スーパーの棚から牛乳消える

  • 2008/09/22 16:56
  • Category: 中国
昨日の朝、ウチの下のスーパーに行ったら、棚から牛乳が姿を消していた。
蒙牛、伊利だけでなく、HKブランドDaily Farm製の業務用牛乳にもメラミンが入っていたと発覚したため、並べられる商品がなくなってしまったのだ。まったく大笑いである。
もちろんおかしくて笑っているわけではなく、日本での産地偽装(こんなのはかわいいもんだが)や工業用米の食用への不正転用なども含め、食品メーカーの安全に対する鷹揚にして太っ腹な態度、人体の適応能力への過信、何よりも利益、何がなくても利益!のあっぱれな資本主義的態度に、「こりゃもう、笑うしかない」の自嘲的笑いであるのだが。(人間てほんと、救いようのない馬鹿だ。こういう事実を見るにつけ、インテリジェントデザイン−原始的な動物が人間に進化した過程は、神のごとき偉大な知性の操作によるものとする説−なんてものを信じることの馬鹿馬鹿しさに吹き出したくなる。なーにが、“偉大な知性”だ。それにしては人間の出来はあまりにお粗末だ)


昨日のSouth China Morning Postによると、近年、その強い風味と濃厚さで香港の消費者に好まれている中国製牛乳に、人工添加物が投入されているのは公然の秘密だそうだ。確かに私も3年前の上海出張で初めて蒙牛乳業の牛乳を飲んだ時、その味の濃さにびっくりした。わたしは物知らずだから、お馬鹿にも「内モンゴルの牛の乳は、なんて味が濃いんだ!」と感嘆したが、何のことはない、単にいろんな添加物を入れて味を濃くしていただけだったのである。


同紙の記事をそのまま受け売りすれば、中国の牛乳にはさまざまな添加物が投入されている。生乳を水で薄めるのは業界の常識だし、そもそも農家(中国の酪農農家の大部分は、飼育頭数数頭以下の零細農家だ)が生産する生乳そのものが、農家のノウハウや基本的知識の欠如により栄養価が基準に満たないので、蛋白値を上げるためのプロテイン・パウダー、脂肪値を上げるために油、乳糖値を上げるためにホウェイ・パウダーが、中間業者により添加される。そしてもちろん、ここで言う“油”は食用の植物油ではなく、工業用の油だ。


また零細酪農農家の多くは乳牛飼育の基本的知識に欠ける。つまり牛たちは適切にエサを与えられず、適切に世話もされていない。このため大部分の牛は何らかの病気にかかっている。他の国では、生乳1トンあたりの細菌数が5万単位に達すると、食用に適さないとして捨てられる。しかし中国の牛乳には何万、何十万、ひどい場合はトンあたり200万単位の細菌が含まれている。細菌が多いため、牛乳は流通の過程で悪くなりやすい。問題の解決に使われるのは、保存料だ。ひどい場合は過酸化水素水ですら投入される。


ある業界関係者は「零細酪農農家が生乳にこうした化学薬品を入れるのは不可能だし、乳製品メーカーが自分で入れるとも思わない。入れるのは大部分、農家から牛乳を集め、そうした巨大乳製品メーカーの仕入れ部に売る仲介業者たちだ」と指摘。ただしメーカーにも責任がないわけではない。激しい競争の中、仲介業者として生き残れるのは、こうしたメーカーと関係が深い業者だけであり、当然メーカーにも責任はある。そして中国政府にも。別の消息筋は「ひとつの基本的な誤りは、中国政府は乳牛の飼育は労働集約型の産業だと考えているが、実は資本および技術集約型の産業だということだ」と指摘する。


といったかたちで記事は続き、事件は中国外にも飛び火して留まるところを知らず。もはや世界に安全な食品はなく、あるのは“比較的安全”な食品だけか。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
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