英国版 『Wild Target』

  • 2011/01/18 16:12
  • Category: 映画
長年愛読させていただいているおっとせいさんのところで、先日こういうかるたがあることを知った。http://www.gentosha-edu.co.jp/products/post-80.html


これ欲しい。




先々週末、比較のため2010年英国版の『Wild Target』を見た。1993年フランス版に1票!」と思った。雪だるまも同意見。主役を演ったBilly Nighyは悪くないし、女の子は英国版のEmily Bluntの方が美人で見ていて楽しいが(ただし雪だるまの意見では、演技は仏版のMarie Trintignantの方がうまいそうだ)、仏版に比べ“微妙なおかしみ”が少なく、なんだか平板な印象になっている。これはたぶん、主人公の強迫神経症ぶりの描き方が足りないせいだと思う。


仏版の方では、主役のヴィクターは自分が決めたルールに病的なまでにこだわる、人付き合いに不器用な人物として描かれる。細身の身体つき。きちんと整えられた髪と口ひげ。目立たない、しかし一分の隙もないグレーのスーツにきっちりと結ばれたタイ。家の中はすべてのものが定位置に置かれ一筋の乱れもなく、使わない家具にはプラスチックのカバーがきちんとかけられている。食事も曜日ごとに決まっており、それに応じて食品棚には月〜日までのラベルが貼られていて、買う物も決まっている。間違えて違う曜日の品を渡した肉屋は、ヴィクターに「今日は○曜日だ」と凍るような目で指摘され、慌てて品を包み直す。ひとりの時のヴィクターの日課は、テープに合わせ英語の学習をすることで、机に端座し動詞の変化を繰り返す。実のところ映画も英語の動詞の変化を暗誦しながら“仕事”に行くヴィクターのショットから始まるのだ。


こうした描写が重なることで、ヴィクターの“ちょっと変わった”パーソナリティー、秩序に対する異常なまでのこだわりと、人付き合いに対する臆病さと不器用さが強調され、だからこそやむを得ず?共に過ごさざるを得なくなった美術品詐欺を生業とするルネ(英版ではローズ)や、弟子のアントワーヌ(英版トニー)とのぎくしゃくした関係がおかしみを生むのだが、英国版はその辺の描写が足りない。足りないからヴィクターは割合ふつーの人になってしまい、ふつーの人だからルネやアントワーヌに感情的に巻き込まれてじたばたする理由が見えてこないし、じたばたぶりがおかしくない。この映画、一応はコメディなんだから、おかしくなかったら意味ないのだ。


ついでに言えば、ヴィクターの代わりに雇われる殺し屋その2も、仏版の方が役者が上だし、弟子アントワーヌに至っては、(ルパート・グリントさんには悪いが)ギョーム・ドパルデューの方がずうううううっと美貌&魅力的だ。ドパルデューの美貌なら、アントワーヌを殺し損ねてついつい弟子にしてしまったヴィクターが「私はホモか?」と悩むのにも説得力があるが、ルパートさんでは、こちらは「は?」と思うばかりだ。
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