「香港歡迎您!!」

きのう日本と中国を行き来してビジネスを始めようとしていらっしゃるお客様に、HKでのアメックスカードの申請方法を聞かれ、たまたまその時机の中に、アメックスから来たフォームがあったので、そこに書いてあった電話番号やらURLやらをコピーして差し上げ、「フォームはウェブサイトからダウンロードできると思いますよ。今わたしが持っているこのフォームは、わたしの名前が入ってしまっているのでお使いいただけませんが」と申し上げたら、「らうとらさんはどうして申請しないんですか」と聞かれた。


わたしは破顔一笑「フォームに書いてある最低年収に達してないからです!」と答えたのだが、フォームの年収要求を見たお客様「え、ここ(ウチの会社を指す)って、そんなにお給料低いんですか?」と真顔でおっしゃった。はははははー。


ただの事務員が、HKで一体いくら貰ってると思ってるねん? HKの給与水準、勘違いしてないか?ってなもんだが、まあご本人は私より10歳ばかり年下とはいえ、まがりなりにも経営者だから、ただの従業員の給料というものに、想像が及ばないのかも知れない。(と書いてからふと思った。経営者なら、“払う側”として従業員の給与水準は熟知してるはずだよな。それとも経理任せなのかしら?)


ちょっと古いが、プレジデント0712月号のデータで、『世界各国の平均月収』というのがあったので、それを使わせていただくと、当時の日本の実質月収は24万円、香港のそれは94000円である。(現地通貨を円換算。レート不明)。2倍強の差がある。だから私の給与はHKの水準ではまあまあでも、日本の水準に照らすと「え?」という額になってしまう。日本から来た経営者殿に、「そんなに少ないんですか」と同情される所以である。


だ・か・ら「これからは中国だ!」との希望を胸に、やる気満々で中国・HKに出稼ぎに来られるみなさま、現地の給与に期待しすぎてはいけません! あなたがその分野での長〜い経験と、特殊にして貴重な技能と、見るからに丈夫そうで、どんな劣悪な環境下でも生き延びそうな体躯・容貌をもっているなら別ですが、そうでない場合、現地での給料は大して高くありません。(もちろん、日本から派遣される場合は、この限りではなし)
具体的に数字を挙げるなら、HKでの事務職の給料は15,000香港ドル(今日のレートだと約184000円)程度からと思っていた方がよいでしょう。この春先、某人材派遣会社のお友達と食事をした時も、彼女は「この頃の人は、経験もないのにハナから2万以上の給料がもらえると思っている。私達だって15,000から始めたのにねえ?」と憤慨した口調で言ってましたし、その後世界的な金融危機がより深刻になり、破綻する企業が増えている現況下、相場は下がる分でも上がってはいないでしょう。


15,000の中から、5000香港ドル程度の家賃を払えば、残りは1万。ただしHKでは所得税は給与からの天引きではありませんから、税金分(1割くらい)を残しておかないと、あとでえらい目に遭います。つまり残りは9000香港ドル(約11万円)弱。
HKは安く生活しようと思えば安く生活できるところですので、これでも生活できますが、先の見通しの立たなさは昨今の日本と同じかも。


あ、書き忘れましたが、HK企業はボーナスとか、あまりありません。15年位前はダブルペイと言って旧正月前に1か月分のボーナスが出るのが慣例で、契約書の給与欄にも“○○香港ドル×13ヶ月”などとちゃんと謳ってありましたが、98年のアジア通貨危機、2003年の新型肺炎と2回の経済危機を経験して以降、「ダブルペイがない」という話もよく聞きます。事実ウチの会社も、ボーナスについては明確な規定はありません。出ることもありますが、出さなくても契約違反ではありません。その場合、年収はきっちり月給×12カ月ぽっきり。
ついでに残業手当は義務ではありません。交通費も出ません。医療保険もそこそこの企業でないとありませんし、あってもカバー範囲は高が知れています。法定の有給休暇は年7日間です。


んー、こう書いてくるとなんか夢も希望もないような労働環境のように見えますが、若い人の場合、景気が上向いてくればステップアップの機会もないではないし、HK企業の場合、女子に対する差別も日本よりは少ないと思えますので、そういう点はよいかも。


私自身、冒頭の経営者殿に「それなら日本でずっと働いていらした方が、収入的にはよかったんじゃありませんか」と重ねて尋ねられた時「はい、そうだと思います」と答えつつも、「ただ、こっちで働いている方が面白いですから」と付け加えました。
そう答えた気持ちに嘘偽りはなく、十数年前に戻って、もう一度選択するとしても、わたしは間違いなくこっちにくる方を選択します。単純に生涯賃金を比べるなら、日本で田舎公務員を続けた方がずっと多くの収入を得られたでしょうけど、ジンセイ、収入がすべてではありませんから。
いや、お金を馬鹿にするつもりはありませんよ。お金はすごーく大事ですけど、最低の生活費+αの水準をクリアできているなら、多少収入は少なくても、面白い毎日を送れる生活の方が、おもしろいということです。というわけで劣悪な環境に負けないあなた「香港歡迎您!!」
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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