オートミール

いつもどおり土曜夜に出張から戻ったのだが、出張中に鎮痛剤を飲み過ぎたせいか、または普段食べないような食べ物(肉、魚ほか、大量の美味な食べ物)を食べ過ぎたせいか、翌日曜は珍しくも胃痛+出張から引き続きの頭痛で、ほぼ死んでいた。頭痛は長年のオトモダチなので驚きもしなかったが、胃が痛いのにはやや驚いた。何しろ何でも消化できることだけが取り柄の我が胃袋なのだ。それが消化を拒否するとは、尋常ではない。

仕方がないので、日曜は朝も昼もオートミールを食べた。正統派日本人なら粥を炊くところだが、手抜き日本人の私は水を加えてレンジでチン!のオートミールに走る。黒い帽子のおじさんが微笑むあのオートミールである。チンした後は干しぶどうを散らし、人口甘味料を匙に1杯、その上から適当にスキムミルクを加え、混ぜ混ぜして食べる。ほんわりと暖かく、にちゃにちゃとした燕麦の塊りが食道をやさしく下っていく。けっこううまいものだと思う。

ただし日本のうまい米を食べ慣れた日本人の方には、にちゃにちゃしたオートミールはあまりうまいものではないらしい。笑ったのは、この方の「オートミール十番勝負」。本で読んだオートミールというものに興味を持ち、中学生だった当時、母君にせがんで作ってみてはもらったものの、食べてみると何ともまずい。最初はそのまま食べ、まずかったので箱に書いてある通り砂糖と牛乳を加えてみたら「さらにまずくなった…」 その後、大学生の時に今度は塩味で再度挑戦してみたが、やはり美味なる食べ物に変わることはなく、今回三度目の挑戦として十番勝負に挑まれたというのだが、まずいオートミールに加えようと考えたもののラインナップが、1.豆乳、2.小豆餡、3.サツマイモ、4.鮭フレーク、(途中を飛ばして)10.バターとジャムというのが、なんともおかしい。要するにオートミールを“麦の粥”と考えての試みなのだが、どれもこれもご本人がお書きになっているとおり、大成功とは言い難く、どれもこれも「食べられなくはないが、うまくはない」という結果になってしまった。結論としてこの方は『オートミールの本当の価値というのはその味ではなく、手軽に作れて値段も安く、そして保存も効くということ』ではないかと書いていらっしゃるが、私自身その洞察に間違いはないと思う。

そもそも現代の欧米人で日常の朝食に手間隙かけている人はそうはいない。欧州は知らないが、北米の朝食はシリアルかトースト、あるいはスーパーで買ったドーナツ程度だ。コーヒーだけの人だっている。専業主婦/夫のいる家庭でもない限り、ベーコンに目玉焼き/スクランブルドエッグなんていう優雅にしてコレステロールたっぷりの朝食を食べている人はおるまい。

つまりは準備時間ゼロの火を使わなくてもいい朝食なんである。(コーヒーはコーヒーメーカーが作るし、トーストはトースターが作る) オートミールだって昔は鍋で20分くらい煮ていたかもしれないが、今のはチンするだけか、あるいはもっと手軽にお湯をかけるだけだ。しかも一般的に言って、シリアルより安い。黒い帽子のおじさんがいないノーブランド品でよければ、1kg入りが150円程度で買える。1回に食べる量は50gから多くても100gだから、150円で10回から20回食べられる計算。1食あたり7.5円から15円。干しぶどうやスキムミルクを加えても30円にはなるまい。この安さは魅力である。“Sleeping with the Enemy”(邦題:愛が壊れる時)で主人公のサラは、乏しい所持金で生き延びるため、スーパーで“いちばん安くて栄養のあるもの”としてオートミールと乾燥豆を買った。オートミールはそういう食べ物なんである。

ただし私自身はオートミールをそれなりにうまいと思っている。かすかだが麦の味がするし、ほのかに甘いのも嫌いではない。同様に主食系のものが甘くてもだいじょうぶで、半流動食を気持ち悪いと思わない人なら、オートミールに抵抗はないだろう。超甘党のウチの雪だるまなどは「オートミールは牛乳で煮て、メープルシロップをかけるのが最高」と言っている。典型的sweet toothの言い草であるので、甘党でない人には絶対勧められないが。
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Comment

雪見

オートミール、わりと好きです。非常食にもなるし便利。
作るときは牛乳と塩です。醤油をちょろりとたらすこともあります。卵を入れたり。要するに雑炊みたいなもの。
あのQuakerの禁欲的なパッケージも好きです。
牛乳にメイプルシロップも一度ぐらいやったことあるかな。甘いもの好きにはいいですよね。わたしはなんといっても塩味です。
  • URL
  • 2008/07/02 21:19
  • Edit

Amei

でも夫が好き。ココアで煮て、蜂蜜落として食べてます。そちらのご主人に負けない甘い物好きだと思う。
夫は文革のころまだ小学生で、香港にいる母が送ってきたQuakerの缶で缶馬(紐つけてパカパカ歩くやつ)作って遊んでいたら、紅衛兵に難癖つけられてヒドイ目にあったそうです・・・
  • URL
  • 2008/07/03 10:30
  • Edit

loutra

おお、雪見さんは塩味派ですか。そしてAmeiさんちの夫君はココア味+蜂蜜。(こりゃ牛乳+メープルシロップより甘そうだ)
いろんな食べ方があるもんですね。
それにしてもオートミールの缶缶で缶馬作って遊んで、紅衛兵に難癖つけられたなんて、かわいそう。
敵性語が入っていたのが、いけなかったのかなあ。
でも足で踏んづけて遊んでるんだから、よさそうなもんだけどなあ。
  • URL
  • 2008/07/03 18:13
  • Edit

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らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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