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ドラマ2本

  • 2007/09/03 17:07
  • Category: 映画
ずうっと昔、まだ日本の田舎で働いていた頃、何かの手当ての増額か何かの通知を前に、職場の上司が「組合活動なんかしなくたって、上はちゃんと考えてるんだから」と言ったことがあった。

20代の遊びたい盛りの人間として、私はさほど組合活動に熱心だったわけではないが、それでもこの言葉にはちょっと反発を覚えた。(だからこそ20年経った今でも覚えているわけで) 確かに部下のことを親身になって考える上司はいるし、社員のことを親身になって考える経営者もいる。しかしだからといってそれだけをあてにして何の活動もして来なかったら、世界に工場労働者という存在が現れて以降、現在の労働条件にたどり着くまでには、何倍もの長い時間を必要としたろう。なんたって企業が社員の福利を考慮するのは、有形無形それにより企業の利益が図られるからで、逆ではない。労働運動なんかしない方が世の中はうまくいく。黙っていても、為政者は弱者を保護してくれるなんてことは、ありえない。

そんなことを考えたのも、週末に見たテレビドラマのうち2本が、女性の権利獲得に向けての運動をモチーフにしたものだったからだ。労働者も女性も、社会の中の弱者という点では同じだ。何度も何度も要求し、無理やりにでも勝ち取らなければ権利を与えられなかった点でも同じだ。

ドラマのひとつは“Cold Case”。昔々、1910年代の米国で、婦人参政権獲得に向けての運動に関わっていた女性の死にまつわる話。もうひとつは“The Commander in Chief”。 ジーナ・デイビス演ずるところの米国初の女性大統領が、米国憲法のERA(Equal Rights Amendment、男女平等憲法修正条項。1923年に起草され、1972年に合衆国議会で可決されたが、1982年までに修正に必要な全州の4分の3=38州の州議会の批准を得られず、不成立となった。これはオハナシではなく事実。提供:ウィキペディア)の成立に向け、動き始める話。

どちらも周囲からの圧力、妨害、困難に負けず、自ら信ずるところに向かい邁進する。私自身にはそういう強さ、八方を敵に回しても自身の信念を貫き通す強さがないので、こういう女性を見せられると、もう無条件で感動してしまう。“The Commander in Chief”では、ジーナ・デイビスを見ながら、じーんとしてしまったくらいだ。ああ単純。

日本社会ではコトを荒立てる人は嫌われ、物事を丸く治める人が“できた人”として尊敬されるので、どんな活動家だろうと“活動家”というのは余り好かれないが、ほんとのところ社会を変えていくにはコトを荒立てる人、異を唱える人、長いものに巻かれない人が必要なのだ。事なかれ主義のなあなあでは、社会は変わらない。

それにしても“The Commander in Chief”でのジーナ・デイビスは、ほんとに頭がよくてすてき。わたしなんてあることについての意見は、かなり長い間考えないと出てこないが、このドラマでの彼女は(大統領という役柄もあって)、すべての情況を考慮に入れた上で、即刻適確に判断し、指示を出す。知的明晰にもいろんな種類があるが、こういう陽性の知性というのは、ほんとにすてきだ。
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ドロシー・L・セイヤーズ、ローリー・R・キング、P.D.ジェイムズ、ディック・フランシス、水村美苗、高村薫、戸塚真弓、ヘレン・ミレン、シャーロット・ランプリング、ソフィ・マルソー(40代以降に限る)、ヘレナ・ボナム・カーター、アンジェリーナ・ジョリー、三代目金馬、小さん、米朝、枝雀、エンヤ、クイーン、ドゥルス・ポンテス、マドレデウス、J・S・バッハ、ちあきなおみ、トケイ・ピノ・グリ、アール・グレイ、自転車(冬季を除く)、あらゆる犬と猫
以上、私を幸せにしてくれる方々(敬称略)

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