NOVO

  • 2009/10/06 15:55
  • Category: 映画
映画の内容は抜きにして、出演する女優陣を俯瞰しただけでも各国の特徴が見えて面白い。一般的に言って、アメリカ映画(特にハリウッド映画)には、不細工な女性は出てこない。役柄上どうしても必要な場合以外、女優陣はみな一定水準以上の顔立ちで、しかもモデル張りのプロポーションだ。ほんの端役に過ぎない女優ですらそうだ。そんな映画やTV番組を毎日のように見て、これが米国女性の平均水準かと思って現地に行ったりしたら、立ち直れないほどがっかりすることになる。


その対極にあるのがイギリス映画で、こちらには美女がまったく出てこない。例外がないとは言わないが、大御所ヘレン・ミレンにしたところでエマ・トンプソン、ヘレナ・ボナム・カーターにしたところで、それぞれ魅力的ではあるが、“ゴージャスな美女”というのではない。況や端役においてをや。クリスティもののテレビ映画なんか見ていると、恐ろしいほどフツーの容貌の人ばかりだ。イギリスの郊外都市の住人に衣装を着せて、そのまま映画に登場させてるんじゃないかと勘ぐりたくなるが、実に達者な演技をするところから見て、そうでないことは明白。みんなプロの俳優なのだが、見事なほど“私は女優!!”オーラが感じられない。どうやらイギリスでは美貌は女優の条件ではないらしい。


で、アメリカともイギリスとも違うのがフランスの女優さんたち。フランス映画に登場してはいるが、フランス人ではない女優さん達はいくらもいるだろうが、フランス映画に出てきただけで、なぜだかみんなセンシュアルでキュートに見えてしまう。言うなれば金襴緞子にダイヤモンドの美女ではなく、肌の上を滑る象牙色の絹に銀鎖の美女。土曜の朝見た「NOVO」に出てくる女優さん達も、みんなそんな感じ。


最初は「おいおい、朝の7時半からこの手の映画(R rated)かよ」と選んだ雪だるまの神経を疑ったのだが、女優さんたちが大変すてきなので見ているうちに楽しくなり、途中でパスすることなく最後まで見た。あとで知ったところによると、イレーヌ役のアナ・ムグラリスはシャネルのミューズの一人だそうで、なるほど何でもないスカートから伸びる脚、繊細な首の線など、何気なく美を感じさせる女優さんだ。そのほか上司役のナタリー・シャール、妻役のパス・ペガも(スペイン人だけど)、すごい美人というのではないが、何とはなしに視線が向いてしまう魅力があり、大変けっこう。古来、さりげなくしゃれたフランス映画には、さりげなくしゃれたフランス女が登場することになっており、その点ではこの映画も大変伝統に忠実。ストーリー? どうでもいいのよ、女優さんがきれいで映像が清清しければ。

とは言うものの、主人公は
5分前のことも忘れてしまう記憶障害の持ち主という設定。人間関係が当事者同士の記憶の積み重ねであるなら、記憶のないところ関係はなりたちませんね、当然。で、関係者全員記憶がないなら、次に会った時は“アカの他人”で話が済むが、当事者の一方には記憶がある場合は、これは切ないですな。
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Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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