ものの言いよう

  • 2008/07/21 17:36
  • Category: 言葉
先日、お客様のひとりから交流会にお誘いいただいた。この方はご自身のビジネスがらみで、金融や投資関連の当地の日本人会にも加入なさっているらしく、次回開催時はちょうど当地にいるから、私も一緒にどうかとお誘いくださったのだが、困ったことに私はこういう会にまったく関心がない。金融とか投資とかは、芸能・マスコミの次にやくざな業界だと信じているので、そんなところに属す人たちと、私人の時間までお付き合いするのはまっぴらだというのが正直な気持ちなのだ。(自分自身その業界に属しているのだから、ヘンな言い分だが)

幸い、その日は中国語のクラスがある日に当たっていたので、お誘いくださった方にはその旨伝えて断った。するとその方は「ではクラスが終わった後、飲み会だけでもいっしょにどうか」と重ねてお誘いくださる。うーむ、一難去ってまた一難と頭では一瞬思ったのだが、私の口は瞬時の迷いも見せず「いいえ、結構です」と身も蓋もない言葉を吐き出していた。おまけに「では今後こういう集まりがあっても、たぶん参加はされませんね」という問いに対しても「はい」と答えてしまった。

その方は「いや、そういう風にはっきり答えてもらった方がありがたいです」とはおっしゃったが、その口調は明らかに「ありがたい」とは思っておらず、むしろ「ずいぶんとまた無礼な」と思っていらっしゃるのが、うっすらかつありありと感じられる口調であった。ああ、やってしまった。 

日本人同士の場合、誘われてはっきり「No」を言うのは、礼儀に適っていないのだ。断ること自体が悪いわけではないが、その際には相手の意向に添えない理由を添え「ほんとはそうしたいんですけど、残念ながら××の事情でだめなのです」という気持ちを滲ませて、断らなければならない。間違っても「興味ないから行きません」なんて、木で鼻をくくったような断り方をしてはならないのだ。 

私も一応「ありがとうございます」と誘いに対する謝辞は何度も述べたのだが、いかんせん内心の不快を色濃く表した硬い謝辞となってしまい、「ありがたい」などと思っていないことは、見え見え。 

千葉敦子さんはその昔「彼ははっきりものを言うので、人に誤解されやすい」という文章を引き、「自分の意見をはっきり言うことがなぜ誤解を生むのか。英語に訳したら理解不能だ」という意味のことを書いていらしたが、上記文章の意味は日本人同士には明白だ。つまりこれは「彼ははっきりものを言うので、(傲岸不遜な人物だと)人に誤解されやすい」という意味なのだ。外国語に直訳したとき意味不明になるのは、()内が省かれているからだ。

ただし()内を入れても、やはり一部では意味不明だろう。自分の意見/気持ちをはっきり言うことがストレートに倣岸不遜につながる文化をもつ国はそう多くない。

   私は別に、どちらがいい、悪いと言っているわけではない。ただ相手に合わせて表現法をスイッチすべきところ、私人の時間に開催される仕事がらみのお誘いに不快になったあまり、それを忘れた自分自身の意固地さを反省しているだけだ。これが仕事に関係ない、たとえば「排水パイプの直し方」などの講習会だったら、喜んで参加したと思うのだが、いかんせん業界関係者の集まりでは、金を貰っても行きたくないという気持ちが前面に出てしまった。反省。
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Comment

Amei

笑っちゃいましたー。で、日本人だったら「無礼な」と感じつつも引き下がってくれるわけですが、これが香港人だと「なんで?」と食い下がってくる人も多いわけで。「我自己的事, 我說不去就不去. 難道還要理由嗎?(行かないと言ったら行かないんですよ。まさか理由がいるとでも?)」なんて、日本語で言ったら二度と口きいてもらえなさそう。
角を立てたくなかったら、「遅い時間は夫がいい顔をいたしませんので」とか言うかなあ。100%嘘だけど。緒方貞子さんも、外務大臣に招請されたときに、「夫が・・・」で断ったそうですね。120%嘘だと思いますが。京都のぶぶづけみたいなもんですね。
  • URL
  • 2008/07/22 10:19
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Amei

いや違うな。緒方貞子氏なら「主人が・・・」かな。
  • URL
  • 2008/07/22 10:21
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雪見

つまらないことを長々と書いて投稿ボタンを押したらなかなか反応がなかったのですが、ここでまた押したら二重投稿になるからとぐっと我慢。投稿されたことを信じておりましたが、いま見てみるとされていませんでした(涙)。いや、特に内容がない話なので別にいいのですが。マイプレスさんに改善を望みたいですね。
ところで緒方貞子さんの話を読んで思い出しましたが、ユーミンは毎年、紅白に出演を依頼されて、「大晦日はお節を作るので」と断っていた話を思い出しました。
今度は投稿できるでしょうか。
  • URL
  • 2008/07/22 20:45
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loutra

英語でだって、礼儀正しくしようと思ったら
誘いを断る時には、謝意を述べてかつ相手の意向に添えない理由を
(たとえウソでも)くっつけるべきなのですから
況や日本語においてをや・・・。
しかしそれにしても「夫」という口実は全然浮かびませんでしたよ。
そっか、そーゆー手があったかと一瞬思いましたが
いくら嘘つきのわたしでも120%どころか、ウソ度200%のウソは
ようつきませんわ。はあ。
それに緒方さんくらいの人格者なら、たまにウソついても人は許してくれるでしょうが、私では誰も許してくれませんわ。
ははは
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  • 2008/07/22 23:05
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loutra

せっかく書いてくださったのに、消えてしまって本当に残念です。
私も時々あるので、投稿にやけに時間がかかる時は、
途中でコピーしておきます。
または最初から別のワードか何かで書いて、投稿欄にコピペします。
紅白の断りに「お節」かあ。なかなか洒落てていいですね。
しかし特別行事のない普段の日はなんて言って断ろう?
「夜と土日は家族と過ごすことにしておりますので」とでも言うか。
これならウソじゃないし。(家族1人しかいないけど)
雪見さんちは家族がウチの2倍いて、いいですね。
多鳴ちゃんなんて、10人分くらい魅力的だし。
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  • 2008/07/22 23:14
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gold

向こうはよかれと思っているのがわかるだけに面倒な時ありますよね。考え方や価値観の違いをわざわざ説明するというのでもないでしょうし。しかも相手がお客様だなんて、お疲れ様です。。。
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  • 2008/07/23 13:29
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loutra

正確に書きますとねえ、この方お客様とは言っても
取引ゼロ、売り上げゼロなんですよねえ。
そのわりにHKでの靴のオーダーのこと問い合わせてきたり
個人的な通訳を依頼してきたり、同業者からも
「気をつけた方がいい」と耳打ちされてた方で
だからよけい不快に感じ、態度が硬くなったのかもしれません。
私を誘ったのも、ご自分のビジネスがらみではないかと
つい疑ってしまいましたし。
これが普段から親しくしているお客様で、心から「おもしろそうだから、どう?」
と誘ってくださったのなら、私も参加したかもしれない。
まあいずれにしても、私が意固地であることに変わりはないのですが。
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  • 2008/07/24 08:28
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gold

そういう方でしたら、ねえ。。。
「仕事とプライベートの人間関係はきっちり分けてますので!(ニッコリ)」くらい言わないと諦めてくれなさそうですね。
  • URL
  • 2008/07/25 10:01
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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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