとした。
それに何しろ松さんは着物姿がほんとに自然だ。背の高い方だし肩だってちゃんとあるのだが、『現代娘が着物を着ました』風になっていない。小さい頃から着物を着、また着物姿を見慣れているから、着物がすんなり身に付いているのか。あるいは梨園DNAでもあるのか。
もうひとり室井滋さんも着物好きで知られる方だから、あの時代の着物を鮮やかに着こなしていらしたに違いないと思うのだが、何しろ彼女が登場する場面は一様に薄暗く、何をお召しかはっきり見えない(笑)。どこかにスチール写真でもないものか。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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