• 2009/05/11 17:20
  • Category: 雑記

昨日は父の誕生日だったので、実家に電話してみた。母がいなくなって父しかいないのだから当然だが、何回目かの呼び出し音で父本人が出た。脳梗塞の後遺症で上手く喋れないのを気にして、母が生きている間は何回呼び出し音が鳴ろうと電話に出ようとはしなかった父なので、数回の呼び出し音で「はい、もしもし」と出るようになっただけでも大きな進歩だと思う。


聞くとちょうど昼ご飯を食べていたところだと言い、そのお昼ご飯も日曜でヘルパーさんが来ないので、自分で用意したのだと言う。しかも「近所(と言っても車で10分、歩けば20分以上)のスーパーに自転車で買い物に行った」と、自分から話した。以前は喋るのを嫌がり、聞かれたことに「うん」「いや」とか答えるだけで、およそ会話にはならなかった父なのである。


また妹からのメールによると、父は夜電気を消し忘れたり、テレビをつけたまま寝てしまうのを恐れて、どうも寝る前にブレーカーを落としているらしい。ヘルパーさんから「冷蔵庫の中の物が腐ってしまうから、注意した方がいいかも」とのお知らせがあったそうだ。電気・テレビの消し忘れを恐れてブレーカーを落とすという手段を取るのはいささか考えが足りないが(そもそもブレーカーを落とすことを覚えているくらいなら、当の電気、テレビを消せばいいわけで)、「電気、火の元に気をつけよう」という父の健気な覚悟が見えて、微笑ましい。


思えば母の存命中は、電気を消し忘れたり、テレビを消し忘れたりするたびに、母に激しく罵られたり、ねちねちと他のことまであげつらって非難されて、いじけて小さくなっていたり、逆ギレして声を荒げていたりした父だが、母がいなくなれば自分でそれなりに気をつけられるのだと知って、やや安心した。私と妹は、小うるさい母がいなくなったら、父はほっとする余り呆けが進むのではないかと心配していたのだ。


少なくとも今の段階では、父はほっとして呆けが進むというより「頑張らなくちゃ!」という覚悟でむしろ以前よりしゃんとして日々暮しているようで、まずはめでたし。昔の父、脳梗塞で倒れる前の父は、冗談が好きで、少々お調子者で、頭が単純で女にややだらしがなく、しかし子煩悩で、子どもで非力だった私を母から庇ってくれた優しい人だったのだ。


父と母という夫婦のことは、たとえ娘でも他人の私にはよくわからないから、母の存命中は諍いばかりの日々であったとしても、父にとっては今母がいないことは寂しいことなのかもしれないが、私としては「父よ、母のいない春を存分に楽しんでください」である。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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