新聞記事

  • 2009/01/16 17:32
  • Category: 仕事
5年間香港紙の翻訳を続けてきたが、いまだに香港紙の論旨の展開にはなじめない。
記事をそのままベタに翻訳すると、日本人にとっては非常に読みにくい文章が出来上がる。上段で述べたことと全くつながりのない情報が突然出てきたり、結論に至る論拠が希薄だったり。


昨日もある自動車メーカー(仮にA社とする)の優位性を分析する記事を訳していたのだが、A社に有利として紹介された新政策は、実のところどの自動車メーカーにとってもプラスとなる政策で、A社にだけ有利なわけではない。たとえばガソリン価格の値下がりは、基本的に全自動車メーカーにとって有利だろう。それがなぜA社にとってのみ、有利となるのか私にはわからない。
逆にガソリン価格が高騰し、しかしA社は他社に比べ燃費のいい車を作っているので有利、というのなら、わかるのだが。


また記事は「A社は競争力がある」と述べているのだが、その根拠はまったく記されていない。次席に聞いたら「A社に競争力があるのは周知の事実だから、根拠を書かなくてもHK人にはわかる」というのだが、販売実績を見る限りそうとも言い切れないし(昨年1月〜11月の販売台数順位では、トップ5にすら入っていない)、またたとえ事実競争力があるのだとしても、「競争力がある」とだけ書いて、根拠を示さないのはいかがなものか。「美味い」とか「美しい」などの全く主観的な判断ならいざしらず、競争力というのは数字に裏打ちされた客観的なデータとして記述されるべきものだろう。「競争力がある」とだけ書いて済ませてしまわず、根拠のひとつくらい欲しいところである。


さらに最終段では「A社の高級車Aの販売台数は、同じくA社の中級車Bを上回り、中国高級乗用車市場のトップに立った。だからA社の先行きは期待できる」というのだが、なぜ比較の対象が同じA社の中級車Bなのだ? 車に詳しくない私は最初、Bというのは別メーカーの高級車で、それに勝って高級車市場のトップに立ったから先行き安泰!という論旨なのかと思ったら、どっちもA社の車だった。わけわからん。


しかしながら私のこうした疑問は次席には全く通じず、上記「競争力があるのは周知の事実」やら「中級車より高級車の方がよく売れたなら、当然利益も多いだろう。だから先行き安泰」と、「何が問題なのかわからない」といった表情。
わたしとしては経済記事である以上、せめて高級車Aの粗利益率は△%、中級車Bの粗利益率は○%、だから高級車Aがたくさん売れると、よけい儲かる!という風に論旨を展開して欲しかったのだが、次席に言わせると「そういうのはリサーチ部のリポートみたいで面白くない」そうで。経済記事に対する好みの違いといってしまえばそれまでだが、なんだか不毛な議論でやや疲れた。この件で昨日はひとしきり反省。以降、かみ合わない議論を吹っかけるのは止めよう、と思った。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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