FC2ブログ

ケベック映画

  • 2007/09/11 16:49
  • Category: 映画
■ 先週末はケベック映画週間とでも言うべきか、ケベック映画ばかり3本見た。“Bon Cop Bad Cop”、“Maurice Richard”、“Le Secret de Ma Mere”の3本。犯罪捜査コメディ、実在したアイスホッケー選手の話、ケベックのある一家の話と、種類はそれぞれだが、底流のようにちらちら見え隠れするのは、経済的、社会的に低位に置かれてきたフランス系カナダ人の鬱屈した思い。ケベック州の田舎町であるお義父さんの住む街の歴史博物館みたいなところに行った時も、その町の一大産業だった近隣の豊かな森林資源を背景にした製紙工場の経営者はイギリス系、その工場で働く労働者はフランス系と相場が決まっていて、20世紀初めの白黒写真などにも、背が高く威風堂々としたイギリス系経営者と、その周りにちぢこまっている小柄で貧相なフランス系労働者の対比に、少々胸を突かれた。(何しろ夫の一族は父方も母方も、その低位に置かれたフランス系の方なのだから)

■ だからモントリオールのホッケーチームの一員であるモーリス・リシャールは、フランス系カナダ人として、フランス系カナダ人のために戦ったのだし(これはシリアスなドラマ)、“Le Secret de Ma Mere”のお母さんは、未婚の妹の子どもが里子に出されると知って「あんな西に住むアングロ(イギリス系カナダ人)なんかに、血のつながった子どもを渡してたまるか」と言って、自分で引き取るのである(これはちょっとシリアスなドラマ)。そしてコメディである“Bon Cop Bad Cop”では、規則重視のオンタリオの刑事と、規則は曲げるためにあると考えるケベックの刑事が、互いに足を引っ張り合い、互いの悪口を双方の言語でわめきながら、仲よく捜査に励むのである。(この映画は冒頭からしておかしい。他殺死体が見つかったのが、オンタリオとケベックの境を示す大看板の上。双方とも面倒くさい捜査はしたくないので、死体の頭がある方が管轄に決まっているとか、人間は足で立つんだから足のある方が管轄だとかやりあい、挙句、上っていた梯子から二人とも落ちそうになってとっさに死体に捉まり、あーっと叫んでいるうちに死体を真っ二つに切断してしまう。そして合同捜査になるのだ)。

■ この映画キレのいい冗談の宝庫で、カナダの社会事情(TVコマーシャルとか)に詳しくなく、英語は大して聞き取れず、フランス語に至っては全然わからない私でも、そこここで大笑いできた。たとえば電話をかけてきた犯人に向かいケベックの刑事が「おたくは英語もフランス語も、どっちもえらいなまってるな。ジャン・クレティエンに習ったのかよ」という場面があり、夫とふたりで爆笑。ジャン・クレティエンというのはいわずと知れたカナダの元首相だが、ケベック出身なので喋る英語にかなり強いフランス語なまりがあったのは当然としても、病気のせいだったかでフランス語を喋らせてもなまっているという人で、政治家としては悪い人ではなかったし、人気もあったが、どうも笑いを誘いやすい人なのだ。

■ カナダでは去年、空前のヒットとなったらしいが、日本でも公開されたのだろうか。もしレンタルDVD屋さんなどで見かけたら、ご覧になるのもいいかもしれない。ちょっとお勧めの映画である。
スポンサーサイト

Pagination

Comment

Post Your Comment

コメント:登録フォーム
公開設定

Utility

プロフィール

らうとら

Author:らうとら
ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、米朝、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

最新トラックバック

カテゴリー+月別アーカイブ

 

FC2カウンター